能に憑かれた権力者: 秀吉能楽愛好記 (講談社選書メチエ 116)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062581165

作品紹介・あらすじ

「のふにひまなく候」。晩年、能に取り憑かれた秀吉は、前代未聞の禁中能を催す。宮中に、秀吉、家康、利家が舞い、輝元の小鼓が響きわたる。自らの生涯を「十番の能」に新作させ、能楽史を変えた権力者の凄まじい熱狂に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 天下人となり権力者となった直後、秀吉は突如、能楽に取りつかれ自らも演じるほどの大ファン、いや能オタクになってしまった。
    名護屋在陣中をはじめとして能に熱中した秀吉は、当然ながら周囲の者も巻き込んで、一大フィーバーを巻き起こす。前例のない禁中で能を催し、自らが主役の演目まで作成させてしまう。
    「能の練習で他のことをやる暇がないんです。」とは妻おねへの手紙の一節であるが、秀吉の傾倒ぶりがうかがわれ微笑ましい。
    さて、周囲の者はどうか?徳川家康、前田利家、毛利輝元といったお歴々もそれなりに付き合わされてはいたが、どこまで楽しんでいたのだろうか?秀吉が保護することになる四座もそうだが、権力者の気まぐれからくる悲喜こもごももあったことだろう。
    そうした秀吉の能楽フィーバーを丁寧に辿った能文化史の一断面。能に入れ込む空気が伝わってくるような著作でした。政治パフォーマンス的分析についてはもう少し突っ込んで欲しかった。

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著者プロフィール

京都造形芸術大学舞台芸術研究センター所長。大阪大学名誉教授。著書に『翁猿楽研究』『能に憑かれた権力者』『現代能楽講義』『世阿弥がいた場所』『能苑逍遥(上中下)』、共編著に『能を読む』全4 巻。観世寿夫記念法政大学能楽賞、日本演劇学会河竹賞、木村重信民族藝術学会賞。

「2016年 『世阿弥を学び、世阿弥に学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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