あっかんべェ一休(上) (講談社漫画文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (610ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062604741

感想・レビュー・書評

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  • とんちで知られる一休宗純。
    その人生は波乱にみちたものであった。
    将軍、天皇、僧侶、侍、民衆…さまざまな身分の人間の思惑が混ざりあい、混乱を極める室町時代。
    高貴な身分でありながら出自を隠し、真剣に悟りを目指す一休宗純は迷いながら懸命に生きる。
    矛盾と不条理と苦しみに満ちた世間のなかで、どのように生き、そして死ぬのかを考えるきっかけとなる傑作。

    上巻では、後小松天皇の子として産まれたが、宮中の争いを避けるため寺に預けられ、天賦の才でとんち小僧として名を馳せた小僧時代、民衆を禅の教えにより救うべき寺が天皇の庇護や商人の金を求める偽善に気づき民衆に寄り添う謙応和尚や華そうの弟子となる修行僧時代。
    「一休さん」では描かれていない出自を隠さなければならないやり切れなさ、悟りを得る為の修行僧としての心の持ちようや形、悟りをひたすらに追い求める若き一休の苦悩が描かれていて、青春時代漫画のような爽やかさ熱さがある大河漫画前編。

    アングレーム国際漫画祭遺産賞を受賞し、世界からの評価が高まる坂口尚。
    その遺作となる本作は、日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した幻の作品。

  • もう何百回単位で読み返しているが、その度に新しい気づきがあり、そして読むたびにその静謐な世界に引き込まれる。ものすごくレベルの低い話で、かつ異論もあることを承知の上で言うなら、作者である坂口尚は個人的には大友克洋より絵が上手く、手塚治虫よりストーリー作りが上手だと思う。なぜこんなにも素晴らしい作家さんが世に知られることが少ないのか、忸怩たる思いの反面、そういう位置づけこそが坂口氏に相応しい気がしなくもない。幸村誠が目標とする作家として坂口氏を挙げられていたのは非常に嬉しかった。彼の作品もまた、描き続けられる限り、読み続けて行くことになると思う。

  • 「とんち坊主」のイメージが強い一休宗純の、誕生から晩年までを丹念に描く坂口尚入魂の作であり、同時に遺作。
    天皇の子として生まれながら、幼いうちに親元を離されて仏門に入り、「日本仏教」の形骸化と堕落を目の当たりにしながらも、真の仏教・人の生きざまを真摯に模索して行く一休の姿が胸に迫って来る。
    一方で坂口尚の絵と画面構成の上手さにも唸らされるばかりで、つくづく惜しい人を喪ってしまったと読むたびに実感する。
    同族・兄弟が敵味方となり、裏切り・寝返りの絶えない南北朝期は、非常に分かり辛くとっつきにくい時代背景なのだが、その辺りの説明も分かりやすくて良い。
    また、もう一つの柱として観阿弥・世阿弥らのストーリーが絡んで来る構成も見事。
    地味な作家・地味な作品ではあるのだが、間違いなく名作。是非どうぞ。

  • 何度も読み返したいマンガはあまりないけど、これはつねに近くに置いておきたい

  • “漫画の神様”手塚治虫によって誕生した日本近代漫画は、坂口尚をもって完成した。漫画という手法をもって、ストーリーとメッセージを読者に届けるという面において、『VERSION』『石の花』『あっかんべェ一休』という坂口尚の3作は完璧としかいい様がない完成度である。
    残念なことに、坂口尚はこの作品『あっかんべェ一休』を書き終えた後、急性心不全で49年の生涯を閉じた。

  • これまた歴史小説に比肩するくらいな良い漫画。世間ではとんちで有名な一休さんの一生を生身の人間として描いてます。

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  • 下巻に譲る

  • 坂口尚さんの漫画は、堅苦しいと言ってはなんだけど手塚漫画のようなエンターテイメント性が全然ない。だけど、生とは何か?という問いに対してひたすら真正面から向き合っていて、読んでいると真摯な気持ちになれる。

  • この人の作品は情熱的。

    一休さんの物語ですが、とにかく思索のはなしです。
    でも、「あっかんべェ」というのがミソ。


    ちなみに私は終始この人の名言の一つ一つに爆笑してました。
    感覚的におかしいのだろうか・・・

    愉快で痛快で劇的な一種の大河ドラマです。
    結末はいかにも一休さん的ユーモアでニヤリとしました。

    ありとあらゆるエピソードがありますが、これを読んでみんなはどう思うのだろうか・・・ということが一番気になるところです。

    内容的には重たいのですが、非常に人を食ったいい話でもあります。

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著者プロフィール

坂口尚(さかぐち ひさし)
1946年5月5日生まれ。高校在学中の1963年に虫プロダクションへ入社。アニメーション作品『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『リボンの騎士』等で動画、原画、演出を担当。その後フリーとなり、1969年、漫画雑誌「COM」誌に『おさらばしろ!』で漫画家としてデビュー。以後多くの短編作品を発表。アニメーションの制作にも断続的に携わり、24時間テレビのスペシャルアニメ「100万年地球の旅 バンダーブック」「フウムーン」等で、作画監督、設定デザイン、演出を担当。1980~82年、代表作の一つとなる『12色物語』を執筆。1983~95年にわたって、長編3部作となる『石の花』『VERSION』『あっかんべェ一休』を発表。1995年12月22日逝去。1996年、日本漫画家協会賞 優秀賞を受賞。

「2019年 『坂口尚 トム=ソーヤーの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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