戦艦大和誕生 上 (講談社+アルファ文庫 G 36-3)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 57
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (451ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062564014

作品紹介・あらすじ

「軍艦造りの名人」「海軍造船に西島あり」といわれた技術者が、世紀の大事業「大和」の船殻主任に指名された。大和建造の全過程をその身を削って体験した西島は、戦後、その口を閉ざし、多くを語らなかった。ところが意外にも、一千枚を超える回顧録ともいえる原稿を残していた。この未公開記録をもとに様々な取材、地道な資料調査などを加えて、超弩級戦艦建造の知られざる偉業を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • いやー、面白かった。
    大和の建造記録も十分に面白かったけど、そこまでの軍艦建造についての方が面白かった。
    この本のお陰で平賀譲や藤本喜久雄といった有名な設計者がどのような信念を持ち、設計を行っていたのかを僅かではあるが理解できたと思えた。そこから旧海軍にとって不幸だった事は平賀譲の発言権が大きくなりすぎたことだと思った。堅実派と進歩派がバランスよくたてば良かったのに。
    そういえば、戦前の日本で規格統一が少しでも試みられ、成功を納めている事には驚いた。
    [more]
    西島技術大佐のやろうとしている建造の統制がシステム開発のプロジェクト管理と似ている部分がある事には驚いたね。多分だけど、建造で培われた管理手法がシステム開発に用いられていると思うんだけど、どうなのかな?
    後、西島技術大佐が工数算出で悩んでいる事が規模は大きく違うがプログラミングの工数計算で悩んだ自分と重なり、頷きながら読んでしまったよ。

  • たいがいのノンフィクション軍艦戦記モノは当然海戦だったり大和は世界一!みたいな話がメインになっちゃうけど、これは違った。設計されたフネをどう早く安く楽に造るか、ってことに心血注いで、大和を造った造船主任の話。大和を造った海軍工場の工数は、2番艦武蔵を造った三菱の工数の半分で済んだ。嘘だろうと思ったけど読んだら納得。こういう人がいたから戦後に造船がすぐ立ち直って世界一になったんだな、と。普通の戦争小説みたいにばこばこ撃ちあう描写はほぼ無くてページ多いけど、すぐ読み終わった。久しぶりにいい本読んだと思った。西島大佐めちゃめちゃかっこいい。

  • 戦艦大和は、手作りでした。 太平洋戦争の日本海軍の主役として誰もが知っている戦艦大和ですが、この艦は全ての建造行程を指揮した西島技術大佐の努力の賜物でした。彼の回顧録を基に、戦艦大和の建造設計技術、生産管理、品質管理方法など現代の造船にも通じる技術開発の行程やそれに纏わるエピソード、時代背景などを解説したのがこの本です。
    戦艦大和については、その活躍や悲劇的な最期など、いろいろな手記や本で紹介されており、吉田満の「戦艦大和の最期」をはじめ、いくつかの本を読んだことがあります。
    この本ではそれらの本とは違って、戦艦大和誕生までの経緯を技術的な側面から捉えていてとても面白かった。
    戦艦大和は技術もデザインも、世界で一番美しい戦艦だと思います。この戦艦は、多くの裏方さんの努力の結晶だったのですね。

  • 現代に通じる技術はどうやって開発されたか。豊富な資料を基に、綿密な下調べを行った様子が文章よりうかがえます。一気に読めますよ。

  • ●<A HREF="http://endinear.way-nifty.com/blog/2005/08/post_6685.html">燃える100冊【05/08/03号】</A>

  • 「大和」建造に携わった人々の中で,特に工事実施計画の指揮に携わった西島 亮二技術大佐のノートを軸に語るノンフィクション.

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著者プロフィール

前間 孝則(まえま・たかのり)
ノンフィクション作家。1946年生まれ。石川島播磨重工の航空宇宙事業本部技術開発事業部でジェットエンジンの設計に20余年従事。退職後、日本の近現代の産業・技術・文化史の執筆に取り組む。主な著書に『技術者たちの敗戦』『悲劇の発動機「誉」』『戦艦大和誕生』『日本のピアノ100年』(岩野裕一との共著)『満州航空の全貌』(いずれも草思社)、『YS-11』『マン・マシンの昭和伝説』(いずれも講談社)、『弾丸列車』(実業之日本社)、『新幹線を航空機に変えた男たち』『日本の名機をつくったサムライたち』(いずれもさくら舎)、『飛翔への挑戦』『ホンダジェット』(いずれも新潮社)など。

「2020年 『文庫 富嶽 下 幻の超大型米本土爆撃機』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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