正面を向いた鳥の絵が描けますか? (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 56
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062724463

作品紹介・あらすじ

まったく同じ世界を見ているはずなのに、私だけうまく描けないのは、いったいなぜ…?絵は「心の世界」視覚と脳の不思議な関係を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 面白いタイトルにひかれて読んだのですがちょっとイメージと違ってました。
    内容は視覚と脳の話で、それはそれで面白かったです。

  • ・脳の一部を損傷した人の症例
    言語能力を喪失 流暢に喋るが内容が支離滅裂
    盲目から開眼 遠近法が分からない
    半側無視 全部見えるのに半分しか認識できない
    図地分離(背景から対象を切り離すこと)不能 ものと影が見分けられない
    視覚失認 別の角度から見た図を想像できない、
    見慣れない視点ではものが何なのか理解できない
    相貌失認 顔を判別できない
    動きが見えない 止まって見える、
    人や車とぶつかってしまう

    ・子どもの絵と視覚(脳)の発達
    乳児 生まれたては視力0.01 縞や同心円の図形を好む
    顔は両目と口3点というより逆三角形の構図で認識
    3歳 丸っこい絵が好き
    頭足人(頭から棒の手足が生えたキモかわキャラ)を描く
    臍は描き忘れたか、頭と胴は同じと認識しているか
    ~7歳 家族が食卓を展開図状に囲むなどのあり得ない絵を描く
    8~10歳 絵描きが周りに褒められ始める
    10~12歳 正確な地図が書ける
    空間把握ができ、空間を意識した絵が描ける
    それまでは方向音痴でも
    描く絵の空間がおかしくても当たり前

    生まれつき分かるもの
    ・落ちたことがなくても落下は怖い、崖には近付かない
    ・副尺視力 目に見えない些細な直線のずれを認識
    ・絵を見たことがなくても何の絵なのかを理解
    ・線が途切れていても、
    四角や丸の良い形(プレグナンツ)が補完されて見える

    ・犬は夜行性で嗅覚に、ヒトは昼行性で視覚に頼る

    ・人間に錐体細胞が3つあるのは
    赤い木の実を見つけるため(?)

    ・肖像画といつも目が合うのは、
    平面を立体で考えてしまうから

    ・盲目の人の絵 カップは縦に丸3つ、立方体は四角3面、
    触った形をそのまま描き起こす

    ・指で点字を読むのにも視覚野を使う

    ・赤ちゃんが壁を見つめるのは影が気になるから

    ・上下方向の影は凹凸を表すが、横では分からない
    ・顔は出っ張っているはずと思い込み、
    お面の裏は凹んでいるのに出っ張ってみえる
    ・境界線を描くと影に見えない
    アニメ塗りの影は現実では違和感

    ・顔の区別には、身近な人種を基準にし、
    英国人は髪や目の色、日本人は目蓋の一重・二重を重視、相手が外国人でも同じく目蓋を見る
    日本人が二重目蓋かを気にするのは顔の区別のため
    ・動物や車の見分けにも脳の同じ部分を使う

    ・斜め顔は正面・横両方の特徴が分かる
    ものは斜めが記憶しやすい

    ・成長して骨格が変わっても、表情の癖で面影を感じる
    その人がよくする表情で顔を覚えている
    芸人なら笑顔、教師は真面目な顔、など

    ・左右対称で整った顔は、平均的で馴染み深く魅力的
    ・ベビースキーマ

    ・本物そっくりより、誇張した疑似餌の方が魚を騙せる
    ・似顔絵の上手さはパーツ選びより配置
    着せ替えゲームも同様

    ・横たわった人など見慣れないポーズの絵は
    デフォルメしたくらいが見やすい

    ・絵描きは誤魔化しが上手い

  • 視覚を中心とした人間の認識の仕方について、(たぶん)広く浅く紹介した本。
    キャッチーなタイトルだけど中身は(たぶん)学術的にもしっかりしている感じがする。読みやすいので誰にでもおすすめできそう。

  • 視覚がを処理する心理学。
    遠近、運動、地と図、人の顔。
    赤ん坊や、一部脳の機能に障害がある人の例を引きながら、人がどう視覚情報を処理しているかを紹介する。
    とても興味深い内容だが、さすが、新書らしく薄い。ここで興味を持って次に行くにはいいんじゃないか。

  • そもそも見えるというのは、どういうことなのか?
    なぜ絵の具を混ぜていくと黒くなっていくのか、光を混ぜていくとどうして白くなっていくのか、生まれつき視力のなかった人が、あるとき見えるようになったとしたら、どのような認識をするのか・・・。
    数々の実験と調査から、目の前に示されていく。

  • 美術鑑賞入門

  • [ 内容 ]
    まったく同じ世界を見ているはずなのに、私だけうまく描けないのは、いったいなぜ…?
    絵は「心の世界」視覚と脳の不思議な関係を探る。

    [ 目次 ]
    第1章 2次元世界は得意ですか?
    第2章 絵の素質ってあるの?
    第3章 似顔絵・人相判断…なぜ私たちは顔にこだわるのか
    第4章 美人と童顔は得をする?
    第5章 審美眼は脳にある
    第6章 形…目ではなくて心で見る

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    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • なかなか惹かせるタイトルだが、本書の中に正面を向いた鳥の話は出てこない。これも、今風の新書っぽい演出か?(笑)。タイトルや前書きを最初に読んだときは、絵画の愉しみ(描く・観る)の指南書だと思ったが、実際はそうではない。著者は幼児の視覚や認知能力の研究者であり、本書はその専門分野の一般向け概説という位置づけだろう。視覚・知覚・認知という人間の能力の本質に迫ろうとしている本である。幅広い内容が限られた紙面に納められているので、全体の構成のまとまりに欠ける感がある。周辺には脳科学や心理学の薀蓄も散りばめられていて、決して悪い本ではないのだが、中途半端な仕上がりという感想を否めないのが残念。それにしても、タイトルと中身のギャップがなんとも腑に落ちないなぁ。--- 2008.05.08

  • あんまり興味を持って読めなかった。

  • 【目的】:視覚と絵のなぞについて知りたい。<BR>
    ・大きさの恒常性。距離を変えても同じ大きさと判断する。<BR>
    ・見たいところだけを選択的に見ている。<BR>
    ・見やすい視点で見せるのが上手い絵<BR>
    ・人は顔の情報にこだわる。ポイントは目鼻口の配置。<BR>
    ・世界は視覚情報を脳が再構成している。<BR>
    ・脳は美しい形を見ようとする。<BR>
    ・プロトタイプに当てはめて対象を認識する。<BR>
    <BR>
    #ありのままを見ているつもりでも、人により見えている世界が違うこと、認知が世界を生み出していることが分かった。<BR>
    #タイトルと表紙の絵に興味を持って読んでみたが、正面を向いた鳥とは、脳がつくりあげた鳥らしいイメージのことで、写実の絵では何が描かれているのか分からないということだろう。<BR>
    <BR>

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著者プロフィール

中央大学文学部教授。1995年,お茶の水女子大学人間文化研究科単位取得退学。
主な著書:『自分の顔が好きですか?―「顔」の心理学』(岩波書店,2016),『発達障害の素顔―脳の発達と視覚形成からのアプローチ』(講談社,2016),『赤ちゃんの視覚と心の発達 補訂版』(共著,東京大学出版会,2019)ほか

「2019年 『心理学実験』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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