- Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062189057
作品紹介・あらすじ
戦後最高のベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』が絵本になりました。
この本は、トットちゃんが小学校1年生で学校を退学になるところから始まる、黒柳徹子さんの自伝的物語です。
入学早々いろいろと問題を起こすトットちゃん。担任の先生に呼ばれたママは「よその学校にお連れください!」と言われてしまいます。ママが新しい学校を一生懸命探した結果、「トットちゃんが気に入ったので」通うことになったのは、自由が丘のトモエ学園でした。電車を教室に使ったり、授業は好きな科目から勉強したり、昼休みは校長先生を奪い合って話を聞いてもらったり、とにかく何もかもがユニークな学校で、トットちゃんは情操豊かに、たくましく育っていきます。
学校にはそれぞれ自分の木があって、病弱な泰明ちゃんを、必死で自分の木に登らせ”ご招待”したこと、しかし彼は、やがて病気が悪くなって死んでしまったこと、障害のある高橋君が勝てるようなプログラムができていた運動会のことなど、子どものトットちゃんの心に刻まれたその時その時が、鮮やかに描かれていきます。
やがて戦争がトモエに、トットちゃんの生活にも影を落とします。学校の小使いさん(用務員さん)の良ちゃんが出征し、大岡山のキャラメルの自動販売機からキャラメルが出なくなり、パパがヴァイオリンで軍歌を弾きに行くか悩み、そして、とうとうトモエは空襲で焼けてしまうのです。
黒柳さん自身が退学の事実を知ったのは、成人してからだそうです。そんなことは全然知らなかったトットちゃんは、どんなことを考えて、どんなことを感じて、毎日を思いっきり暮らしていたか、同じ年齢の子どもたちに、ぜひ読んでほしいと思います。
子どもが扱いやすいよう、2巻に分け、すべての漢字にふりがなをつけました。いわさきちひろのイラストが100点以上、第2巻には黒柳さんの新しい原稿も収録されています。「最後まで、トモエが焼けてしまうところまで読んでほしい」という黒柳さんのご希望で、セットのみの販売です。
2015年は終戦70年。戦争のことを考えるよすがにもなる絵本です。
感想・レビュー・書評
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黒柳徹子さんの幼少期のお話なのかな。
幼少期の溢れ出す好奇心に、そうそう、こんなかんじだったなぁと自分の子供時代を重ねて読んだ。
体に障害がある人もない人も、みんないっしょだよ、みんなでやろう。きみは、本当はいいこだよ。個性を尊重する校長先生の教育方針が素敵だと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
刊行時に読んだっきりだったし、数十年ぶりに読んでワクワクしました。なんていうか、他者との垣根が無い関係性がうらやましい。
トットちゃん大好き。校長先生大好き。 -
2023.6.19 6-1 エッセイ
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大人になって改めて読むと、子供目線とはまた違ったトモエ学園の素晴らしさに気づき、温かい気持ちになる。
このように子供と接することのできる大人がどれくらいいるだろうか。
子供のころ読んだ時は、物語のように感じていたけれど、改めてこれが実在する小学校の話だったと認識すると、すごい教育者の方々がいたんだなと感じる。 -
DAIGOさんが「好きな本」として挙げていたのをきっかけに、読んでみました。
途中まで実話とは知らず、興味深く読みました。
小林先生の、「君は、ほんとうは、いい子なんだよ。」という言葉がとても印象的です。私の祖父が、かつてこんな風な言葉をかけてくれて、叱らずに面倒を見てくれていたことを思い出しました。
自分が大人になってみて、そんな風に子供を信じて育てるのがどれほど大変なことか、ようやく少しわかってきた気がします。
トモエは、障害をもつ方とのダイバーシティーも進んでいて、「世の中こうあったらいいな」という姿が体現されていたのも素晴らしいです。 -
感激して何度も泣いた。校長先生と初めて会った所は何度でも泣ける。子供を産む前に読めてよかった。子供の個性を大切にして幸せにしてあげたい。
子供が読む本じゃなくて、大人が読む本だと思う。私が小学生のときに読んでも、「なんで私の学校には、電車の教室がないんだろう?いいなぁ」と思っただけだと思う。これから子供を持つ人、教育に関わる人、大人が読む本だと思う。 -
29年度 6-3
2分 -
トットちゃんの本は,持っているんだけど,大きな絵本版を見つけて買っちゃいました。
いわさきちひろの絵が大きく載っていること,文章が短くなっていて,子どもに読み聞かせしやすいことなどを考えてのことです。
この絵本は,とても丁寧に作られています。なにせ,ちひろの絵が大きく載っているページには,ページ数が打ってないんです。これって,すごい配慮です。
原作もそうですが,このちひろの絵は,「トットちゃん」の出版に合わせて書かれたものではありません。原作が書かれた頃は,すでにちひろは亡くなっていました。作者の黒柳さんの強い希望で,息子の猛さんが,文章に合う絵を選んでくださって,本ができあがったそうです。
この絵本版を見ると,いわさきちひろの絵の力が,ぐいぐいと伝わってくるようです。
いい本ですよ。
原作をもっている方も,是非,手にとって頂きたいと思います。