戦場のニーナ

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062138253

感想・レビュー・書評

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  • 残留孤児のお話。
    残留孤児のニュースは、小さいながらに見た記憶があったが最近見ないと思ってたが
    それは親類が見つかったとのことなのかな??
    このお話が実話だとは、思わなかった。
    そして、このお話のニーナさんが最近のニュースで去年コロナで亡くなったと見た。
    世界のどこかに住んで日本人に会いに行く番組でも取り上げられてたのも、なんとなく見た記憶が。
    親類が結局見つからなかったのかな??
    唯一の手がかりの写真の赤ちゃんの顔が目に焼き付く…

    北朝鮮の戦場で日本人が全滅したトーチカで一人生き残っていた赤ちゃん
    日本人と分かってたけど、軍人の思いで中国人として育てる。
    生きて行く上で沢山の苦難があったが、周りの人達に助けられ三度も生き返る。
    ユダヤ人との恋は切なかった、相手が亡命してしまい自分自身が罪に問われるのは悲しかった。
    日本に行って、そのユダヤ人に会えたところはハラハラした。

  • 日本が参戦していた時代に生まれた人たちはかわいそうだ。戦争孤児となり親も兄弟もいない日本人のニーナはたまたま心の優しいロシア人に育てられた。どんな国にも親切な人はいて、国のあり方で国民を判断してはいけない。二度と戦争をしてはいけない。北朝鮮がなぜ、何をそんなにもがいているのかわからない。あの国は今でも戦争状態であるということで70年以上も平和であった日本人には理解できないにちがいない。平和であることがどんなに幸せか戦争を続けている人たちに知ってほしい。

  • 1945年8月16日
    中国領内では日本関東軍がソ連軍と戦っていた。
    中国牡丹江市の日本軍トーチカをソ連が攻め落とし、
    日本軍全滅かと思われたが、
    焼け跡の土の中から、2,3歳の女の子が救出された。

    これがこの物語の主人公、
    ロシアで見つかった、ただ一人の日本人残留孤児、
    ニーナ・フロンティンスカだった。
    数奇な運命に生まれながらも、
    救出にあたったロシア軍のボルコフ大尉や
    その後のニーナの養護にあたるムラビヨフ中将の優しい庇護のもと、
    ニーナはすくすく育っていく。

    敵国という理由もあり、
    ニーナの国籍は中国人とされていたが、
    ロシア人として育ったニーナにはそれが違うと思え、
    自分のルーツにこだわり、自分探しを思い描いていた。
    身体の奥に流れる民族の血。
    血の繋がりのある両親の記憶もないまま、
    成人女性となったニーナは
    音楽家のダヴィッドと恋におちるが、ダヴィッドが亡命。
    捨てられた形のニーナは
    自らトランバイに飛び込んで自殺を図るが一命をとりとめた。
    だが、そのあと、亡命者の共犯者としてシベリア流刑にされる。
    シベリア送りになる途中、
    救ってくれたのはムラビヨフだった。
    以来、ニーナは自分のルーツ探しを封印し、
    民族籍は中国人として生きてきた。

    戦場で拾われた時、
    トランバイに飛び込んだ時、
    シベリア送りになって助けらた時、
    ニーナは3回死んで生き返ったと思っている。
    それでも生きているという運の強さをかみしめる60歳をこえたニーナ。
    そんなニーナに、ある日日本へ残留孤児として赴く話がきて、
    ついに念願のルーツ探しに乗り出すことになった。


    戦場で拾われた幼児の主人公の生き様は
    中国残留孤児のお話しでもよく知られている。
    だが、この作品では育ったところがロシア。
    中国人か、韓国人か、日本人か、
    見分けがつきにくいので、ルーツ探しが複雑になっていた。
    かすかな記憶と
    自分の拾われた場所にあった1枚の幼少の自分の写真を頼りに
    ルーツを探そうとするニーナ。
    産まれた時から日本人という認識のもとで育った私には
    分からない感情だが、
    切実なそれでいて力強いニーナの想いが伝わって来る。

    それにしても、ニーナが日本人という証拠になったのが、
    左の腕の種痘の跡とは・・・。
    ニーナのみならず、あっけにとられた。

  • ロシア残留孤児の話。事実らしく、とても勉強になった。
    心理描写があまりなく、淡々と読めた。だからあまり心に残らなかったかなぁ…
    やけど、残留孤児として自分が誰か常に分からないで生きていくことがどんなに大変かを身をもってかんじました。

