- Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062131490
作品紹介・あらすじ
あるのだろうか-理想の家族、心安らぐ家。私たちは、「家族の肖像」を、どんな色に染めようとしているのか。近未来の日常を描く待望の作品集。
感想・レビュー・書評
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近未来型短編集。
ロボット里親制度の「純也の事例」、家事全般お任せの「おまかせハウスの人々」が面白かった。
ペットロボット、介護ロボット、家事ロボットなど実現したらいいな。
(図書館) -
話しとしてはおもしろい。でも・・本当にこんなに「ロボッット」「機会」が入り込んできたら・・こわいなあ・・。ドラエモンはかわいいけれど、やっぱりこわいなあ・・・。って、一昔前までは携帯・スマヘなんて考えられなかったから・・現実になるかも・・おもしろいなあ・・でもこわいなあ・・。
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いやあ、面白いっ! これはいい!
SF設定の短編集だけれど、その実中身は人と人との関係性が書いてある。
内訳は
1.ロボットの短期里親:初めはなんのことだかわからなかったし、主人公の母親にも納得いかなかったけれど、話がつつむにつれてどんどん引き込まれていく。ラストなんて感動もの! 一気にこの短編集に好感を持った。
2.人心を読む携帯用機械:正直場を盛り上げたりするの、わたしも得意じゃないからこの主人公の気持ちはよくわかる。というか、形状だけだったら別に大したことないじゃない、と思うけれど疾しさやばれることへの恐怖ってあるよね。ちょっと笑ってしまいながらも、笑えない設定だった。面白い!
3.ダイエットや健康用の体内埋め込み型ナノレベルの機械:これまた正直何のお話、と思ったんだけれど。うーん…。なかなか深いわ切ないわ。孤独な人がペットにぬくもりを求めるように、彼女はナノレベルの機会を可愛がる。しかしそこには大きな爆弾があった。
4.食事によって引き起こされるフード病:自分が作った手料理のせいで義理の母親が死んだ、なんて言われてしまった主人公。世の中さ、結婚して太る男性諸君は妻の手料理のせいとみられるのは微笑ましいとして。これはきついぞ。身内から攻められたら、ショックで狂信的になってしまっても仕方がない。最後にちょっと仕返し気分が入るのなんて、もうステキ!
5.鬱と色の関係と鮮やかな色彩を与える薬:うわ、この話も好き! どんよりとした世界よりも美しいものを見たい、と思うもの。空だって灰色よりかは青い方がいい! 例えば塞いでるとき読んだ本は、どんなに傑作でも心から楽しめないことがある。でもそこでとてもきれいな何かを見れば、多少は気が晴れるんじゃない? 視覚と心の関係、それが一つの薬を通してくるっていく。おお怖い。でも面白い。
6.家事システムが搭載された家:表題作でもあるこのお話。おっもしろい…! 便利な世の中って誰もが求めるところ。機械が進化するにつれて、同時にその機会に対応するため、人間の方が振り回されることもある。ほら、スマートフォンだって慣れるまで多少の時間がかかるでしょう? 「おまかせハウス」は自動掃除機能等々がついた、理想的な住環境を提供する家。しかしモニターに選ばれた人々は曲者ぞろいで、主人公は憂鬱な日々を送る。それでも家族のために、いい加減な上司や曲者な住人たちに立ち向かう。
なんていうかね、皮肉ってスバラシく甘美なスパイスだわ…! もうね、笑ってしまった! いいじゃないこれ。 -
少し近未来的なお話だった。表題のほかに5つの短編もあって読みやすかった。私が、一番良かったのは「純也の事例」ってやつ。
夕香の息子の純也は、出来が良く、通っている幼児教室のなかではいつも成績優秀だった。素直で優しい子。しかし、純也は開発されたロボットだった。実験的に作られたそれらは、人間の幼児たちと同じ環境へ出される。夕香は、ひとり親家庭の枠で、試験者になり純也と家族ごっこを行っている。そんなある日、夕香のもとに成績優秀者に出される早期変換許可書が届く。それは、夕香にとっては幸せな毎日が終わってしまうという残酷な許可書だった。
基本的に、この短編たちは「家族」がテーマになってる。
近未来で、ロボットが何でもやってくれる世界で、色々みんな悩む。
もう少し未来の世界は、こんなかんじになっていて、みんな似たような悩みとかもあるのかもしれない。 -
いましも実現しそうな最先端技術が実際のものとなっている近未来社会。そこでも人間はやはり人間のまま、各々が各々の在り方を求めてもがいている。どんなにハードが充実していても、いや肉体的物質的に充実するほど精神世界へと埋没しがちな私たちを、著者はうまく描き出しているようだ。今でさえ便利で快適な暮らしを手に入れながら、つらい心でしか生きられないというのにおまかせハウス(カスタマイズの必要のほかはほとんどの家事を家がやってくれる)に住んだりしたら、いったいどうなるのだろう?
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ちょうどこの本の前に読んだ同著者の「プレシャス・ライヤー」と共に、古き良き時代のSFの香りを感じた。
どうしてそのような印象を感じるのだろう、と考えてみると、最近一般的にSFと呼ばれる作品群には、SF(=科学的虚構)はただの道具立てで、作品のテーマや内容はミステリだったりアクションだったり、歴史ドラマだったりする作品が多い(要するに、広義のSF)のに対し、「プレシャス・ライヤー」「おまかせハウスの人々」はSF(=科学的虚構)を描くことそのものが作品の主眼になっている(つまり、狭義のSF)からではないだろうか。 -
菅さんの描く近未来はとても素敵だ。
科学技術が進んで、どんどん便利になり、わからないこと、矛盾点が無くなっていく。
しかし技術を使う人間は迷ってばかり、矛盾ばかり。
舞台は夢のような未来の世界でも、登場人物はみんな凡人だ。だからこそ、技術が進んだ未来も、そこで暮らす人々の悲しみも喜びも、よりリアルに感じられる。 -
久しぶりに小説を読んだ。近未来、といったお話でした。
面白かった!