ひとたびはポプラに臥す(1) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062732611

作品紹介・あらすじ

当代随一の作家・宮本輝が二十年来の夢を賭け、中国・西安からパキスタンのイスラマバードまで、6700キロの酷暑と砂漠の旅の第一歩を踏みだした。殺伐とした日本を脱け出し、文明と民族の十字路シルクロードで、作家は何を見て、何を感じたのか。豊富な写真とともに辿る感動の紀行エッセイ、スタート。

感想・レビュー・書評

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  • 偉大な大乗仏典の翻訳者、鳩摩羅什に魅せられた著者が、仏教伝来の道筋でもあるシルクロードを辿り、随所に残る鳩摩羅什ゆかりの地を訪ねていく紀行文です。
    道中の風景に刺激される著者の知的好奇心や、たびたび登場する現地の写真が魅力的でした。

    鳩摩羅什とは1700年ほど前に膨大な量のサンスクリット語の大乗仏典を漢語に翻訳し、東方へ仏教を広めた人物です。この人物について北日本新聞社の社長と意気投合した著者は、かつて鳩摩羅什の旅した道を辿るべく、中国の西安からパキスタンのイスラマバードまでの、約6700キロの過酷な旅へと繰り出します。

    旅は著者を含め、秘書のハシくん、息子のダイ、北日本新聞者のワリちゃん、ハヤトくん、そしてパキスタン国境までガイドを務める中国人のフーミンちゃんの6人で進行します。

    話は中国の西安から始まりますが、開始早々食の壁、気候の壁、文化の壁に阻まれ苦労する様子が繰り広げられ、それは本著の終わりまでずっと続くことになります。過酷な旅の雰囲気を和らげてくれるのは主にワリちゃんとガイドのフーミンちゃんです。
    本著ではとくに会話の6、7割をフーミンちゃん、そして1、2割をワリちゃんが占めています。特に話題に登ることが多い2人がちゃんづけで呼ばれているのは、著者の好意の度合いを反映しているからなのでしょうか。

    第一巻では丁度地理的にも6分の1くらいの地点にあたる中国•武威で終わります。
    ハヤトくんとダイ、ハシくんの活躍は次巻以降に期待したいと思います。

  • 2015/12再読
    約10年前に読んだときと比較し、少し作者のクセや、旅のテーマになっている過去の人物の対比や記載が多く、冗長な部分が気になってしまい、評価変更☆4→☆3

    単純な魅力的な紀行文の分量としては半分の冊数にまとめてもという印象で、そんなことはないだろうけども、深夜特急を意識したのではとも勘ぐりたくなる全6冊。

  • 中国も一回は行ってみないとなぁ〜

  • 宮本輝が鳩摩羅什の軌跡を、逆に中国側から辿る旅を描いたもの。
    鳩摩羅什や仏教はほとんど出てこないが、それぞれの地域の様子はそれなりに感じ取れる。

  • 中国シルクロードを旅する。ひねた視点。これ、続き長いのね…。

  • 約1700年前、シルクロードの小国に生まれ、
    大乗仏典の経典をサンスクリット語から漢語訳した鳩摩羅汁の足跡を追う旅エッセイ。
    中国・西安からパキスタンのイスラマバードまで
    6700kmを車で踏破する旅
    とはなんと過酷なことか。。。
    そして、ドナウ川に沿った旅との違いに愕然。
    いろんな経験・旅はしたいが、シルクロードの旅はしたくない。

    【印象に残った文章】
    「どこもかしこも同じだ。町という町は、それぞれのたたずまいを見事に失くしてしまって、荒地や平原や砂漠よりも、ここでは人間のいるところのほうが不毛なのだ。
     人間のいるところ、ことごとくが不毛だ。町という町は、すべて埃と悪臭と悪意とワイロと無表情が横溢している。」

    「旅を終え、年月がたち、多くの光景が消えていくなかで、たったひとつ消えない光景というものを各自は隠し持つようになるのですが、その消えない光景が、それぞれの人生の修羅場で思いもかけない武器と化したり、要塞の役割をになったりすることを、私は幾多の旅の経験から知っているのです。」

    「私は父の口癖だった言葉を思い出したのです。-何がどうなろうと、たいしたことはありゃあせん。」

  • 鳩摩羅什を尋ねる3000キロに及ぶ旅物語。さまざまな思索と見聞がおもしろい。

  • 小説かと思いきや旅の記録なのね。
    でも、おもしろい。

    中国人ガイドのフーミンちゃん。
    宮本輝さんご本人。
    とてもいい味出してます。

    砂漠には心惹かれるが、
    シルクロード・・・全然興味ないなぁw

  • 1〜6まで一気読み。とにかく現実のシルクロードのすさまじさに圧倒された。さすが中国。さすが、作者。シルクロードが夢の道ではなく、現実の道であることを痛感した。幻想は潰えても、それゆえに過去、その道を行き来したであろう人々への賞賛は深まる。すごいね

  • 宮本さんの地が垣間見えておもしろかった。ただ、多すぎて途中で挫折。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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