紅城奇譚

著者 :
  • 講談社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062206525

作品紹介・あらすじ

奇想、天を焦がし、城を堕とす。

ときは戦国。九州に、謎と血にまみれた城があった――。

織田信長が天下統一をもくろみ、各地の戦国大名を次々と征伐していた16世紀中頃。九州は大友、龍造寺、島津の三氏鼎立状態となっていた。そんななか、三氏も手を出せない国ーー勇猛果敢で「鬼」と恐れられた鷹生氏一族の支配地域があった。その居城、血のように燃える色をした紅城で、次々と起こる摩訶不思議な事件。消えた正室の首、忽然と現れた毒盃、殺戮を繰り返す悪魔の矢、そして天守の密室……。眉目秀麗な、鷹生氏の腹心・弓削月之丞が真相解明に挑む!

感想・レビュー・書評

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  • 戦国時代の九州、暴君の城を舞台に次々と一族が殺されていく事件を描く。
    城主・鷹生(たかき)龍久の正室が首を切り落とされた遺体となって発見されたのを機に、第一側室が転落死し、城主の弟が毒殺され、その後も愛娘に父親に嫡男、第二側室と次々不審な死を遂げる。
    鷹生龍久は前の城主や主君を残酷な手法で打ち破っただけでなく一族郎党皆殺しにしている。この連続殺人はかつて龍久に敗れた一族の残党による復讐なのか。

    時代背景や城という舞台背景も全てミステリーのためのもの。首無し遺体があったり幼い子供が死んだり、暴君によって容疑が確定してもいない者が呆気なく斬られたりなどという残酷なシーンはあるが、本格ミステリーにもよくあることなので読み流せる。

    探偵役は龍久の重臣の一人、弓削月之丞。助手は第三側室の花。龍久は女たちの中でも新参者の花を特に気に入っていて執心しているが、花が想いを寄せているのは月之丞。やがてその想いは通じるが、勿論龍久には絶対にばれてはいけない秘密の関係。

    月之丞が調査した結果披露する推理はかなり凝っている。トリックにしてもそこにある心情にしてもそこまでする?と首を捻りたくなるもの。
    しかし一連の事件が龍久に対する復讐で龍久を徐々に追い詰めるためのものならそれもありかな、とも思えた。
    だがこれで終わりではないだろうと思いながら読み進めると、やはり予想した真相があった。さらに最後に大技が来た! これこそここまでする?と驚いたが、上手く利用したということらしい。納得。
    島田荘司さんか綾辻行人さんかという感じで楽しめた。

    終始殺伐としているので物語としては入り込めないが、主人公の花としてはハッピーエンドということで良いだろうか。

  • 戦国時代の一大名の居城を舞台にした連作ミステリ。
    残虐な城主の身内が次々と奇怪な死を遂げてゆく。城主の腹心である月之丞が真相解明に挑むが…
    この時代ならではの大掛かりなトリックと、狂気に満ちたおどろおどろしい雰囲気がいい。細かいツッコミどころはあるが、奇想大好きなのでたいへん面白かった。

  • 戦国時代でミステリ。動機やトリックが戦国時代ならではで好みでした。館シリーズや城シリーズみたいな、からくり屋敷の趣もあります。
    物語を貫く狂気と執念が物凄いです。因果因縁。事件で最もおおぉとなったのは「暴君の毒死」でした。登場人物誰も彼もうーんだったけど、メインキャラのお子さんたちや妹さんみたいな周囲の人々の顛末に、戦国時代の非情さを感じました。
    破ラストの合戦、難攻不落ってこういう城の事だっけ…????天守閣本体が兵器って……やり過ぎなかったらその後攻め込んできた島津義弘も困っていたかも。
    「奇譚」の題に反しないミステリでした。紅い城は好きですね…安土城とか。暴君度が高いお館様は居城を紅く塗るのかな。九州を舞台にしたミステリ、既読が増えました。

    「天守落とし」、言ってみたい日本語だけれど口に出す機会は無い。せつない。

  • 【収録作品】序/破 破の壱 妻妾の策略/破の弐 暴君の毒死/破の参 一族の非業/破の肆 天守の密室/急 
     犯人も動機もわかりやすく、そこはメインではないのだと思う。でも、機械トリックがキモというのもそれに興味のない者にはピンとこない。どことなく懐かしい雰囲気がある。

  • 戦国時代を舞台にした本格ミステリ。
    これは面白かった。キチンと探偵役がいて、この時代ならではの理不尽なフーダニット・ハウダニットが炸裂する。トリックも含め、時代を戦国に設定した意味があったのが良かった。意外性も充分だった。
    読後感は相当悪いけど、この展開で爽やかに終われる筈が無いからなあ。そこは我慢しましょう。

  • なかなかトンデモトリックの娯楽なお話し

  • 自分の想像力が乏しい。映像化すればこの迫力が伝わるのかな?

  • まあ簡単に人が死ぬわ死ぬわ。
    戦国時代のオキテ。

  • 戦国時代を舞台としてミステリーとして
    ちゃんと成立しているので
    その点は面白く読めた。

    登場人物も役割やキャラクターがはっきりしていて
    つかみにくいところもなく、
    よくできた作品だと思った。

    ただ、トリックや行動理由のところで
    スッキリしない部分も残る。

    そこに目をつぶれば楽しめる本だと思う。

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著者プロフィール

1960年福岡県生まれ。九州大学理学部卒業。2001年『中空』で第21回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しデビュー。主な著作に「観察者」シリーズ、「綾鹿市」シリーズなど。碇卯人名義でテレビドラマ「相棒」シリーズのノベライズも執筆。2016年『死と砂時計』で第16回本格ミステリ大賞【小説部門】を受賞。

「2021年 『指切りパズル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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