王昭君 (講談社文庫 ふ 43-4)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062730259

感想・レビュー・書評

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  • 皇帝が後宮の官女を描くように命じた際、画家に賄賂を贈らなかったため、容姿の劣った娘と思われ、匈奴へ嫁ぐよう命じられるというエピソートで王昭君のことを知っていたのですが、正史には、彼女についてたった一行記されているだけで、このエピソードすら、真偽は明らかでなく、彼女の実像は謎の中なのですね。

    この物語で王昭君は、ここではないどこかへ行き、思いっきり翼を広げてみたいという、いきいきした魂を持った女性として登場します。そうして、運命に流されるどころか、運命をつかみ、匈奴へ旅立ち、馬に乗ることを覚え、二人の男性と夫婦の絆を結び、子を育て、部族を守り・・・。命の輝きそのままに進む彼女のたくましさが心地よいです。

    そして、晩年、無鉄砲ともいえる若い日の自分を思う心情がしんと心に残ります。その姿には、人生の半ばをすぎた自分や周りの誰かと通じるものがあります。

    時を超えて、女性の春秋を描いた物語なのかも知れません。

  • 中国、漢代の元帝の時代に匈奴の呼韓邪単干(こかんやぜんう)に嫁いだ王昭君の愛と夢と自由獲得ストーリー……っていうか、王昭君めっちゃ有名だから中国史まるで勉強してない私でも平気かなって思ったけどぶっちゃけ王昭君全然史料残ってないから、歴史とか関係ないよね。そして一部説明すっ飛ばしたまま進むから全部は理解できてないよね。
    まぁ、元々南部に住んでたちょっぴり他人より変わったフリーダム志向強い女の子が都に出て後宮に入って、最終的には匈奴王の閼氏(正室)になるっていう、どっちかと言えばラブストーリーっていうより成り上がりモノっぽい感じの……面白くなくはないけど、歴史物って言われるとうーん……だし、恋愛ものでもないかな……。成長モノ???

  • 古書購入

     歴史小説。三国志よりだいぶ前。
     画家に賄賂を贈らなかったため、醜くかかれ、時の皇帝はその絵を見て薄幸の美姫、王昭君を匈奴の王に嫁がせることにする。が、嫁ぐ日に、皇帝は彼女の姿を見て、その美しさを知って惜しむ、というのが本来の物語。

     この王昭君。狭いところが大嫌い。田舎が嫌い。なぜなら、みんな知りあいで、狭い世界だから。弟を言いくるめて、叔父(都在住)の元勉強に行きたいと言わせ、自分もちゃっかりついていく。そして都会にもすぐにあきる。だって、狭いんだもの。で、広さを求めて、後宮へ。(行動選択がめっちゃ間違ってる) 当然、後宮にもあきる。だって、狭いんだもの。(当たり前だ)
     匈奴に嫁に行けと言われた彼女は喜ぶ。
    「いったことがないところ!」
     そう、彼女にとってだだっ広い砂漠の大地、そして遊牧生活はまさしく、「彼女のためのような生活」であったのだった。(笑)
     後年、故郷への愛惜にかられるが、その姿は美しい。故郷を懐かしんでも自分のしてきたことを後悔しない彼女。
     漢と匈奴の掛け橋となって、その地で没する。

     三国志とかの絡みで読んでおくかなーと思って読みました。
     藤さんのは、女強いです♪ 男、良い男多いです。

  • 歴史や民話に伝わる王昭君とは違う作者独自の解釈の王昭君が描かれています。派手な戦闘や権謀術数はありません。ただ一人の女性が異国へ嫁ぎ、子をうみ、生きたお話。個人的には二番目の旦那さん、若鞮単于とのどこかとぼけた夫婦の会話が好きです。彼女は宮廷で見つけられなかったものを、草原で見つけたのでしょうか……。

  • 中国三大美女・王昭君の一生を描いた物語。

    主人公の爽やかで明るい性格やかわいらしさは、とても好感がもてておもしろかった!

  • 世界史ででてきた王昭君。
    気になって読んでみた。
    ありえないって思う展開が多いけど
    でも、結構好きだったなぁ。

    ちょっとスニーカー文庫っぽいかも。

  • 個人的に泣きの一冊。

  • 中国の歴史上、絶世の美女の一人といわれる王昭君。その王昭君の逸話を題材にした作品。ここでは、彼女は絶世の美女ではないけど、だからこそ、本当に美しいと思った…。

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著者プロフィール

藤 水名子 ふじ・みなこ
1964年、東京生まれ。作新学院を経て、日本大学文理学部中国文学科に学ぶ。1991年、『涼州賦』(集英社刊)にて「小説すばる新人賞」受賞。主に、中国・日本を舞台とした歴史小説、時代小説を発表する。著書に、『色判官絶句』『赤壁の宴』『紅嵐記』(講談社刊)、「開封死踊艶舞シリーズ」(徳間書店)、『あなたの胸で眠りたい』『浪漫’S―見参!桜子姫』『花道士』『赤いランタン』(集英社刊)、『花残月』(廣済堂)などがある。

「2022年 『公方天誅 古来稀なる大目付7』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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