完パケ!

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 220
感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062209533

作品紹介・あらすじ

閉校が噂される映画大学で、監督を目指して競い合う安原と北川。二人の性格は水と油、でも同じチームで卒業製作を行うことになり――

感想・レビュー・書評

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  • 額賀さんの青春モノ、いいなぁ。と思いながら読んでいたら、前作の家庭小説を汲み込んでいる作品にもなっていて。大好きな作家さんなので、進化の過程を見ているようでなんだかうれしい。 自分にないものを持っている相手。お互い補い合って…なんて簡単なものじゃない。焦りや苛立ちにじたばたして。嫉妬と羨望と不安と自己嫌悪の渦の中、もがいてもがいて。思ってた結果ではなかったけれど、思ってた結果により近い未来のふたりと若き映画人たちに幸あれと、フィクションの魔法にかかったまま願いを込めてページを閉じた。面白かった。

  • 読み終わり、感動した。感動した。大傑作ですよ。額賀さん1作ごとに力つけてますね。安川と北川の友情、絆が素晴らしい。安原の監督としての妥協しないところが真の映画を撮っていると感じた。主演二人の演技への葛藤の描写も素晴らしいものがありました。絵の小道具として雨の絵の大作も見てみたいし、なんと言っても『終わりのレイン』この映画を本当に撮って見てみたいと感じてしまいました。

  • 学生数の減少により、閉校が噂される映画学校で学ぶ安原と北川は、映画監督を志す友人同士。
    友人も多く、恵まれた家庭環境で生まれ育った北川。
    田舎に母を1人残して上京し、バイト先でも要領が悪いと言われ、口下手な安原。

    卒業制作となる短編映画のコンペで競いあった結果、監督に選ばれたのは、勝利を確信していた北川ではなく、安原だった。
    そして、安原が真っ先にした事は、敗れた北川に、プロデューサーとして力を貸して欲しいと頼むことだった…


    安原と北川の視点から交互に描写される、映画制作の現場。
    ふたりを取り巻く若者たち、それぞれの胸に秘めた切実な悩み、噴き出すところを探してもがく夢の、熱さと冷たさ、明るさと暗さの入り混じった描写がいい。

    額賀さんの描く登場人物も、いよいよ社会人一歩手前まで成長してきた。
    次は社会人物か、もっと違う年代の人物か…また楽しみに待つことにしよう。


    と、メモに書きかけたままレビュー投稿をし忘れておりました。

  • 嫉妬や羨望が散りばめられていて読んでる間心臓がずっと小さくドクドクしていた感じ。文章が上手で情景が鮮明に浮かぶのでまるで漫画を読んでいるような感覚でさくさく読めた。
    2人の視点が交互に描かれていて、腹落ちしながら読める分、綺麗にまとめられすぎている感も少しあった(前半で結末が何となく読めた)。

  • とっても小説らしい小説で、意識しあう二人の気持ちがとってもよくわかった。青春そのものをストレートに描いているのがよかった。それを見守ってついていく仲間や、周りの大人との関係性もよかった。リアルなエンディングも含めて全てすき。

  • 経営難の映像大でコンペを経て卒業制作の監督とプロデューサーになった映画監督志望の男子学生二人がカンヌを目指す。スタッフもキャストも登場するけれど極自然に二人に集中線が集まるよう。恵まれた北川と切実な安原が互いを羨ましく思いながらも皆で協力し一本の映画を作り上げる様子が苦しさもあるのに爽やかで眩しい。

  • 読んだあと、清々しい気持ちになりました。
    映画を観るたびに思い出しそうです。

  • 女性作家が男同士の友情ものです
    女性作家にしてはBL演出が無くてよかったです
    この著者に感じるのは端役のキャラクターに魅力を感じることが多いです
    主人公を書くと性格が良すぎて途端につまらなくなります
    本作でも主演キャストの俳優と女優が現場を振り回していておもしろいです
    どっちも性格が悪くておもしろいです
    俳優は単にウザいし、女優はメンヘラです
    雨の中で紙を拾い集めるシーンと真冬に裸でバイクをかっ飛ばすシーンが印象に残っています
    メインの男同士の夢の行末は興味ありませんでした

  • 2021.9.24

  • 何かを捨ててまでやりたいことがある人はかっこいい。
    「切実さ」とは、大事なものを犠牲にしても何かを手にする覚悟のことなのだろうか。

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著者プロフィール

1990年、茨城県生まれ。日本大学芸術学部卒業。2015年、「ウインドノーツ」(刊行時に『屋上のウインドノーツ』と改題)で第22回松本清張賞、同年、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞する。著書に、『ラベンダーとソプラノ』『モノクロの夏に帰る』『弊社は買収されました!』『世界の美しさを思い知れ』『風は山から吹いている』『沖晴くんの涙を殺して』、「タスキメシ」シリーズなど。

「2023年 『転職の魔王様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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