- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062169424
作品紹介・あらすじ
大好きな人に手紙を書きたくなったとき。上司に意見をしなければならないとき。人を叱らなければならないとき。大切な人を失ってしまったとき。嫌でもケンカをしなければならないとき。とてつもない悲しみに包まれたとき。こんなとき、大人ならどう考え、どう振る舞うのだろう。
感想・レビュー・書評
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1.著者;伊集院氏は、小説家兼、作詞家です。電通のCMディレクターになり、松任谷由実や松田聖子のツアー演出を手掛けました。その後作家デビューし、「乳房」で吉川英治文学新人賞、「受け月」で直木賞、「機関車先生」で柴田錬三郎賞、「ごろごろ」で吉川英治文学賞を受賞。また、伊達歩の名で作詞家として活躍。「愚か者」で日本レコード大賞を受賞。マルチな才能を発揮しています。
2.本書;「大人の流儀(全11巻)」の第一弾です。「春(10項目)」「夏(10項目)」「秋(9項目)」「冬(9項目)」そして、補項(愛する人との別れ)の5つの章で構成されています。シリーズ合計で、170万部超のヒット作になったそうです。
3.個別感想(気に留めた記述を3点に絞り込み、私の感想と共に記述);
(1)『春』の章より、「大人が人を叱る時の心得;この頃は、様々な理由で職場の中で怒る人が少なくなっている。それは断じて違う。怒りなさい、叱りなさい、どやしつけなさい。・・・どやしつけてくれた経営者が、親方が、先輩が、いかに正しい事をしてくれたかは後年になってわかるものだ。・・・叱られた時は誰も辛いからである。辛いものは心身にこたえるし、よく効くのだ」
●感想⇒私は、会社に入った頃、上司に度々反論しました。その際、ひどく叱られたものです。私は、経験よりも理論や理屈を優先し、素直に従わなかったのです。しかし、中堅社員になった頃に、叱ってくれた上司の言わんとした真意(経験が知識を凌駕することがある)を理解できるようになり、経験を積む事の大切さを痛感しました。今でも褒められた事よりも叱られた事をよく覚えています。仕事以外にも、“人に対する感謝の気持ち” や “読書の意義”など、貴重な言葉の贈物を頂き、忘れる事はありません。また、人を叱るには一定のルールがあるとも言われました。「人前では叱らない(プライドへの配慮)、人格を傷つけない叱り方、等」です。この事も大変有益な教えでした。某書に「愛情があれば相手の為を思って厳しく叱る」と書いてありました。叱り方への気配りは言わずもがな。
(2)『秋』の章より、「企業の真の財産は社員である;(企業に)人間を作り上げるものがなければ、ただの利益集団でしかない。・・・企業の真の価値は社員である。人間である。誰だって仕事の覚えたては失敗の繰り返しだ。中堅になってもなお失敗はある。苦節、苦悩も日々生じる。しかし、失敗、苦節が人間の力をつけていく。そうして力をつけた企業は底力を持っている」
●感想⇒企業は、“Going Concern”として、永続的に存続し、社会的責任(社員・株主・地域社会への貢献等)を果たさなければなりません。「企業は人なり」と言います。私は、利益追求を優先し、人への思いは二の次に考える企業を評価しません。そういう企業は、経営者を見れば分かります。他人に持論を言う際に、自分の言葉でなくて原稿に頼る幹部は、自社のあるべき姿を考えていない証左です。私は、こんな幹部のいる会社に就職したいと思いません。
(3)『冬』の章より、「大人の仲間入りをする君たちへ;新成人の諸君に少し言っておく。八つの言葉の、③自分だけが良ければいいと考えるな。ガキの時はそれも許されるが、大人の男にとってそれは卑しいことだ」
●感想⇒世の中を見ると、社会生活のルールを守れない人がいます。ゴミの収集場所で思うのですが、キチンとゴミ袋綴じしない人、周辺にゴミが落ちていても拾わない人など・・・。私は、そんな時、自ら袋綴じしたり、こぼれたゴミを私のゴミ袋に入れます(しばしばある事なので、ゴミ袋に多少の余裕を残してゴミ捨てに行きます)。著者が言う、「自分だけよければいいと考えるな」納得です。
4.まとめ;最終章の「愛する人との別れ」は、“妻;夏目雅子さんと暮らした日々”について書いています。「人間には己でどうしようもできないことが一生で起こり得るし、そうなった人を見守ることは使命というか人間は当り前に手を差し伸べるのだと思う」とあります。個人的な事で恐縮です。今年3月に愛犬を亡くしました。享年14歳でした。最後の数ヶ月は体力も衰え、見るのが辛い日々でした。家族の一員の死を見て、さすがに涙しました。伊集院さんは、「時間が解決してくれます」と言っています。しかし、私は、朝夕の散歩でペット犬を見ると、今でも当時が偲ばれます。これも人生なので止むを得ないのでしょう。愛犬が亡くなって、5月からブクログを始めした。気晴らしになり、それなりに良かったと思っています。最後に、一言、『本書は若者へのメッセージが豊富です。一読すれば、心に残る言葉との出合いがきっとある』でしょう。 ( 以 上 ) -
本作の初出は、『週刊現代』(2009~2011年)。
著者、伊集院静さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。
---引用開始
伊集院 静(いじゅういん しずか、1950年〈昭和25年〉2月9日 - 2023年(令和5年)11月24日)は、日本の作家、作詞家。
伊集院静は作家としてのペンネームである。作詞家としての筆名は伊達 歩(だて あゆみ)。 本名(戸籍名・日本名)は、西山 忠来(にしやま ただき)。男性。
---引用終了
先頃、73歳にて、亡くなられました。
で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
苦難に立ち向かわなければならないとき。人に優しくありたいと思ったとき。どうしようもない力に押し潰されたとき。自分のふがいなさが嫌になったとき。大切な人を失ってしまったとき。とてつもない悲しみに包まれたとき。こんなとき、大人ならどう考え、どう振る舞うのだろう。二十歳で弟、三十五歳で妻・夏目雅子との死別を体験してきた作家が語る、強くやさしく生きる方法――。シリーズ累計140万部の大ベストセラー第一弾!
