がんワクチン治療革命

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 44
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062171090

作品紹介・あらすじ

末期がんが消えた!-がんと戦うための"3つの武器"とは…。

感想・レビュー・書評

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  • ガン退治に有望視されている最新医療を紹介している本だ。その目的は、ありとあらゆる最新医療の紹介ではなく、新薬としての正式な承認が期待されているペプチドワクチン療法の紹介だ。

    有望な新薬が登場しつつあるという事実に驚いた。「がんはまだまだ不治の病」という印象をもっていただけに、「いつの間にこんなに世の中は進んでいたんだ!?」とびっくりしたほどだ。

    さて、ペプチドワクチンが全てのガンにたいする答えとなりうるのかといえば、答えはNOだ。それは著者自身も認めている。だが、ペプチドワクチンが、がん患者の希望の光になるのは間違いない。ガン患者には生きる希望が何よりのパワーだ。それこそが本書の意義でもある。

    そして、本書の意義はもうひとつ・・・(以下、略)

    (書評全文はこちら↓)
    http://ryosuke-katsumata.blogspot.jp/2014/02/blog-post.html

  • 近藤氏撃破

  • がん患者の治療は一般的にはいわゆる標準療法と呼ばれる健康保険が適用される3つの治療法から選ばれることになる。外科療法(手術)、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)がそれだ。”国立がん研究センターをはじめとして旧七帝大系の病院は、標準治療を重んじるあまりに、マニュアルに書かれている治療法が尽き果てると、「うちではもう積極的な治療法はありません」と患者さんを突き放してしまっていることに気がついていないようです。”と中村氏は批判する。標準治療も外科手術は画像診断技術の向上や腹腔鏡手術の標準化があり、放射線治療では重粒子線と言う新しい治療法が出てきており、そして抗がん剤は次々と分子標的薬が開発され進化してきている。そして中村氏が推進しているのは第4の標準治療の候補となりうるペプチドワクチン療法だ。NHKの朝イチなどで標準療法では見放された患者に絶大な効果があった例が紹介され反響を呼んだ。

    がんと言うのはおおざっぱに言うと遺伝子の複製の際に起こるエラーによって細胞の増殖が止まらず、正常な細胞の働きを阻害する病気だ。正常細胞ががん化してもすぐに発症するわけではなく、通常は修復遺伝子が働いて遺伝子のエラーを修正したり、がん細胞を攻撃するリンパ球があったりしてーこれがいわゆる免疫だーがんを抑えている。

  • 2013/10/23
    近藤誠氏に対する反論のみ読了。
    父親が近藤氏の名前を挙げてきて、危機感を持っていたところでこの本を見かけ、該当箇所のみ読んでしまった。

    これだけ素晴らしい功績をあげた先生でさえ発言せざるを得なくなっている状態が異常ではないかと思う。しかし、医療業界が放っておいた結果、ここまで発言力、影響力が増してしまったことを考えると、何とも言えない気持ちになった。

  • 日本の癌研究で、第四の方法として注目される「がんワクチン」の方法を紹介した本。後半は日本の医療問題等についても触れている。

    まず、NHKに出演し紹介した時の反響や現在の癌に苦しむ人の事例を挙げており、2章では、ガンペプチドワクチンの方法について解説している。多少生物学の知識があった方がわかりやすいとは思うが、内容は高校生物の免疫の程度の知識である。

    3章では、免疫等を売り物にした民間療法、「がんもどき」を説明する医師の論理の矛盾を追及し、4章で、騙されやすい癌の療法、最終章では、がん医療の医療体制の問題点を扱っている。

    前に発行された「これでいいのか、日本のがん医療」から1年も経たずに発刊されているので、内容は重なる部分が多い。

    日本の医療体制や著者の中村氏に興味のある方は前書、がんペプチドワクチン治療に興味がある人は、本書を読むほうがよいと思う。両書を読んでも、本書ではがんや免疫の知識が多いが、前書の医療行政の知識もほぼ同じ量理解できたような気がする。本書の方が、より癌に焦点を与えたダイジェスト版のような気がした。

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著者プロフィール

1952年生まれ、医師、医学博士(ゲノム医科学・がん)。東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授、公益法人がん研究会がんプレシジョン医療研究センター所長。90年代より人の個性に基づくオーダーメイド医療(プレシジョン医療)を提唱し、推進に取り組む。大阪大学医学部卒、外科医として勤務後、渡米。87年、米国ユタ大学人類遺伝学教室助教授、89年、財団法人癌研究会癌研究所生化学部部長、91年大腸癌抑制遺伝子APCを発見。94年、東京大学医科学研究所教授、翌年より同研究所ヒトゲノム解析センター長。2000年から遺伝子多型研究プロジェクトを率い、2002年世界で初めての全ゲノム相関解析を報告。2005年、理化学研究所ゲノム医科学研究センター長を併任。11年、内閣官房参与・内閣官房医療イノベーション推進室長を併任。12年よりシカゴ大学医学部教授、個別化医療センター副センター長。2018年帰国、公益法人がん研究会がんプレシジョン医療研究センター所長、18年に内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)プログラムディレクターに就任、「AIホスピタルによる高度診断・治療システム」プロジェクトを率いる。

「2020年 『ディープメディスン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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