談志が死んだ

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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062121859

感想・レビュー・書評

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  • いまさっき、悲鳴とも雄叫びともとれる、キャーッ、とか、ウワーアッ、とかいう、意味不明のわけのわからない、声とも音とも判別がつきかねる、断末魔の絶叫に似た呻き声を、ひとしきり発したのは、私です。

    恐れていたことが来ました、とうとう、ついに。

    わが革命的唯我独尊落語家の立川、談志が死んだ、のです。

    頭の中を走馬灯のようによぎってきます。

    身体をゆすって心の底から爆笑する笑顔、口をひしゃげて憎々しげに毒舌を吐く真顔、落語や芸について真剣を抜いて斬りかかってくるような真摯で高邁な殺戮的な精神、嫌味でいて猫可愛がるそのあっけらかんとした心根などなど、直接会って話した思い出深い時間も、つい昨日のことのように思い出されます。

    残念ながら、彼を失って彼を継ぐ者がいないいま、落語はただのお笑いの一部で、よく理解できないけれど落語好きだというファンが増大していくとしても、衰退・堕落するしかないと思います。否、どだい立川談志というひとりの落語家が存在したこと自体が、奇跡だったといってもいいことかもしれません。

    連綿と続いてきた粋(いき)や粋(すい)を愛好する通のご隠居さんや、日頃の鬱憤をはらすために寄席に通う落語好きのひとたちに細々と支えられた落語を、演劇的で現代批判に富み、人間的魅力に溢れた新生落語として広汎に伝播する可能性に満ちていたことが、すべては立川談志というひとりの落語家がいなくなったことで水の泡です。

    私、いまから当分のあいだは、何百枚とある談志全集をはじめとするCDやDVDを、聴きまくって見まくって、喪に伏します。

    • ウルトラ・オヤオヤさん
      おひさしぶりです。
      新年のごあいさつにおじゃましました。
      談志さんのところにコメントしておきます。
      ワタクシもファンでした。
      また、...
      おひさしぶりです。
      新年のごあいさつにおじゃましました。
      談志さんのところにコメントしておきます。
      ワタクシもファンでした。
      また、ときどき、みせていただきますね。
      良い年にしていきましょう。
      2012/01/03
  • 新聞の見出しにもなったこの本の題名。
    自ら付けたという戒名に思わず笑ってしまった。
    死すら洒落にしてしまうヒトなんてそうそうおらんのやないか。

  • 読みごたえたっぷり。

著者プロフィール

落語家、落語立川流創設者。1936年、東京に生まれる。本名、松岡克由。16歳で五代目柳家小さんに入門、前座名「小よし」を経て、18歳で二つ目となり「小ゑん」。27歳で真打ちに昇進し、「五代目立川談志」を襲名する。1971年、参議院議員選挙に出馬し、全国区で当選、1977年まで国会議員をつとめる。1983年、真打ち制度などをめぐって落語協会と対立し、脱会。落語立川流を創設し、家元となる。2011年11月逝去(享年75)。

著書には『現代落語論』(三一新書)、『談志百選』『談志人生全集』全3巻、『立川談志遺言大全集』全14巻(以上、講談社)、『談志絶倒 昭和落語家伝』(大和書房)、『談志 最後の落語論』『談志 最後の根多帳』『立川談志自伝 狂気ありて』(以上、ちくま文庫)、『談志が遺した落語論』『江戸の風』(以上、dZERO)などがある。

「2021年 『談志の日記1953 17歳の青春』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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