私の命はあなたの命より軽い

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 884
感想 : 178
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062192057

作品紹介・あらすじ

仲のよかった家族に一体何が。

ページを繰る度に覚える違和感。そして続く衝撃!

『サクリファイス』の著者が「命の重さ」を描く渾身ミステリー!!

東京で初めての出産をまぢかに控えた遼子。
夫の克哉が、突如、ドバイへ赴任することになったため、
遼子は大阪の実家に戻り、出産をすることに。
実家に帰ると、両親と妹・美和の間に、会話がないことに気がつく。
そして父は新築したばかりの自宅を売却しようとしていた。
実家で何があった? 
明らかになっていく家族を襲った出来事とは――。

「どうして人の命の重さには違いがあるの?」

感想・レビュー・書評

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  • 美和に起こった壮絶な出来事を考えると、美和の言い分は最もな気がする。
    同じ命なのになぜ生きていい命と、死ななければならない命とあるのか。
    同じ問いをかけられるとうまく答える事ができるか分からない。
    全て一旦横において「あなたが大事だ」と伝えることしか出来ないんじゃないだろうか。

  • タイトルに惹かれて読み出したけど、続きが知りたくて一気読み。
    結婚して家を出ていた長女が出産のために実家へ戻ってくると、それまでの家族関係はガラッと変わっていて…とその謎が気になって、あれこれ想像しながら読了。

    一部抜粋…父と母を優しい人だと思っていた。だが、その優しさは自分たちが認めるガイドラインを守った人にだけ向けられるものだった。そのことがどうしようもなくつらかった。

    時に親は子どもを自分の所有物のように考えてしまう。勝手に理想をつくり、外れたことをすると期待を裏切った子どもを責める。

    子どもを別人格の1人として考えられない親は存在し、子どもはそれに抗う力がない。

    最後にハッピーと見せかけて、不穏さをチラつかせるエンドに余韻が残りました。

  • 出産を間近に控えた遼子。出産間近に夫がドバイへ赴任することになり、里帰り出産することに。
    しかし実家に戻ると家族に違和感が。実家で何が起こっていたのか?次第に真相が明らかになっていく。

    妹が何故夫の克哉とそこまで会いたくないのか、、、気になって仕方なかったが、その辺の伏線回収が最後の数行なのかな?

    こういうドロドロ系のお話は大好き大好き(笑)多分一週間も経てば内容を忘れてしまいそうだが(^_^;)

    あっという間に読み終わってしまった(*^^*)

  • 初めての出産を間近に控えた遼子
    夫の克哉が、突然半年間のドバイに短期赴任となり
    大阪の実家に戻り、出産する事に。
    事前に連絡を入れた母との会話にどこか違和感を感じながら…。
    一年前に新しい家に引っ越した実家
    もう、自分の家で無いような気がしていた。
    気が進まないながらも、実家に戻るとやはり違和感が…。
    両親と歳の離れた妹・美和の様子がおかしい。
    そして、両親は新築したばかりの自宅を売却しようとしていた。
    実家で何があったのか…。


    最初は気のせいかなってくらいの違和感が、次第に確信へと変わる。
    口を閉ざし続ける両親
    だが、少しずつバラバラのピースが嵌って行くように
    真実を知っていく遼子。

    -どうして人の命の重さに違いがあるの?-
    余りにも重いテーマ
    明らかになっていく数々の真実
    苦しかった。胸が痛かった。
    命の重さは平等…でも、平等ではない。

    父親の自分の認めるガイドラインを守った人だけに向ける優しさ
    自分の思い通りになっている内は、可愛がり。
    自分の期待を裏切った娘には失望し突き放し、
    傷付いている娘の心を慮ったり、寄り添ったりをしない。
    宏大君にした事も酷過ぎる。大人げない。
    そんな父親を咎めない母親も酷い…。
    そもそも、遼子が急遽、里帰り出産をしたいと言った時に、
    何故、全てを話さなかったのか…。
    家族なら話して良いのに…。
    二人の娘を更に傷付ける事も防げたのに…。
    家族とは、こんなにも危うく、あやふやなものなのか。

    遼子は、臨月なのに心から美和を思い
    本当に頑張ったと思う。
    美和が生きていられたのは、遼子が居たからだと思う。

    幸せに歩み出した家族の姿にホッとしていたのに…。
    ラストは、ゾッとした。怖かった。
    嫌~って叫び出しそうだった…。

    命の重さ・尊さを改めて考えさせられた。

  • 惹きつける山場が要所要所にあって最後まで一気に読んでしまった。遼子の実家の不穏の原因は題名から凡その予想はついたものの、全ての原因が一つに集約されていた所はどう繋がっているか想像付かず、先へ先へと読み進むのが止まらなかった。後半の遼子の出産の場面では、初めて我が子を手に抱いた時の感動を思い出して思わず涙。このまま全てがいい方向へ向かって終わるのかと思いきや・・・気が緩んだ隙に作者に一刺しされた気分です。それにしても、この妹の二面性。怖い。でも、こういう女の人いるなぁ。

  • 臨月になって突然、里帰り出産をすることになった主人公。
    だけど、久々に帰る実家はなんだか、ギコチナイ。
    何が家族をぎこちなくさせているのか…。

    ぎこちなさが気になって、一気に読んでしまった。
    9歳離れた妹の真実。
    それを知った上での、姉の行動。
    姉が妹に会いに東京まで行くのは、家族の大切さを
    感じたけど、最後が…最後が…。
    いやー、なんとも言えない終わり方ー笑
    いろいろと想像してしまい、怖かったですね。

  • ひたひたと染み込んでくる厭な感じでした。
    自分の子どもにはこうあって欲しい!から逸れると、子どもを憎々しく思うものなのかな親って……怖っと思いました。この作品では両親とも、自分達は微塵も悪くなく、どうして次女はあんな風になってしまったのかをずっと嘆いていて、そりゃあんなやり方したらね、と思いました。父親は明らかにやり過ぎ。
    独善的で、うちの父親と同じタイプなのでとても苦手です。
    同じ、新しく宿った命でも、結婚していたら祝福され、中三だったら亡き者にされる。目の前で、待ち望まれるのを見せ付けられるのだから、妹の憎しみも深深と積っていくのはわかる気がします。
    ラストはひえっとなりました。

  • ずっと理由のわからない不穏な空気が漂い続け、少しずつ謎が解けていってもすっきりすることはなく、最後の最後までおそろしいまま終わった。

    読み終えた瞬間、「こわっ」と声が出て体がぞぞぞっとなり両手が震えて本を落としそうになった。

  • 10代での妊娠ってそんなにあかんのかな。
    美和は可哀想やと思う。
    でも最後1ページのドロドロした感じは
    近藤さんらしくて好き

  • もっと早く主人公が行動的に動いてたら変わったのかな?まあ妊婦だから動きたくてもって気持ちがあったと思う。最後うまくまとまったと思ったら、数行であっけなく崩壊。これが主人公の妄想オチならいいんですが。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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