- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062204873
作品紹介・あらすじ
いまや「かぶき女子」が世に溢れるくらいの、歌舞伎ブームです。惜しくもなくなった中村勘三郎や、あるいはスター性抜群の市川海老蔵など、高い人気を誇る役者も枚挙にいとまがありません。
では、いったい歌舞伎とは何なのか。とくに、21世紀の現代社会に生きるわれわれにとって、歌舞伎とは何か?
演劇評論の第一人者である著者が、この問いに挑みます。
敗戦後、歌舞伎はどのように再興され、古典芸能であることと、戦後社会をどのように切り結んできたのか?
戦後の歌舞伎の歴史を現代の最先端まで検証しながら、その魅力と本質を存分に描ききった傑作です。
戦後は、まずは、「女形不要論」から始まります。歌舞伎にとって、まさに最重要課題といっていい「女形」について、戦後の精神は、どのように考えたのか。
そして、名優たちの興亡と、いまや「なんでもあり」といっていい現在まで。
歌舞伎の精神の戦後史です。
感想・レビュー・書評
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歌舞伎が戦後の明治の名優がいたころから、如何に古典芸能から変わって来たのかを、時代背景・時代の精神性、近代演劇の影響などから、現代演劇としての古典劇に至った歌舞伎の歩みを役者の舞台を機軸に読み解いていく。
歌舞伎役者が歌舞伎の世界にだけ生きてきた封建性が色濃く残る戦前から、近代の生活人として生きるようになった中で歌舞伎の役とどう向き合い演じてきたのか。古典であることと、現代の観客と自らが納得できる、型ではなく一個の個人としての登場人物の解釈。
そうした葛藤や踊りの身体性向上が導いた現代の歌舞伎は、伝統でもあり近代でもあり現代の演芸でも演劇でもある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者の言う「叔父の時代」からはリアルタイムで見ているので、大半は共感を持って読めた。著者の言う「前近代」「近代」「現代」の内容と流れが若干わかりにくい部分があるので、必ずしも一刀両断に納得できる論ではないのだが、スタイルの変遷についてのだいたいの感覚についてはほぼ同意できる。
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私の歌舞伎鑑賞歴ではまだ凄さがわからない。けど衛星劇場で先代團十郎の弁慶見れば別物だと思う感覚に言葉を与えてくれる。