川はどうしてできるのか (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062578851

感想・レビュー・書評

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  • めちゃくちゃ面白い本。
    日本の地形・景観がどのようにして出来上がっているのかを示してくれる。

  • 科学道100冊 クラッシックス
    【所在】3F文庫・新書 ブルーバックス 1885 
    【請求記号】408||BL||18851
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/167750

  • ☆川もまた地球の歴史を物語る

  • ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00530764

  • 『川はどうしてできるのか』という書名だが、川ができてからの、時には億年単位の長い変遷の話が面白い本である。
    「一」の字に流れていた川が、断層がずれて「Z」の字のように曲って流れる川。四国の四万十川のように標高の高い山岳地帯を大河が蛇行しているのは、土地が隆起したためであるとか、百万年以上の単位の時間を感じることになる。
    中国大陸では、大陸移動で小大陸が衝突したときの境界が大河になっているというので、日本国内とはスケールが違う。
    天竜川の上流は、犀川とつながっていて、そのころの犀川は南へ流れていた可能性もあるらしいとか。
    藤岡換太郎著、講談社ブルーバックス 2014年

  • 「ヒマラヤを越える川がある」という話が面白かった。地球の歴史を学んだ。

  • 内容
     第一章では、実在の河川について、なぜその流れが形成されたのか、を考察する。そのなかでも印象に残ったものを記す。
     アルン川、デゥブコシン川、ボーテコシ川、スンコシ川の4河川は、ヒマラヤ山脈を南北に横断する流路をもつ。これらの河川はヒマラヤ山脈が隆起する前(約4300万年前)から存在していた。(このような河川を先行河川という。) 隆起を始めたヒマラヤ山脈を流れる河川は、流路の落差を増すことで、その浸食力を高める。ヒマラヤ山脈が隆起する作用よりも、河川が浸食する作用の方が大きかったため、河川はヒマラヤ山脈を削りながら流路を維持することとなった。もちろん、ヒマラヤ山脈隆起後にできた河川がヒマラヤ山脈を横断することは、ない。
     黒く見えたり、白く見えたりする川がある。たとえば、斐伊川は黒く見えることで有名である。これは、斐伊川上流に分布する花崗岩が、黒く見える「磁鉄鉱」を多く含むためである。磁鉄鉱の密度は大きく(5.2g/cm3)、水に流されずに河床に残った磁鉄鉱が、斐伊川を黒く見せている。一方、石英や長石を多く含む花崗岩が流域に分布する河川は、白く見える。また、南米のネグロ川では、腐食した植物が水に混ざることで、黒い水が流れている。従って、ネグロ川の流れは黒く見える。
     川の流れは海底でも続いていることがある。川の運搬作用により海まで運ばれた土砂は、海に注いだあとも海底の傾斜にそって流れ下る。この流路を「海底谷」と呼ぶ。海底谷は、断層によってできたものや、川から流れてくる土石流によって削られてできたもの、現在よりも海面が低かった氷河期(約1.2万年前-1万年前)に川の浸食を受けてできたもの、などがある。この海底谷は海溝に沿っていて、もっとも深い場所まで進んでいる。たとえば東京湾付近では、荒川、多摩川などの河川は、東京湾にある「古東京谷」を通り、相模トラフに合流し、日本海溝に落ち込んでいく。日本海溝の深さは、約7400m-9200mである。海溝にたどりついた堆積物は長い間動くことはないが、地球内部の火山活動に取り込まれ再び地表に出てくることもある。
     第二章では、多摩川を上流から下流にかけて(仮想的に)下る。多摩川の源流となるのは、笠取山である。多摩川の場合は源流が特定されているが、源流の特定は難しく、たとえばアマゾン川やナイル川の源流は未解明である。笠取山には、分水嶺と呼ばれる、流域の境界がある。源流近くでは細い支流だが、複数の支流が合流することで、次第に大きな流れとなる。上流では川の流れは急であり、下刻作用が大きい。そのため、V字谷を刻むことが多い。羽村取水堰を越えると、中流とされる場合が多い。上流に比べ傾斜が緩く、堆積作用が卓越するようになる。典型的な地形は武蔵台地などの扇状地である。さらに下流に進むと、三角州ができる。二子玉川付近には、多摩川と支流の野川によって形成された砂嘴がある。また、河川は蛇行を繰り返し、三日月湖を形成することもある。下流では、海水が逆流することもある。

    感想
     本書に登場する地名を画像検索すれば、実際の写真を見ることができたので、地形のイメージを豊かにすることができたと思う。
     川は、絶えず大地を削り、土砂を海へ運んでいく。水が高いところから低いところへ流れるのと同時に、土砂をも高いところから低いところへ運んでいるのだ。この営みを通して、地球表面に存在する位置エネルギーは減少を続ける。これを続けていくと、最終的に地球はのっぺりとした平地になってしまうだろう。しかし、地球内部の熱エネルギーを動力源とした造山活動が、再び地球表面に位置エネルギーを供給する。果てのない繰り返し。地球全体が呼吸をしているようだ。その営みは、エネルギーを取り入れては使い、取り入れては使っている生物のそれと重なる。手塚治虫の『火の鳥』にも、地球と生物を重ねる描写がみられる。川は、人間の生活に深く関わってきた身近な存在であると同時に、人間の把握できる時間幅を大きく越えた存在でもある。地球レベルの時間につながる、身近な存在である。

  • 名だたる大河から名もなき流れまで、地球上に存在する無数の川の不思議。地形の名探偵と一緒に謎解きをしてみましょう。山より海より、川はミステリアス!

  • パンゲア時代に繋がっていた川が分断されたり、地層の移動によって川が分かれたり。長い時間軸の中では、壮大な動的変化が起きていることがわかる。
    想像力が刺激されました。

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著者プロフィール

ふじおか・かんたろう
静岡大学防災総合センター客員教授。1946年京都市生まれ。東京大学理学系大学院修士課程修了。理学博士。専門は地球科学。東京大学海洋研究所助手、海洋科学技術センター深海研究部研究主幹、グローバルオーシャンディベロップメント観測研究部部長、海洋研究開発機構特任上席研究員を歴任。「しんかい6500」に51回乗船し、太平洋、大西洋、インド洋の三大洋初潜航を達成。海底地形名小委員会における長年の功績から2012年に海上保安庁長官表彰。著書に『山はどうしてできるのか』『海はどうしてできたのか』『川はどうしてできるのか』『三つの石で地球がわかる』『フォッサマグナ』『見えない絶景 深海底巨大地形』(いずれも講談社ブルーバックス)など。


「2022年 『天変地異の地球学 巨大地震、異常気象から大量絶滅まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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