絵で読む江戸の病と養生

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  • 講談社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062117920

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代の病気やその治療法を当時の錦絵や挿絵を使って解説。江戸時代には即効性のある西洋薬がほとんどなかったので、とにかく病気にならないように食事をはじめとする養生に気を付け、神に祈っていた。現代ではイベント化してしまっている昔からの通過儀礼も、江戸の人にとっては、健康と息災を祈る真剣で重要な行事だったようだ。

  •  難病の多かった江戸時代には重病人は医者だけでなく祈禱師をよび癒してもらっていたという。疫病が流行れば無病息災を祈願し、七草粥や節分の鬼やらい、土用の丑の日にうなぎを食べる、絵馬に願掛け、祭をするといった現代にも続く
    年中行事も生まれていった。病に対する当時の風刺画等も掲載されており当時の様子もこの本はわかりやすく書かれている。
     今では病気の原因がわかり予防できることも多いが、当時の人々はそれが叶わなかったことを考えると、いかに病を畏れ不安であったのだろうかと想像せずにはいられない。原因がわからない状況の中、ひたすら病人の苦しみや痛みを除こ
    うと看病する江戸人の人たちの思いは医学が万能でない限りいつの時代もあり続けるのだろう。

  • 医学の歴史を時代順に概説する。初学者向け

    読了日:2007.7.17
    分 類:教養
    ページ:174P
    発行日:2003年6月発行
    出版社:講談社
    評 定:★★★+


    ●作品データ●
    ----------------------------
    テーマ : 医学文化史
    語り口 : 解説文
    ジャンル: 教養
    対 象 : 一般向け
    雰囲気 : 図版から江戸文化に触れる
    ----------------------------


    ---【100字紹介】--------------------
    遠くて近い、江戸時代。
    江戸の人々は、医とどのように付き合ってきたのか?
    どのように対処してきたのか?
    病、看病、薬、妊娠・出産、健康、老い…様々な医の文化が、
    豊富な図版で、鮮やかに現出する医学史の教養書。
    ---------------------------------------


    さて、また医学史系です。菜の花としては初の、日本の医学史。しかも時代がとても狭い。オンリー・江戸時代です。その分、がっつり江戸時代が眺められますね。

    概略を説明する、というよりは、思いついたことから説明、という感じ。特に並び順があるものではないのでそれで順当かも。若干分かりにくいかもしれませんが、よみものとしては特に問題ありません。

    とにかく図版が豊富です。図版といっても簡略図とか、説明図ではなく、実際の江戸の風景や写真です。色鮮やかな浮世絵も多いですね。江戸時代を近しく感じられるような、でもとても遠いような。不思議な感じがします。

    これまで読んできた西洋医学史の流れなどとはまったく違う独自の文化を持っていたのだな、と。日本が特殊というよりは、東洋が広いのか。西洋は、地理的にも比較的狭い範囲に集中していますから、同じように文化の発展がありそうですけれど、東洋は海で隔てられていたり、やたら広大だったりして、西洋ともかなり離れているので別の文化が広がっていた、というのはもちろん当然なのでしょうけれど…。

    健康への考え方など、現在に通じるものも沢山あります。日本人の薬好きは江戸時代から始まった!…というのもあー、国民性かなあ、でも昔からそうだから何となくそうなんだよね、という気もします。その「昔から」がこの頃からだったのですね。旅行の勧め、温泉の勧めのような本や番付が出ると、わーっとばかりに湯治旅行が流行ったり…というのも、やっぱり国民性、なのでしょうか。江戸時代でもやっぱり日本人は日本人かー、なんて。

    研究書、入門書というよりは、一般向けのなかなか面白い教養書。


    ---------------------------------
    文章・描写 :★★★
    展開・結末 :★★★
    簡 潔 性 :★★★+
    独 自 性 :★★★★+
    読 後 感 :★★★
    ---------------------------------

  • 装丁に使われている紙が、江戸小染花だったのでにんまり。
    好きな紙だし、、そんな名前の紙を使う心意気や良し、という。

    中身は非常に分かり易いし、本当に絵がふんだんで興味深かった。
    もちろん文章もとても分かり易い。

    手術の様子とか、そんなことまでしていたんだ!と思うこともあれば、
    信仰心が今より格段に強いなとも思う。
    でも、不治の病となれば、今でも神頼みはするかも。
    藁にも縋る思いで。
    それを考えれば、誰でも病院へ行けて高度な医療を受けられる。
    ただし金さえ払えば。という現代に比べたら、病にかかるということは
    今で言う不治の病にかかることと同じなのかもしれない。
    数百年先の時代から今を見れば、こんな知識で治療していたのだ…
    と今の医療に対して思ったりするんだろうか、やっぱり。


    ぎょっとするような治療法は兎も角として、
    天命として病も受け入れるというのは
    凄いというか、ちょっと見習いたいと思った。

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著者プロフィール

「日本医学教育歴史館」(順天堂大学)館長。東大大学院医学系研究科博士課程修了。順天堂大学名誉教授を経て同特任教授。日本医史学会理事長などを歴任。『日本の医療史』『病が語る日本史』など著書多数。

「2017年 『医学の歴史 大図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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