欲望論 第2巻「価値」の原理論

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  • Amazon.co.jp ・本 (586ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062206419

作品紹介・あらすじ

世界を分節するのは欲望だ。欲望が、価値と意味を世界の中に織り出してくる。価値不在の現代に、価値と意味の原理論を立て直す意欲作。

現代の哲学(思想)は、幻影の問題を抱えて虚妄な議論の巨大な迷路のうちへと迷い込んでいる。「本体」の観念を完全に(すなわち哲学的根拠において)解体することによって、われわれははじめて、認識一般にとって何が可能なのか。何が認識不可能なのか、普遍認識が成立する条件と構造が何であるかを解明できる。またこの解明からのみ、どのような新しい知と学の地平が開かれるのかを明かにすることができる。本体論の完全な解体こそは、現代社会における哲学と思想の再生のための、不可避の始発点である。

「真」とは、「善」とは、「美」とは? 哲学究極の問いへの回答!

感想・レビュー・書評

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  • やっぱり自分に哲学の知識がないから、十分に理解できなかった。

    「良い‐悪い」や「きれい‐きたない」という審級は、母と子の関係から形成される。さらに、社会との関わりの中でも形成されていく。

    審級価値は本体のような絶対的なものではなく、言語ゲームのなかで集合的に信憑される。つまり生成される。そんな感じ?

    戦争、暴力原理、闘争原理の話が唐突だったように思えた。上巻の最初と下巻の最後。自分が十分に理解できていないから、そう思えただけとも思う。

    時間があれば再読したい。あと、第3巻が出たら頑張って読みたい。

  • 第2巻も550ページに及ぶ大作でやっと読了。著者の展開する現象学の手法に基づいて真善美の価値観について論じたのが第2巻の内容。先人の知恵も拝借しながら、著者独自の論を展開。「価値観はどのように形成されるのか?」という問いについて、見事な形で答えたのが本書。竹田現象学を理解している方にとっては、結論は「まさにこうなるな」と納得できる内容です。

  • 第2巻では、著者自身の理解するフッサールの発生的現象学の方法にもとづいて、われわれがこの世界のなかに「善」や「美」をはじめとするさまざまな価値を見いだすようになるプロセスを解き明かそうと試みられています。

    著者は、ハイデガーやレヴィナス、フロイトやラカン、さらにカントをはじめとする西洋美学史を幅広く参照していますが、彼らの思想はいずれも、ニーチェとフッサールによって清算されたと著者が主張する「本体論」と「相対主義」のアポリアに陥ってしまっていると断じています。あいかわらず大鉈で西洋哲学史を割り切る議論というべきで、それぞれの思想をていねいに検討しているとは、とうてい思えません。

    むしろ本書の見るべき内容は、著者の主張するエロス的な感受性の形成史が詳細に論じられている点にあるように思います。とくに「母」と「子」の関係のなかから、もっとも原初的で身体的なエロス的感受性が弁証法的に高度な段階へ向かっていくプロセスが詳細に論じられています。

    また、ロマンティシズムやエロティシズムの本質を、著者の理解する現象学的な本質観取の方法によってとりだす試みもなされています。これについては『恋愛論』(ちくま学芸文庫)でも論じられていましたが、著者の欲望論の体系のなかにあらためて位置づけなおされており、興味深く読みました。

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著者プロフィール

1947年生まれ。哲学者、文芸評論家。著書に『「自分」を生きるための思想入門』(ちくま文庫)、『人間的自由の条件ーヘーゲルとポストモダン思想』(講談社)など。

「2007年 『自由は人間を幸福にするか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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