透明人間の納屋 (ミステリーランド)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062705615

感想・レビュー・書評

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  • 主人公ヨウちゃんと隣に住む真鍋さんとの友情物語。町で起きた殺人事件の謎と透明人間。最後に明かされる真鍋さんの正体。切なすぎるラストまで一気に読ませてもらった。島田荘司氏の作品はこれが初めてで他の作品も読みたいと思った。心にしみる。

  • かつて子どもだったあなたと 少年少女のためのミステリ-ランド〟と銘打った講談社出版の本書は、タイトルから想像する児童向けの世界観を見事に覆される超面白本でした。人間の細胞を透明にするという未知のウイルス説に端を発した物語は、透明人間でしか成し得ぬ密室誘拐から殺人事件へと発展し、北朝鮮強制収容所の地獄の様相や日本人拉致被害者、脱北者の足どりにまで及ぶ奇抜なスト-リ-展開に、時を忘れて読みふけってしまう、読み易さとタイトルに騙されてはいけない社会派ミステリです。

  • 最初に読んだ当時小学生だったのだけれど、打ちのめされた。
    ヤングアダルトでこんなに重々しいお話があるとは…
    ただ、こういうお話も読まなきゃだめだよな、と思った。
    単なるミステリーではなく、いろいろ考えさせられるところがあった。

  • まるまる2ページ使って急に共産主義賛美がお出しされて怖くて泣いてしまうかと思ったが!?
    あまりにもシレッと反米親露がお出しされるのでまーた島田荘司のいつものアレかよ海沿いの街でこんなこと言いながら母子家庭の子どもに近づくやつは普通拉致関係のスパイやぞ…と思ってたらドンピシャその通りで変な笑いが出てしまった。
    印刷所にある秘密の機械なるほどね~! 手が透明になってた理由もまあいつもの島田荘司で、というかトリックはだいたいいつもの島田荘司。北朝鮮のスパイだからそういうの得意やねんで解決するスタイル。
    昭和58年とかもー児童向けレーベルですよ!ノスタルジーに浸らないで!とか思ってたらちゃんと昭和58年なことに意味があってメタ的な意味での謎解きでアハ体験した。初版2003年なのもなるほどねー!?ちょうど小泉政権の日朝首脳会談の時期か!!

    しかし真鍋さんの未来というか現在というかがエグすぎて…これはきつい…まあスパイなんですけど…

  • 少年少女向けのミステリーシリーズ。
    幼い頃、隣りに住んでいた印刷工場のおじさん。彼と過ごす事は少年にとって救いの時間だった。
    北の海辺の町に起きたある女の失踪事件は、その難解さからマスコミの注目の的となり、少年の周りもざわざわし始めるが。
    以上粗筋からも分かる通り、著者は内容も語り口も容赦がない。視点は少年本人なので、温和な語り口だけれど、彼の目にする事理解する事感じる事はヒリヒリと彼だけでなく読者も痛みを感じると思う。
    凄い。改めて著者の凄さを感じました。
    ミステリーの皮を被った獣という名の社会を、子供達はどう乗り越えるのだろう。

  • なんだか、つじつま合わせに多少の強引さを感じた。。
    そうそう、女ってこんなもんだよねーと、共感できるところもあった。

  • やるせないなぁ。。。というのが一番の感想。

    透明人間が本当にいる世界=ホラーかと思っていたら(挿絵も怖すぎる…石塚桜子さんという方。
    作者のファンで、挿絵に自分の絵を使ってもらないか突撃アポしたらしい。)
    現実に起こりうる、若しくは起こっている世界でした。
    自分的には衝撃の事実、という感じ。
    彼等の帰国からもう14年か。。。
    それまで、あの国がどんなか全く知らなかったし、存在することすら意識していなかった。

    キーワードとなる“透明人間”の真実を知って、再読してしまう。伏線に気づく。

    母親が親でなく女でもある事って、確かに未成年には受け入れがたいのだろうなぁ。。

    主人公が成長する過程がラスト、短く書かれているけれど、彼は主人公に良い意味で影響を及ぼしたんだなぁ、と。
    子ども時代、どんな人が周りにいるか、どう接してくれるかは大人が思う以上にとても大切なんだと思う。
    (記憶、暗記力からして違う。 )


    「それが一番大事な事なんだ。みんなと違う角度から物事を見ること、それもいろんな方向から。ひとつだけじゃ駄目だ、それがとても大事なんだ。よく憶えておいてね。」

    結末が
    フィクションものと割り切れず、もやもやする。。。悲しい。。

  • 密室からの人間消失について、本格推理と思って読む進めると、最後は山崎豊子のような社会派で終わる。あの3人に戸籍がないなら事件発覚同時に公安マターで、あんなのんびりした捜査にならない。もし戸籍があるなら、事前に身寄りのない日本人3人を見つけ、どうにかしていたことになる(全然心優しい隣人じゃない)。そもそも、精巧な×××はあんな小さな機械で作れない。というように、社会派推理小説と考えれば,細部の詰めが甘い。

  • ミステリーランド
    ああ透明人間はいるんだなと普通に受け入れてしまったので後半の展開にはビックリした。
    最初は挿絵怖いなあと思ってたけど全体を通して見るとすごくぴったり。

  • 最初はなんとなく読みつつ、途中から面白いかも…と
    読み続け最後なるほど、とオチました。
    児童・学生?用シリーズなので、読み手の年齢によっては
    細部は理解できないかもしれないけど、わりと面白い本だと思う。
    もっとも子供が読むのを微妙に思う親がいるかもしれない。
    悪い設定じゃないんだけどな。

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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