かげろう忍法帖 山田風太郎忍法帖(12) (講談社文庫)

著者 : 山田風太郎

• 講談社 (1999年8月10日発売)

感想・レビュー・書評

[あしげさんの感想 · 2024年2月14日]

忍法帖短編集
一話目の明智光秀の話しはおもしろかった。

あとは・・・
短編だからしょうがないかもしれないが、もう少しエロとバイオレンスがあったら、もっとおもしろかったかも。

[y_dokaさんの感想 · 2018年6月9日]

忍者の「死」に対する臨み方がぶっ飛んでいて面白い。
荒唐無稽な忍術も、少年に戻って楽しめる。

ただちょっと全編にわたって女性に厳しいのでは。。。あと服部半蔵をもうちょっとかっこよく描いてやってほしい。。。

[風太郎さんの感想 · 2017年4月17日]

　怪異忍者出現の短編９作品。

　怪しげな忍者の影を通して、歴史の裏側に迫るミステリー要素も楽しめる作品ばかりでした。

　特に、その中の一編「忍者本多佐渡守」は秀逸でした。

　権力を維持していく世代交代のために補佐役が果たす役割を忍者という非情の手段で決断していく展開はとても読みごたえがありました。

　忍者を通して歴史上の人物の新たな一面を知ることができた感じです。

[ニコルさんの感想 · 2012年10月7日]

短編集。

【忍者明智十兵衛】切断した体が再生するという忍法を利用して二人の男がお互い望むものを手に入れようと画策します。
体が再生する忍術の薄気味悪さもさることながら、野心を持った男と女を欲した男二人それぞれの執着が凄くておもしろいです。
結末もまた忍法帖シリーズらしく、歴史の事実と結びついて思わぬ展開を見せて驚きました。
短編ながら濃い一編です。

【忍者仁木弾正】シリーズではお馴染みの由井正雪と森意宗軒が登場。忠誠心を試し利用した壮大な計画を企てています。原田の心の動き、そしてこれもまた意外な展開を見せ、史実の事件へと繋がっていくのがおもしろいです。

【忍者石川五右衛門】「楊貴妃の鈴」を巡り状況がころころ変わっていくのがおもしろいです。冷酷さと情熱を併せ持った織部がとても美しく、彼女の最後の行動は痛々しくもかっこいい。逆に石川五右衛門の我を失ったような行動は全然かっこよくないですが、その忘我ぶりがまた哀しかったです。大盗石川五右衛門の最後は哀愁に満ちています。

【忍者枝垂七十郎】主人公がごく普通の呉服屋の女主人で、場所も呉服屋だけというのは珍しいです。この限られた場所と登場人物の中でお市の心の動きが丁寧に描写されており、しかし最後の最後で彼女の心の内が分からない、というのがおもしろかったです。闇で影で生きる男たちの結末はどうなったのか。

【忍者車兵五郎】一人の女を求めて仲間を殺し、追っ手を返り討ちにする兵五郎。彼が逃走中でありながらも彼女に会いたいが為に取る行動が突飛です。しかし最後の戦いにおいて、それが恋であったか執着であったか微妙な心理が描かれており、対照的にはっきりと憎しみを表した女とどこまでも正反対であったのが良いです。彼女との闘いの場面は秀逸。決着のつき方にはゾクゾクしました。

【忍者向坂甚内】向坂甚内の忍者としての忠誠と男としての愛情が葛藤して向かったラストが素晴らしい。桐姫の純粋無垢な様もこれによく添えられ驚きのラストになりました。

【忍者本田佐渡守】未読。近日読了予定。

【忍者玉虫内膳】愛した女性よりも、彼女を利用し立身出世を選んだ冷酷な男が辿る最後が皮肉に満ちています。

【「今昔物語集」の忍者】忍法帖シリーズを書くにあたってのエッセイのようで、今昔物語の中に忍法帖シリーズの傾向を探しています。作者の創作秘話のような文章もおもしろいですが、紹介された今昔物語もおもしろそう。何百年も前の作品ですが、今も色褪せずに残っているのはそれだけ魅力があるのでしょう。

[myjmnbrさんの感想 · 2011年9月24日]

作者の魅力が「奇抜な着想力」と「冷徹な心理洞察」にあるならば、短編だと後者が発揮される。

[ukiさんの感想 · 2006年11月12日]

短編集。
初期のが多いせいか、忍法帖ってより、忍者ミステリーって感じ。こざっぱりしすぎてる感は否めないけど、これはこれで面白い。

著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年｢達磨峠の事件｣で作家デビュー。49年｢眼中の悪魔｣｢虚像淫楽｣で探偵作家クラブ賞、97年に第４５回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人／棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」