戸塚教授の「科学入門」 E=mc2 は美しい!

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062150255

作品紹介・あらすじ

ニュートリノ暗黒物質ヒッグス粒子宇宙の神秘…ノーベル賞に最も近かった物理学者が、迫りくる死を前に伝えたかった「科学はこんなに面白い」。PCに残っていた未公開原稿を含めた「最終講義」。追悼出版。

感想・レビュー・書評

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  • 09/8/16
    梅田 紀伊国屋 特設コーナーにて

  • 実はご逝去のニュースまで知らなかったのですが、戸塚さんは高校の先輩らしいです。

    残念ながら物理学に関するトピックはほぼわからなかったのですが、植物に関する洞察に関しては専門外とは思えない鋭さを感じました。(むしろ専門外だからかもしれませんね)

  •  著名な物理学者である著者が、専門の素粒子をはじめとする量子物理学について、また、趣味でもある植物学等について、その基本を述べたもの。私も大学生時代は物理学を専攻しており、最先端の物理学について興味深く読み進めることができた。(ただし数式まで十分に理解はできない。)著者の論理的に淡々と語りつつも、初心者に配慮したやさしい語り口は絶妙で、特に、冒頭の若者に対する熱意のこもった語りかけは、ぜひ高校生の愚息にも聞かせたい。世界の最先端に立つ人とは、やはり凡人とは違う魅力があるのだとつくづく思う。本人のがんとの闘病を記した「がんと闘った科学者の記録」とあわせて是非推薦したい。

     宇宙のエネルギー(宇宙観測でわかったこと)
      クォーク    0.5%
      レプトン    3.5%
      暗黒物質   23  %(光らない物質)
      暗黒エネルギー73  %(物質でないもやもやエネルギー)

  • 購入してしばらく過ぎたが、ふと読み直したくなり読んだ一冊。
    光科学を中心に量子力学までの現代科学の概略とその背景を分かりやすく記載(それでも、難しかったですが。。。)。
    特に現代科学とニュートン力学や電磁気などの違いを踏まえつつ、何が大事なのかを知るには良い内容でした。
    そして、もともとはblogの内容だったからか話かけてくれるような調子で科学への親しみを感じれて興味深いものでした。

  •  科学者としてあるべき人とはどういう人なのだろうか。

     著者の最後のインタビューにこう書かれている。
     
     ぼくが嫌いな言葉がひとつある。それは「子孫に負を残すな」っていう言葉。僕は「どんどん残せ」って言うんです。放射性廃棄物の処理にしても、環境問題にしても、エネルギー・食糧危機にしてもね。我々より頭が良くなってるはずなんだから、彼らに任せれば簡単にやっちゃうよ、って。そういう事を、期待しています。

     長い引用だったがいち科学者が本当に親身に研究を重ねたからこその言葉なのだろう。

     だが著者はもうこの世にいない、深刻な事故を起こしてしまった原子力問題、もし存命ならばどう答えたのか。我々はあえて苦しい道をたどるべきだろう。

     そしてこの問題をはっきりと逃げずに対応するのが氏への恩返しだと思いたい。

     この世界がより良き世界となるよう見守ってもらいたいものだ。

  • 学生時代いったい何を勉強していたのか・・・というくらい、何もわかっていなかったように思います。それとも当時は分かっていたのでしょうか。本書を読んでいて、なんとなく、本当になんとなくだけれども、黒体放射とか、光電効果とか、ニュートリノとか、E=mc2のこと、さらには最先端のヒッグス粒子とか、ダークマターとか、反物質とかの雰囲気だけでも分かったような気がします。しかし、神岡鉱山のスーパーカミオカンデやつくばのKEKでの実験の話、やはりかっこういい、今でも私のあこがれです。陽子崩壊の話などを読んで、理論物理に進もうと思ったのだから。戸塚先生がもう少し長生きされていたなら・・・ノーベル賞受賞もありえたかもしれません。なにせ、小柴先生の弟子で、益川、小林理論を実証されたのだから。本書は戸塚先生がブログなどに書きためられたものを集めて出版されています。植物や環境問題についての論考もおもしろいです。ところで、数式が結構あるので、横書きの方が読みやすかったのだけれど・・・ 後日、NHK特集で戸塚先生の闘病生活を見ました。実験屋としてあくまでもデータにこだわる姿勢に感銘を受けました。

  • We often frame our understanding of what the Space Telescope will do in terms of what we expect to find, and actually it would be terribly anticlimactic if in fact we found what we expect to find.

    戸塚さんが最後に引用しているジョーン・バコールの言葉。
    戸塚さんといえば、スーパーカミオカンデの事故の際に1年以内の復旧を世界に宣言した方でもあります。あのときの英語の文章は鳥肌が立つぐらい印象的だったのを覚えています。
    今振り返ると、あの文章も戸塚さんが人生の中で出会った数々の印象的な言葉に裏打ちされていたんだろうなと思いました。本書によれば、ハッブル宇宙望遠鏡がピンボケだと判明したときにアメリカ下院で修理の必要性を訴えたのもバコールでした。

    英語っていうのは名言(自分だけが名言と認めるものでもいいから)の言い回しの模倣から始まるものなんじゃないかと改めて感じました。

    内容とは直接関係のないことを書いてしまいました。
    本書に書かれていることは、量子力学と特殊相対性理論の歴史、素粒子物理学の現在と今後の展望です。
    一言で言ってしまえば「ポピュラーサイエンスを扱った佳作」ですが、僕にとっては戸塚さんが書いたということに大きな意味があります。

  • 著者が死の淵にありながら、「科学の楽しさを多くの人に知ってほしい」と書き続けたブログ記事を中心にまとめた本。
    もうその事実だけで、本から漂う「念」に恐れ入って、ひれ伏してしまいそうで。
    素直にすごいなあ、と思う。そして、無念だったろうなあ、とも。

    そういった思いを著者に抱きつつも、やはり本としての完成度については疑問符を付けざるをえない部分もある。
    ちゃんとした編集者が、ちゃんとした企画で製作を進めたのであれば、もっといい本になっていたことは間違いない。
    「編集者」の大切さもなんとなく感じてしまう読後感でした。

  • 計算式が出てくるのでとっつきにくくなるが、物理学がどのように進んできたかがそれなりにわかりやすく書かれている。
    このような筆の立つ人が亡くなるのは本当に惜しい。

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