図解・橋の科学―なぜその形なのか?どう架けるのか? (ブルーバックス)
- 講談社 (2010年3月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062576765
作品紹介・あらすじ
かつて「悪魔が架けた」ともいわれたほど困難だった橋の建設は、ガリレオによって誰もが計算できる「科学」になった。橋がさまざまな形をしている理由、「世界最大」明石海峡大橋の架け方ほか、知的興奮に満ちた「渡る」ための知恵とワザ。
感想・レビュー・書評
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大阪の海側で生まれ育った私にとって「橋」は身近なもので、しかもけっこう大掛かりな橋を間近に見ていたことになる。
私が小学生のときに竣工した千本松大橋(せんぼんまつおおはし)は、下を流れる川の両岸に当時は造船所が並んでいたことから、大型船舶が航行できるように桁下が33メートルもの高さになる。この橋は自転車や歩行者でも通れるので、息を切らせながら頂点まで登ったときの景色は最高だ。また下から見上げたときの橋の構造も美しいの一言につき、橋に求められる機能と構造美が一体化した橋の代表例だと思っている。
また、大浪橋(おおなみばし)では道路に架かる鋼製のアーチが身近に見ることができるし、これも私が小学生のときにできた港大橋では、赤い三角形が並ぶトラス橋の眺めが空の青に映え、いつまでも見飽きなかった。
そのような私の年少時の橋の思い出以上にもっと見ごたえのある橋が日本にもいっぱいあるよと言わんばかりに、この本では多くの橋が実例として示されている。
そして私がうれしかったのは、それぞれの橋の実例をもとに、その橋の構造力学や材料力学上の解析のほか、架橋に携わる人々の苦闘と知恵の結集とがわかりやすく書かれている点だ。
専門書ではなく入門書として、私のように橋の見栄えに興味をもったような部外者や、中学生や高校生などのこれから専門分野への興味が芽生え始める人が読むのに適した構成になっている。
ほかに実例で出されているのは…
1)上津屋橋(こうづやばし)(京都府)=時代劇でおなじみ。木橋で“流れ橋”の異名をとる。「流されやすい橋」という短所を逆手にとった例。
2)谷瀬の吊橋(たにぜのつりばし)(奈良県)=風による変形や揺れを防ぐための“耐風索”の説明あり。
3)工事中の斜張橋の写真=これを見れば、吊橋と斜張橋の違いはすぐわかる。
4)そして有名な錦帯橋(山口県)=まず木組みのアーチ型にちゃんと力学的な裏付けがあったこと。そして橋脚の石組みに目を奪われがちだけど、実はこの橋の工夫は、橋脚部の洗堀を防ぐための川底の石張りにあること。
本当は写真をカラーで見たかったけど、さっき書いたように中学生や高校生に読んでもらおうとしたら、4ケタ手前の税別980円の価格設定による現行のモノクロがぎりぎりの所かな。-
たまどんさん
大阪は「浪華の八百八橋」て言われるけど、実際は東京の方が多い気がする。どうなんだろう?たまどんさん
大阪は「浪華の八百八橋」て言われるけど、実際は東京の方が多い気がする。どうなんだろう?2021/04/13 -
猫丸さん
大阪は“橋”がつく地名が多く残っているので、橋の数が多いと感じるのでしょうか?
おっしゃるとおり、東京も橋は多いと思います。私...猫丸さん
大阪は“橋”がつく地名が多く残っているので、橋の数が多いと感じるのでしょうか?
おっしゃるとおり、東京も橋は多いと思います。私は東京に在住したこともあるので、素直な感想です。
なお、両さんは少年時代、浅草から下流にかけて隅田川にかかる橋を全部言えましたが、どの橋も独特の美しいフォルムをもっています。
また、聖橋は橋自身の美しさもさることながら、橋から神田川沿いにお茶の水駅方面を見たときの景色の美しさも絶品です。
数比べではどちらが多いかはしりませんが、どちらも見ごたえのある橋が多いということは間違いないでしょう。2021/04/14 -
たまどんさん
「大江戸八百八町」と言うのに対抗したのか?
実感として東京の方が起伏があり「坂」が多い気がする。
だから何?ですが、素敵な橋や...たまどんさん
「大江戸八百八町」と言うのに対抗したのか?
実感として東京の方が起伏があり「坂」が多い気がする。
だから何?ですが、素敵な橋や景観の移り変わりがあると散歩に適している。ぶらぶら散策したい。
「こち亀」の話ありがとうございます。子どもの頃のエピソードをセレクトしてくれないかなぁ。
読みたいと思っている一冊に半藤 一利「隅田川の向う側 私の昭和史」があったのを思い出しました。2021/04/15
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橋の力学,架け方の実際,事故と対策,保守など,橋の入門に最適。トラス橋,アーチ橋,吊橋,斜張橋…写真や図を眺めるだけでも楽しい。
構造力学の話は,模型や図を使ってイメージしやすい記述が良い。曲げによる圧縮と引っ張りの例として,バナナで説明してたのにはウケた。皮付きバナナと皮むきバナナ。それぞれを曲げると皮付きは内側が潰れ,皮なしは外側が切れる。一目瞭然!一度見たら忘れがたい。
ガリレオが梁の研究をしていて,断面係数にあたる量まで理論的に導き出していたのは知らなかった。しかも,それが間違っていたという…。W=bh^2/6になるべきところ,彼は三倍のW=bh^2/2としていたそう。でも当時はそもそも材料の物性値がよくわからんかったから,別に問題にならない。
過去の落橋事故って意外と多い。橋でもなんでも,理論以前に経験で作られていたし,理論ができてからも予測しえなかった要因で事故に至ることが多かった。橋脚の洗掘とか。有名なタコマナローズ橋の風による共振とか。
事故が起きてから,その原因を究明し今後に活かしていく。自動車でも飛行機でも科学技術ってそういうふうにして発展してきたところが大きい。そう考えると,事故が起きたときのダメージがやたらに大きい原子力というのは,やっぱり危うい技術だよなぁ。 -
515-D
閲覧新書 -
近代土木技術で「浮き橋」が新たに作られているということを知った。アメリカとノルウェーの事例が載っていた。大阪港にも一つ「浮き橋」があるそうだ。いつか見に行こう。
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タイトルの通り橋について科学をあらゆる方向から書いている本です。橋の力学、橋の構造、橋の建築方法から保守の方法まで隅々まで書いてあります。図が多いのでページ数ほどの分量もないので、この本で一通り読んでおいてから、もう少し詳しい本で構造とか細かく勉強するのが良いのかも。
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タイトルの通り、橋の種類や建て方、建てる上で注意する要素について、平易に解説した内容。その構造がなぜ強いのかを、はがきや粘土を使ったかんたんな模型で示しているのがよかった。大阪に色んな種類の橋があるというのは知らなかった。建て方についても、橋脚から桁を伸ばして繋げるというのは知らず、それがなかなか大変であろうことは想像に難くないので、高精度の工事を行う人々は本当にすごい。ある場所にどういった橋をかけるか考えるのは大変だがやりがいがありそう。橋の科学館、気になるので今度行ってみる。
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橋を見る目が変わります。
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身近なのに,分かりやすそうで,分かりにくい「橋」。この本を読むと,橋の科学的な側面を中心に,親しみをもてるようになれる気がする。(初心者なんでこんな書き方になってしまってすみません)
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橋がさまざまな形をしている理由、「世界最大」明石海峡大橋の設計から架け方まで、知的興奮に満ちた「渡る」ための知恵とワザを徹底解説!