マオ―誰も知らなかった毛沢東 下

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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (582ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062132015

感想・レビュー・書評

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  • #3302ー22ー125

  • 上下を通して読了に4年かかった。邪悪かつ残虐な独裁者によって7000万人以上の人々が自国政府により殺害される近代史。1950年代の大躍進政策、そして1960年代の文化大革命。この時代を生きた人々が今でも中国には多くいると考えると認知が揺らぐ。

    文化大革命の際に批討会で人肉食が行われた話や、ある貧困な農村において成人女性が布を一枚も持てず全裸生活せざるを得なかった話など、気分が悪くなる。

    巻末近くなり、鄧小平が台頭し、死期が近い毛沢東に公然と反抗するあたりでやっと救われる。

    それにしても、現政権が毛沢東の神格化を継続する理由は何なのかと考えてしまう。

  • 中国を支配した毛は中国だけに飽き足らず、世界をも支配(影響力を持つ)ことを考えていた。その野望から大躍進政策を推進し、史上最悪ともいえる多数の人民を餓死、過労死に追いやってしまう・・
    大躍進、文化大革命を中心に毛の残虐性、独善性にフォーカスされているのだが、周りの共産党幹部たちの人間性についても文章からにじみ出ていてこちらも興味深かった。
    毛に取り入り小皇帝のような振る舞いをする四人組、林彪に怒りを覚える一方で、人民を思い毛の大躍進政策にはっきりと反対した気骨のある幹部、彭徳懐、劉少奇に対しては心を動かされた。
    周恩来はついては文化大革命にて大衆を煽り粛清を進めたことに対し失望する気持ちがあるものの、生き延びるため毛の忠実な部下になるしかなかったということを考えると辛い立場にあったのだろうなと同情してしまう。

    家族、何千万人の人民、自らに長年使えてくれた仲間、自分の権力や特権が揺るがなければ誰が死のうが気にも留めない・・そのような人物(サイコパス)だからこそ混沌とした時代に権力を握り大国を率いてこれたのだなと納得した。

  • 読んでて痛くて寒気がする

  • 1

  • 著者は旗色鮮明なので分かり易い本ですが、本当に歴史的事実と整合しているのかが気になり、少し読みづらいです。ただ、現在、北朝鮮で起きていることと重ねて考えると、暴走する為政者を止めることの難しさと恐怖が実感できる内容となっています。

  • 2005年刊。◆上巻で感じた疑念がないわけではないが、中国からみた共産主義諸国の動向、毛沢東とそれ以外(劉少奇・林彪・周恩来等)の権力闘争・追い落とし、中国の原爆・ミサイル技術の取得理由や過程等がよく判り、十分読み応えがある。◆なお、中国の技術革新・経済成長に関しては、毛沢東の推進してきた政策の稚拙さが浮き彫りされ、こんな経済オンチで能力の欠如した毛沢東が長年中国を支配していた故に、日本は中国を競争相手とする要なく、結果、戦後の高度経済成長・技術力の伸長を果たせたのではないか、と思ってしまうほど。
    ◆なお、下巻の叙述時期は、中ソ外交交渉が活発化しつつあった1947年から毛沢東死去の1976年までである。ちなみに、文革の市井の人々の苦悩は「文化大革命10年史下巻」の方が詳しいかもしれない。

  • 毛沢東は人格に問題があったとしか思えない。そんな人の暴走がとことん悪い方に行った中国のつい最近のはなし。民主主義のない社会では最悪の場合こういうことが起こる、ということがほんとうに起こった恐ろしい話。ワイルドスワンは家族の話だがこちらはたんたんと伝え聞いたことを書き並べている。劉少奇や膨徳懐が信念を曲げず立ち向かおうとしたのに対し、周恩来は毛沢東の言いなりだったんだ。キッシンジャーもニクソンもこんなにふがいないとは。最後は登小平が頼もしく感じた。

  • 途中、胸糞悪くて一時読まずにいたが、ようやく読み終わった。毛沢東はきっとサイコパスだったんだろうなぁ、と感じる。こんな奴をいまだ祀り上げている中国国民は、何も知らないのかなぁ。歴史の真実は明かされなければならないと思う。
    キッシンジャーは頭脳明晰な敏腕政治家と思っていたが、案外ちょろく毛沢東に騙され、洗脳されていたんだな。ジェットエンジンの技術をあげちゃったり、、、そういう馬鹿な行動のツケが今の中国を作り出している。
    周恩来も、毛沢東を抑えるために努力していたのかと思ったけれで、残虐なことしてきたのね。

  • 感想はこちらでひとまとめ。
    http://booklog.jp/users/ohsui/archives/1/406206846X

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著者プロフィール

1952年、中華人民共和国四川省生まれ。文化大革命が吹き荒れた1960年代、14歳で紅衛兵を経験後、農村に下放されて農民として働く。以後は「はだしの医者」、鋳造工、電気工を経て四川大学英文科の学生となり、苦学ののちに講師となる。1978年にイギリスへ留学、ヨーク大学から奨学金を経て勉強を続け、1982年に言語学の博士号を取得。一族の人生を克明に描くことで激動期の中国を活写した『ワイルド・スワン』『真説 毛沢東』(ともに講談社)など、彼女の著書は世界40ヵ国に翻訳され、累計1500万部の大ベストセラーになっている。なお、上記の2作はいずれも中国国内では出版が禁止されている。

「2018年 『西太后秘録 下 近代中国の創始者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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