本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062581882
感想・レビュー・書評
-
廃藩置県、と一言でいうのは簡単ですが、国の仕組みを変えることはものすごい力がいります。この本は、一筋縄ではいかなかった廃藩置県の過程をいろんな出来事の順を追って解説していて、とても興味深く読めました。
明治維新後の薩長土肥に頼った府藩県三治体制から、その体制の実体化を図るための版籍奉還、そしてその後の政府の停滞から起死回生を狙った廃藩置県と続く流れは、躍動感がありました。中央の力が弱いながらも、意思決定までの時間が短く、今の停滞感から見れば見習うところも多々あるのではないでしょうか。
いくつか面白い点を抜き出すと、戊辰戦争の時に木戸孝允の言った「戦争より良法はない」という言葉、これは非常時には制度改革を進めやすいということかと思います。既存制度の壁でなかなか改革が進まないことも、ピンチをチャンスに変えて、改革をしていく必要があるんでしょう。
また、内務省より前の流れは初めて知りました。大蔵省が財政も内政も司る巨大官庁で、そこから内務省の分離があったとのこと。ただ、地方政府への出向は廃藩置県当時から現地とは関係の無い他人を使っており、「よそものほど改革ができる」というのは今も昔も変わらないことなんだろうと思いました。
あとは政策の運用と企画を同じ人が考えている現在の官僚制度が果たしていいのだろうかということも考えさせられました。
2011/4/12詳細をみるコメント0件をすべて表示