別海から来た女――木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判

著者 :
  • 講談社
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感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062177641

作品紹介・あらすじ

殺人3件・未遂多数。北海道・別海町の名家に育った女が、男たちを次々と毒牙にかける-女と男の闇を射る佐野ノンフィクションの真骨頂。

感想・レビュー・書評

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  • 作者のアクで実像が見えにくくなっている気がした。

    木嶋受刑者の画素数の低い顔写真を引き延ばして使用した表紙は夢に出てきそう。

  • 著者の偏見が多くて、読んでいられません。

  •  趣味の悪い本を読んだ。「睡眠薬と練炭を使った首都圏連続不審死事件は、『東電OL殺人事件』以来、久々にアドレナリンが噴出する事件だった。」(p.284)と書く著者って…正直と言うか,何というか。今までにない殺人事件に,魂が揺さぶられたらしい。お,お爺ちゃん…。
     東電OLの被害者を「大堕落した”聖女”」,木嶋佳苗を「悪魔に魂を売り渡したとしか思えない”毒婦”」と対比的に評してる。
     二部構成で,第一部は木嶋佳苗の故郷での聞き込み,第二部は裁判。 「第二部の傍聴記は、徹底的に散文精神にこだわって、裁判で明らかになった事実だけを冷静に伝えるようにした。」(p.285)と言ってるけど,ど・こ・が??って感じ。全然冷静でない,偏見に満ち満ちた,いつもの佐野節。
     冷静に書いたという「第二部 百日裁判」は初公判ののっけからこんな感じの記述が続く。 「どこにでもいそうなおばさんに不釣り合いな化粧を施した顔には、昭和の香りが濃厚に漂っていた。時代からひとり浮いたそのずれが、木嶋の異常さを一層際立たせていた。」(p.71)
    「付き合った男の死体の写真を見せられても、眉一つ動かさない。木嶋佳苗はやはりとんでもない”モンスター”だとあらためて思った。」(p.76) 「木嶋の陳述はことごとく、できそこないの”ハーレクイン・ロマンス”を読まされているようで、鼻白むほかなかった。」(p.85) こんな調子。
     いったいどこが「裁判で明らかになった事実だけを冷静に伝えるようにし」ているんだろうか? そして木嶋佳苗への嫌悪感を蜿蜒と書き連ねてきた挙句に,死刑判決に対してもネチネチ苦言を呈する。なんだこの全能感は…。判決の量刑理由の記述をつかまえて,「あまりにも感情的に過ぎる」はないだろう。
    「被告人は、当公判廷において独自の価値観を前提に不合理な弁解に終始するばかりか、各被害者を貶める発言を繰り返すなど、真摯な反省や悔悛の情は一切うかがえないことも併せ考慮すると、被告人の刑事責任は誠に重大である」という文章のどこが「感情的に過ぎる」のか意味不明。
    「こんな文章テンプレだ」というなら分かるんだけど。 あと裁判員が記者会見で,「達成感がありました」と言うのを聞いて,それに対する反感を表明しているが,その口が言うかという感じだなぁ。著者のは「達成感」ではなくて「重苦しい徒労感だけ」だったそうだが。
     佐野眞一って盗用・盗作でだいぶ批判があるらしいね。 盗用された溝口敦氏の文章→ http://t.co/FlpYhIxE 謝罪のはがきもアップされてる。

  • 東電OL事件を書いた人のだから読んだけど、東電OLの本ってこんなに独善的で頭が悪そうな文章だったっけ?と最初から不安で、最後まで変わらなかった。
    ノンフィクションなのに合間合間で挟んで来る著者の、明確な論拠もなく「〜に違いない」とか言ってみたり、いきなり「んなわけねーだろ!」と突っ込んでみたりっていうセリフに寒々しい気持ちに。
    コラムニストという肩書きの北原みのりが書いた、木嶋佳苗は毒婦ではないというスタンスの本も読んだけど、コラムなら裁判の傍聴がうまくできてなくても、裁判以外の取材で得た情報がなくてもしょうがないし、著者の勝手な意見や評論もそりゃあるだろう。週刊誌みたいな下世話な書き方なのもしょうがない。
    こっちの本はコラムでもエッセイでもないのに幼稚な構成と文章で読んでて嫌な気持ちになった。せっかく事件の当事者達のルーツを探る取材をしてるのに、ワイドショーで終わってる。
    東電OLの本もこんなにひどかったのか確かめるべくまた読んでみようと思った。

  • 「毒婦たち: 東電OLと木嶋佳苗のあいだ」( http://bit.ly/1o2T800 )を読むために読む。

    清水氏の事件ノンフィクション(http://bit.ly/1q0QEOF)を読んだあとで、これを読むと「ええー、こんな調査でそれを言い切るのか?」と思える雑さに素人ながら苦笑。
    ただまぁ、この本は裁判と同時進行で書かれた雑誌の連載をまとめたもののようなので、裁判までに取材に動ける日数というのが極めて少なかったんだろうな、と贔屓目に見たとしても、「だから、マスコミは嫌いなんだよ」と言われそうな典型的な取材なのが笑えるし、そんな情報でそんなステレオタイプな判断していいのか?と私でも思った。
    佐野氏は女性を扱わせると最悪にヘタクソだな。(^^;)
    ただ、裁判傍聴記録のところは、先に読んだ女性が書いた記録(http://bit.ly/1oyhy5b)と取り上げるところが若干違っていて、なるほどやはり気を引かれるところは人によって違うのだな、というところだけは面白かった。

  • 木嶋佳苗のことを書いた本だったが、世の中には本当にさみしい人が多いのだと思ってしまった。そんな人たちをだます人がいてこれからの世はどうなっていくのだろうと暗い気持ちになってしまった。

  • 本人の口から事件について正直に語られることがない以上、掘り下げ不足な気がするのは仕方がないことなのかもしれない。
    ただ、それだけに過剰に盛り上げようとするやり過ぎな印象は強く残った。

  • この人が捕まった時に誰もが「どうしてこんな人に?」と思ったでしょうがなるべくしてなったんだなと言うのが素直な感想です。宮崎勤のノンフィクションを読んだ時にも思ったけど犯行に及んでるときは別人格なんだろうな。まぁただすごい女性だってことはよくわかりました。
    著者は以前東電OL殺人事件のルポも書いてたけどなんか鼻につくところがあるんだけどなんだろう?

  • タイトル「別海から来た女」とのことで、木嶋佳苗の故郷別海で取材されているのだが限界があったのだろう。木嶋佳苗が虚構の中で生き犯罪に手を染める生き方をするに至るまでのルーツに焦点を絞りきれていないと思った。小学生の時には知人宅で通帳を盗むなどそのパーソナリティは確立されている。それまでに関わった大人、特に虐待をしていたという母親周りの掘り下げを期待したが。。

  • 気持ちの良い本ではないですが、これが真実なら本当に怖い。
    何より裁判官の「達成感がありました」は、裁判官が描いたストーリー通りになったとも受け取れます。こういった先入観を持った人に裁かれるのはもっと怖いですね。冷静に判断してほしい。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者、業界紙勤務を経てノンフィクション作家となる。1997年、民俗学者宮本常一と渋沢敬三の生涯を描いた『旅する巨人』(文藝春秋)で第28回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。2009年、『甘粕正彦乱心の曠野』(新潮社)で第31回講談社ノンフィクション賞を受賞。

「2014年 『津波と原発』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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