メジルシ

著者 :
  • 講談社
3.31
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本棚登録 : 135
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062146203

作品紹介・あらすじ

両親の離婚と、自身の全寮制高校への進学のため、双葉の家族は、もうすぐ別々に暮らすことに。三人は、父の提案で、最後の家族旅行にでかけるのだが…。ウザい気もするけど、そうでもない気もする。高校進学目前で、双葉が感じた家族のカタチ。

感想・レビュー・書評

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  • きのう読み始めて、きのう読了。
    よかった、といえるような話ではないのだけど、でも、よかった。双葉の、自己防衛のようなことばでの距離の保ち方が身に迫る。それは本心をさらけ出さない、出せないということでもあるけれど、その、ほんの少しの距離感が、身を救うことがあると思う。双葉は美樹さんよりずいぶん大人で、でも、それでもどうしようもなく子ども。美樹さんは大人にうまくなることができていなくて、でも、それでもやっぱり、大人。健一くんは、子どものようにしっかり大人。子どもと大人って、何なんだろうなぁと思う。ひとりひとりが、どちらかにふりわけられることなくそのひととして描かれている感じがして、それがよかった。
    草野さん、すごいなぁ。

  • 読了から一ヶ月経ったので記憶おぼろげ。だけど、「メジルシ」の意味は覚えてる。痛々しくて。
    最近のYA(ヤングアダルト小説)は、親の心理や育った背景にまで迫るのね。おそらく私が小・中学生の頃から森絵都さんを筆頭に始まったであろうYAは、「親は添え物」みたいなものばかりだったので、深いなと思う。けど、そうだよね、10代の社会なんて学校と家族でほぼ8割を占めているんだから、親の影響力ってすごいんだろう。あの頃は友達を通して親を見る、なんて視点はなかったけど。
    草野たきさんの作品は他のも読んでみたいです。

  • 2.28デニーズで読んだ

  • 高校生になると同時に、両親が離婚することになり、最後に家族で北海道を旅行をして思い出作りをするはずだったーー。
    主人公双葉は、親の存在を冷めた目線で観察しながら暮らしていて、友達がいて彼氏がいて自分は幸せだと思っています。本当は、自分を幸せだと思い込むために、友達や彼氏と楽しくし、親を突き放していることに気づいていきます。
    両親が抱える辛さを受け入れ、成長していく様子は、痛々しく感じるけれど、若く逞しい双葉の力強さは、気持ちよく嬉しい気さえしました。

  • 両親の離婚、全寮制高校への進学で、別々に暮らすことになる三人の、最後の家族旅行。

    健一くんの行動から、ただ好きでいるだけ、ただ優しいだけでは駄目だと感じた。

  • 本能を忘れてきたから、教えられたことしかできない。
    それが人間。

  • 1時間もかからずに読んだ気がする。

    良い意味で良くも悪くもなかった。

    こういうのってなさそうでけっこうあると思う。
    特に美樹さんみたいな母親は。
    ドラマ「名前をなくした女神」で、母親は娘を自分のコピーのように思い、求める、というようなのがあったけれど、
    まさにそうだな、って言える作品。
    思わず、自分の母親と美樹さんを比べてしまう。
    また、双葉の気持ちもよく分かった。

    タイトルがずっと不思議だったが、最後まで読んで納得した。

  •  「ハーフ」に続き、草野作品は2作目。まぁ、「ハーフ」の隣に並んでいたので、ついでに借りただけなのですが・・・

     主人公の視点から、自分の両親の様子をとらえ、自問している点は「ハーフ」と同じですね。ただ、主人公が中学生である分、意識してなのか「ハーフ」よりも漢字の使用量が増えています。
     主人公が、あえて「子どもらしく」振舞う点もハーフと同じかな。

     けれども、たった3歳しか違わないのに、「ハーフ」の主人公よりも「メジルシ」の主人公の方が弱く、繊細です。これは「ハーフ」のレビューで書いた、「子どもは強く、大人は弱い」という描かれ方と通じるかな、と思います。一方で、思春期における3歳というのはなかなか大きく、「メジルシ」の主人公は、家族の抱える問題(それから、自己のもやもや)を解決するために、自ら直接両親に尋ねる強さを持っています。
     2つの作品を読み比べると、「人間は、歳を経るごとに弱く・繊細になる。一方で、それを克服するために行動力や一般的に処世術と呼ばれる技術、勇気を獲得していくのだ。」というような思いを感じさせられました。

     「強くあらねば」と思うと共に、それが「焦り」であると気づかされる作品です。

  • 両親の離婚成立。私(双葉)は春から全寮制の高校に入学。双葉の家族はもうすぐ、別々に暮らすこととなるので、父(健一くん)が提案した最初で最後の北海道家族旅行に行くことになった。
    この物語は3泊4日の旅行でみえてきた家族の話。
    もうずっと前から心がバラバラの家族。双葉は母(美樹さん)と良好な関係を保っているかのようで、母から愛されていないと気付いていた。家族仲良くしようとしている父だけが、なんだか浮いたかんじ。ラストには母と娘が、ちゃんと話しができてよかった。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。実践女子短期大学卒業。99年『透き通った糸をのばして』(講談社)で第40回講談社児童文学新人賞、01年児童文芸新人賞を受賞。07年『ハーフ』(ポプラ社)で日本児童文学者協会賞を受賞。

「2016年 『Q→A』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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