ワイルド・スワン(中) (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062638135

作品紹介・あらすじ

革命後の動揺がおさまらない中国で毛沢東は共産党員の過去をさぐる。国民党との関係で嫌疑をかけられる母。著者たち兄弟は保育施設に送られてしまう。想像を絶する迫害の日々-ついに逮捕された父は精神に異常をきたす。なんとしても夫を救いたい!母は周恩来首相に直訴すべく、北京行きの列車に乗る。

感想・レビュー・書評

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  • 掲載されている写真の一つ、「文化大革命が始まる前の父」を見て、張守愚氏の精悍な顔立ちに感心した。それと同時に、文化大革命で彼の身になにかあったのか不安になってしまう。その予感は的中し、彼の運命のあまりの辛さに読みながら泣いた。毛沢東氏は確かに中国を生まれ変わらせた偉大な人物だ。だが、晩年はおかしな方向へ行ってしまっているように私は感じる。

  • 「ことばというものが、意味を持たなくなっていった。ことばが現実から乖離し、裏付けを失い、本心とは似ても似つかぬものになっていった。だれも人のことばを本気で信じなくなったから、うそ偽りを語っても良心が痛まなくなった。」

    第十二章あたりからはもう狂気。"米がなくても飯は炊ける"っすごいスローガン。自国の政治をここしばらく冷ややかな目で見るしかなかったけど、当時の中国共産党のやってたことは比じゃない。。。中国ってやっぱ半端ない国だわ。

    毛沢東の教えに少しでも沿わないものを"右傾してる"とし「反革命分子」として弾圧する。抹殺するかおさえつけ共産党の批判の声をなくす。党員は右傾してる者をでっちあげてでも、とにかく担当地域で一定数の反革命分子を炙り出し報告しないといけない。
    数千万もの餓死を出し狂気の経済政策による"人災"で起こった飢饉。浮腫を患う農民で溢れる。誘拐し子供の肉を干してウサギの肉として売るもの、自分の赤子を空腹のあまり食べてしまうもの。
    飢饉を通して著者の両親は共産党に対する信頼を根底から揺さぶられる。
    その後幹部の一応の大反省のもとまた事態は好転し鉄鋼生産、隠蔵反革命分子摘発運動や反右派闘争、右傾機会分子摘発運動も終止符が打たれ、話は著者の十代に入っていく。

    平穏だった時代は過ぎ、焦りを感じる毛沢東は人民を思い通りに動かすため、党から権威を奪い、毛沢東ただ一人に対する絶対的な忠信と服従を確立させ、文化大革命を起こす。教育によりガチガチの毛主席傾倒分子を大量生産し、「父よりも、母よりも、毛主席が好きです」と言わしめ、少しでもブルジョア的要素を感じたものを徹底排除。西洋を例に出し資本主義に少しでも傾くようであれば今ここにある甚大な努力のものに作られたこの天国は終わるのだと信じこませ、現状の破壊へと向かわせる。恐怖という手段を使いあらゆる思考を停止させる。情報は制御され歴史は修正され信じこまされた世界に少しずつ疑問を抱く著書。
    そして若者に火をつけ本格化する文化大革命。紅衛兵に残虐な行為を見せしめとするため奔走させ、世を混乱に巻き込む。「われら紅衛兵、天をおそれず、地をおそれず。偉大なる指導者毛主席が、われらの最高司令なり」というスローガンを掲げ暴君の道具となりブルジョア的なものを破壊していく。

    そして著者の父と母も標的となり精神がおかしくなるほどの迫害を受けることになる。

    読むのが辛くなってきた。

  • 下巻へ

  • ただただ辛い。改革の時代に翻弄されながらも、強い信念を曲げずに勇気ある行動をとっている父母は本当にすごい。実際にこの時代に毛主席に意見して生きていられることが不思議なくらい。一時期、気がふれてしまったことがあるが、それでも他人を貶めることなく貫く姿勢には、ほんと感服する。そして権力を嵩にきて自分の私利私欲に走る悪者がいるのもやはり世間だなとも思う。一時期、平和な期間もあったのも救いだけれど、時代に翻弄されつづけるのって本当に辛い。

  • ワイルド・スワン(中) (講談社文庫)

  • ・大躍進運動時(文化大革命の直前の時代)―役人が気に入るような誇大な増産目標を言わないと、言うまで殴られた
    ・文化大革命時―毛沢東が女子も戦闘的態度を身につけなければならないと呼びかけた。女の子の多くが粗野で攻撃的な男のようにしゃべり、歩き、ふるまい、そうしない子をバカにした

  • 大躍進政策と文化大革命やばい

  • 131226

  • レビュー上巻参照

  • 出口治明著『ビジネスに効く最強の「読書」』で紹介

    中国共産党近代史を背景に、著者の祖母、母、著者3代にわたる人生の記録。

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著者プロフィール

1952年、中華人民共和国四川省生まれ。文化大革命が吹き荒れた1960年代、14歳で紅衛兵を経験後、農村に下放されて農民として働く。以後は「はだしの医者」、鋳造工、電気工を経て四川大学英文科の学生となり、苦学ののちに講師となる。1978年にイギリスへ留学、ヨーク大学から奨学金を経て勉強を続け、1982年に言語学の博士号を取得。一族の人生を克明に描くことで激動期の中国を活写した『ワイルド・スワン』『真説 毛沢東』(ともに講談社)など、彼女の著書は世界40ヵ国に翻訳され、累計1500万部の大ベストセラーになっている。なお、上記の2作はいずれも中国国内では出版が禁止されている。

「2018年 『西太后秘録 下 近代中国の創始者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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