---引用終了
本作に登場する人物で気になった方は、
・伊集院静(1950~2023)---著者。
・色川武大(1929~1989)---一緒に競輪場に行った。
・帚木蓬生(1947~)---ギャンブル依存の著作あり。
・岡潤一郎(1968~1993)---元騎手。落馬事故で亡くなる。
・武豊(1969~)---騎手。
・夏目雅子(1957~1985)---元妻。 -
2011年作品。著者は私より9歳上です。ギャンブル・酒・喧嘩・多分女性関係。まさしく思うがままに生きた方と言う印象です。全く真逆な生き方をして来た私にとっては羨ましく思ってしまいます。著者は自分の尺度でダメなことはダメだと妥協をしません。今の時勢には逆行している感じです。でも、混沌とした今、そんな大人がいても良いのかなあと思ってしまいます。この著作の中で、やはり気になったのは前妻の夏目雅子さんの存在です。儚くて悲しい。
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気難しい親戚のおっちゃんの小話を聞いている感じやけど自分がおっさんになったからなのか親近感も湧くしなんか絶妙な空気感が面白くて飽きずに読めるエッセイ集
心に響く話や名言もあって読後感も良好で本を読んだなぁ〜って気分になれる。
心の響く金言 ★★★★★
近所のおっちゃんに叱られてる感 ★★★★★
本物の大人感 ★★★★★ -
「人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている。」
10年前くらいにこの一文に感銘し、いつか読みたいと思っていたエッセイ集。
時代云々はおいといて、味わい深い一冊でした。
「妻と死別した日のこと」と「愛する人との別れ」は、沁みました。
それがどうした。
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大人の流儀として、語られる言説のそれぞれには、昭和の男の価値観が伺えて、時代と社会の変遷を感じる。全てを大人の流儀として、頷き讃美することはできないが、中には人生を重ねたからこそ発せられる言葉がある。
KYという言葉、最近は聞かないが、若者の狭量な範囲の中での言葉として切り捨てていたり、
『それが世間のすれ違いであり、他人の事情だということを私は後になって学んだ。人はそれぞれ事情をかかえ、平然と生きている』などの言葉に、人生の深みを、人間の共通性を感じる。
愛するひとの別れについては、大きな喪失とその哀しみを受け入れていく姿が静謐に語られる。
人生は続いて行くということか。
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久しぶりにストレスのかかる読書をした。もちろんいい意味で。自分の価値観から大きく逸脱していない本を読むときはとても気持ちが良いし、スラスラ読めるものだが、得られるものがゼロということも少なくない。
その点、本書は自分との価値観の違いを「何故だろう?」と考えながら読み、新たな見識を与えてくれました。時々これはと思うフレーズもあり、魅力的な文章です。岡本太郎氏の『自分の中に毒を持て』を読んだ時の気持ちと似ている気がします。
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題名に名前負けした雑記。
でもこれ、シリーズでずっと出ているので
それぐらい売れているわけですがそんなに良いかなあ。。
伊集院静の様になりたいけど一生なれないオッサン向けに
ジャンジャン出して売っているだけの様に感じます。
最後の夏目雅子の内容は価値があったので辛うじて★2つ。 -
父の書籍。父と同年代であり、偏屈というか思考が近いので読んでて面白かった。にしても大人になるとある程度俯瞰した考え方で、且つ折れないものが必要なのだとと思う。どこか社会を憂いつつも見守る。そんな文章。死別をご経験されていることもあるかも知れないし、それは解らない。
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無駄な群れや馴れ合い、人前で知識をひけらかす人(伊集院さんはこの本ではグルメぶる人にとても厳しい)などを批判する内容から始まり、一方的に責められている気分になりちょっと読むのがしんどかった。ただ読み進めると、ご本人はギャンブル好きで酒癖が悪かったり、友人と表面的ではない交流を長く大事にされていることがわかり、次第に人生経験豊富な人のありがたい身の上話を聞かせてもらっているような気になってくる。
全体を通じて、伊集院さんは色々なことを批判しているが、それはつまり「自己研鑽をし、人との縁を大切にし、他人と比べたりすることなく好きに生きよ」といっているように感じた。少し励まされた気分になれる不思議なエッセイでした。
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いいねとコメントありがとうございます。今、投票に行き、帰りに散歩しました。途中で、犬を見ると淋しくなります。ブクログで紛らしています。今後もよろしくお願いいたします。
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いいねとお返事 ありがとうございます。こちらも投票に行ってきました。
淋しくてたまらないですよね。がんばりましょう。こちらこそよろしくお願いします。