五体不満足 完全版 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062649803

作品紹介・あらすじ

現在(いま)の思いを加筆した、感動の大ベストセラー、文庫決定版!

「障害は不便です。だけど不幸ではありません」喧嘩にスポーツ、課外活動。大勢の仲間に囲まれて、明るく楽しい“オトちゃん”の物語は、生きる勇気を与えてくれる。日本中にセンセーションを巻き起こした感動のベストセラー。単行本刊行以降、多くの苦悩と喜びを経験した著者が“現在”の心境を加筆した完全版。

感想・レビュー・書評

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  • 乙武洋匡(1976年~)氏は、先天性四肢欠損(生まれつき両腕両足がない)という障害を持って生まれたが、公立の小中高で普通教育を受け、早大政経学部卒、スポーツライター、新宿区の非常勤職員、東京都教育委員、NPO法人グリーンバード新宿代表等を務め、作家、タレント、政治活動家等として活動している。2022年の参議院議員選挙において東京都選挙区から立候補したが、落選した。
    大学在学中の1998年に発表された、乙武氏の半生を綴った本作品(一部追記の上、2001年に文庫化)は、出版部数600万部を超える大ベストセラーとなり、教科書にも掲載された。
    私は普段、ノンフィクションやエッセイを好んで読み、今般、過去に評判になった本で未読のものを、新古書店でまとめて入手して読んでおり、本書はその中の一冊である。
    読み終えた印象としては、(教科書にも載るくらいなので)とても読み易く、加えて、意外に多くのことを考えさせられた。
    というのは、まずは、本書が一般的にどのように読まれるのかを想像してみると、乙武氏が、持ち前の明るさ・前向き思考・積極性を活かし、かつ、両親・先生・友達の理解と支えを得て、充実した20年間を生きてきた記録としての本書は、乙武氏が重度の障害者であることを無視するわけにはいかないし、よって、我々読者も頑張って前向きに生きていかなくてはいけない(障害者であろうと、健常者であろうと、それぞれの立場で)と、背中を押してくれるものとして読まれるのだろう。実際、乙武氏も、単行本として発表したときは(漠然とでも)そのように考えていたと思われる。
    ところが、である。文庫版には、20頁ほどの第4部「新たな旅路~社会人時代」とエピローグが加えられ、単行本を出版した後の2年半の環境の激変と自らの心の変化が書かれており、実は、この部分に考えさせられることが多いのだ。有名になったことによってクローズアップされることになった、生まれてから大学生半ばまでの(純粋無垢な)「オトくん」と、20歳を過ぎて現実を生きる乙武洋匡とのギャップ、本に書かれた(障害者であるとはいえ)一個人に過ぎない乙武洋匡の経験や感情が、障害者一般のものであると早合点されること、障害者であるが故に、将来福祉の方面に進んで、障害者のリーダーとしての役割を期待されること等、乙武氏は、本を書いていたときには想像だにしなかったであろう様々な苦悩に直面し、その葛藤が赤裸々に描かれているのだが、それらは、乙武氏の問題であると同時に、乙武氏を取り巻く我々の問題でもあるのだ。子供が本作品を読むのなら、第3部までを素直に読めばいいが、大人が読むのであれば、それ以降の部分こそが実は重要であると思われる。
    私は乙武氏のその後について多くを知らないが、乙武氏個人の20数年間の記録としては、大変面白く、読む意味のある作品と言えるだろう。
    (2023年4月了)

  • 【感想】
    見た目だろうが中身だろうがそれは自分の特徴であり、「そんな自分にできることは何か?自分にしかできないことはなにか?」を常に考えようというメッセージがとても伝わってきた。
    切り口によって「自分にできること」は無限にあり、“その場その場で考え行動すること“は文字にするととても簡単だけど難しい。
    できる方法を考え、言葉にするのが第一歩でその先の行動までできて初めて自分に価値が出るのだろうと思った。
    乙武さんの人柄も相まって、とても明るくテンポの良い文章で読みやすかった!

  • 障がい者へのアプローチとなるヒントとなる事が多数。

  • 五体不満足の発表の

  • 文庫本化で追加された部分を読んだ。
    「五体不満足」発表後の気持ちの揺らぎが書かれていた。
    彼は人生のからくりが良く分かっているらしい。だからますます読みたくなる。(2001.5.18HPの日記より)
    ※2001.5.17読書のすすめから到着
     2001.5.18読了
     2010.12.21売却済み

  • 何年積読状態だっただろう。要約読了。
    小学校から大学生までのエピソード集。ヘレンケラーもそうだけど,周りと本人のケミストリーだな。もちろん本人の力,特に好奇心は大きな役割を果たしていると思う。
    p.242の母の言葉が秀逸。
    「だって,ああいう方たちは,ツメるといっても小指一本程度でしょう。あなたなんか,全身ツメちゃってるんだもん。それは,敬意を表されるわよ」

  • 普通は障害を持っている人にかわいそうだと思って接していがちだけど、筆者の先生や周りの人たちが筆者を平等に扱っているのがすごいと思いました。だから僕もそのようになりたい

  • 逆境においてチャレンジさせれば強くなるし、チャレンジさせなければ弱くなる。全くできないこと、ではなく頑張ればできることをさせ続けることが重要。

    これは超本質で、銃病原菌鉄のヨーロッパが強くなった理由もそうだし、資本主義原理もそう、競争によるチャレンジが成長を促す。

    自己認知と他己認知の相違は起きるし、認知度が高まれば高まるほど、その差分は大きくなり苦しむ。
    街中で自分は知らないのにみんなは自分を知っているという状態は相当苦しそう。特にその準備ができてない場合地獄だ。

    そういう意味で、他己認知と自己認知には差分があるし、それぞれが自分、分人であるという確信を持てれば強くなる。そうでない人は繊細。

  • この人の超ポジティブさ


    全てを
    向上させてる

    親御さんの愛が素晴らしいと思える伝記

  • ベストセラーだった当時は読まなかったけれど、ちょっと必要があって図書館。
    『五体不満足』を書いた後の、清廉潔白で明るくて前向きな乙武さんを求められることに対するジレンマについても巻末で語られている。
    ただ、どうしても家族に対するモラハラとか、不倫・離婚騒動、レストランのバリアフリーに関するひと悶着とかが頭に浮かんできてしまって「ウソくさー」と思ってしまう。
    両親や周囲の友だち、先生たちはすばらしいけれど。

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著者プロフィール

1976年東京都生まれ。早稲田大学在学中に出版した『五体不満足』(講談社)が600万部のベストセラーに。卒業後はスポーツライターとして活躍。その後、教育に強い関心を抱き、新宿区教育委員会非常勤職員「子どもの生き方パートナー」、杉並区立杉並第四小学校教諭を経て、2013年2月には東京都教育委員に就任。教員時代の経験をもとに書いた初の小説『だいじょうぶ3組』(講談社)は映画化され、自身も出演。現在は、執筆、講演活動のほか、インターネットテレビ「AbemaTV」の報道番組『AbemaPrime』の水曜MCとしても活躍している。『自分を愛する力』、『車輪の上』(以上、講談社)、『ただいま、日本』(扶桑社)、『ヒゲとナプキン』(小学館)など著書多数。

「2021年 『だから、みんなちがっていい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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