  • 深みがないなぁ

  • これって実話なんだろうなぁ…と思いながら、戦争と国家に翻弄されながら生きてきたニーナというソ連残留孤児の物語を読み進めてきたが・・・
    最後の最後、中国牡丹江のトーチカ跡でニーナが父母の遺骨を掘りあてる場面では度肝を抜かれた。ま、ま、マジで!?
    しかもその遺骨が胸にアルバムを抱いてたとか、さすがにフィクション、だよねぇ?
    もしこれが100%実話だったら、偉大な歴史の歯車に脱帽だ。
    ニーナが再会したダヴィッドにチクリと嫌味を言うシーンは、逆に実話っぽかった。
    小説ならもっと感動的に描くよねぇ(笑)
    2016/07

  • スケールが小さくて、まったく物足りない。セックス描写がやたら入念だったのは印象深かった。これは凡作として、著者は作詞家にとどまらず作家であることを知らなんだ。それも直木賞作家だなんて。

  • 話の素材も興味深く(読み終わってから実話だと知る)作者の文章も淡々としていて良い。
    ただ、性的描写が生々しく長くて不快。なぜそんなに丹念に書かなければいけないのか。
    その部分と、最後の再会の部分の印象が強く、これはもしや恋愛小説なのか?と読んでる最中に混乱した。
    それ以外の部分はとても集中して読めた。

  • ロシアで中国人として育てられた日本人残留孤児の話。

    実話ということだけど、自分が何者なのか曖昧なせいで辛い思いをして生きてきたとはいえ最終的に素晴らしい保護者に巡り合えたのに、どうしてあそこまで自分のルーツをはっきりさせたがるのかあんまり理解できなかった。

    最後に再会する昔の恋人にもただ利用されていたとしか思えないし、実際にそういう描写もあったのに、ニーナの何十年経っても消えない愛情はどこから湧いてくるのか不思議。
    娘にニーナと名付けて自分を戒める恋人が根っからの悪人だったとは思わないけど、そんな恋人に振り回され、それを後悔しないニーナに少し腹が立った。

    ニーナは自分が中国人ではなく日本人であることの証明にとても執着していたけど、ニーナを守るために偽った民族名を与えたボルコフ大尉とムラビヨフ中将への感謝をもっと見たかったなぁと思った。

  • ドキュメンタリーは見ずに小説から入りました。
    やけにリアルだと思ったら(特に戦場の場面や、ニーナに対する人々の反応)そうか、実話だったのか。

    「戦場のニーナ」

    「人も、ライオンも、鷲も、角を生やした鹿も、鵞鳥も、蜘蛛も、水に棲む無言の魚も、海に棲むヒトデも、人の目に見えなかった微生物も、――つまりはいっさいの生き物、生きとし生けるものは、悲しい循環をおえて、消え失せた」と発した『かもめ』の主人公「ニーナ」。

    ロシア語で「戦場」という意味の「フロント」からとった家族名「フロンティンスカヤ」。

    そして、題名にはなっていないけれど、発見者であるボルコフ大尉と後に後見人となるムラビヨフ中将からとった父称「ペトローヴナ」。

    もうこの名前を背負った時点でどれだけの人生が待っていることか・・・


    恋愛小説としての側面も大きかったけれど、それよりも「自分が何者か」がわからない、拠所がないことで翻弄された女性の一生として読みました。
    (なんか濡れ場がけっこうあったけれど、そこはあんまり面白くなかったなぁ・・・人と結ばれることで、自己の存在を確かめようとする、というのはわからなくもないけれど)

    祖国、なんて考えたことはなかったけれど、自分のルーツがわからないって、とても不安なんだろうな、と想像しました。


    自分以外には脈々と受け継がれた血というつながりがある。
    でも、私の後ろには何もない。ただ暗黒が広がっている。


    というような場面があって、初めて「怖い」と思いました。
    国籍や名前って、記号のようなものと捉えていた部分があったので、反省・・・というか開眼、というか。

    だからこそ、繰り返される命名の場面に力があるんだ。


    しかし、きっとこれは知的な大人(年齢的に)が読んでこそ、楽しめるんだろうな。
    私の知識が足りない・・・

    ロシアについて詳しければ。
    第二次世界停戦について詳しければ。(比較的知っているつもりだったけれど、地域限定だったのかも)
    マーラーについて詳しければ。

    ああ、もったいない!



    あ、なかにし礼さんの本初めて読んでんですが、文体としては回りくどい・・・というか、まるで和訳したかのような違和感?があります。
    最初から最後までそうなので、慣れれば気になりません。

    膨大な参考資料と、作者が旧満州牡丹江(ニーナが発見された場所)出身ということから、強い思い入れがあるのだろうな、と思いました。

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著者プロフィール

1938年旧満州牡丹江市生まれ。立教大学文学部卒業。2000年『長崎ぶらぶら節』で直木賞を受賞。著書に『兄弟』『赤い月』『天皇と日本国憲法』『がんに生きる』『夜の歌』『わが人生に悔いなし』等。

「2020年 『作詩の技法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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