飛ぶ教室 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062739450

作品紹介・あらすじ

忘れない……あの頃の感動を
ナチス・ドイツに屈することなく勇気と感動を送り続けたケストナー。
傑作『飛ぶ教室』が待望の文庫復刻版に。

子どもだって、ときにはずいぶん悲しく、不幸なことだってあるのだ……。20世紀初頭。孤独なジョーニー、頭の切れるマルチン、腕っぷしの強いマチアス、弱虫なウリー、風変わりなゼバスチャン……個性溢れる5人の生徒たちが、寮生活の中で心の成長を遂げる。

みんなわたしたちのまわりにいる少年たちです。5人の生い立ちと性格はそれぞれにちがいますが、正義と友情という点ではみんなひとつに結ばれています。これは血も涙もあるあたたかい物語です。――(本書解説より)

感想・レビュー・書評

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  • 寄宿学校、クリスマスという舞台がなんかよいですよね。

    登場するいろんなタイプの男の子5人の友情。それに重ねるように描かれるかつて同じ寄宿学校で親友だった正義先生と禁煙さんの友情。

    ジャーニーが夜に寝つけずに、自分の将来に想いを馳せる場面がすごく好きです。ジャーニーと仲良しのマルチンは本当にけなげで、まじめで正義感のあるいい子だなぁと思いました。マルチンの家族のお話は切なくて涙がでてきちゃいますが、あたたかいエピソードでした。

    マチウスとウリーのでこぼこコンビもかわいらしかったです。腕っぷしが強くてやさしいマチウスが何気に一番好きです!
    ウリーのことをいつも気にかけていていい子だな、と。そして、臆病と言われていたウリーの勇気に拍手です。

    ゼバスチアンもとても気になる子でした。難しい本を読んでて、理屈っぽく話して、自分の弱いところを隠して、なかなか人に理解されない。人のこと見下した感じでふるまってるけど、優しいところもちゃんとあってなんか憎めない子でした。

    そして、こどもたちを見守る大人2人も素敵でしたね。正義先生も禁煙さんも素晴らしい志の持ち主でした・・・!5人はそんな大人が近くにいて本当によかったなと思いました。

    学校同士の抗争とか、悩みや将来のことなど、少年たちが自分達の世界で立派に戦っていている姿に元気をもらえました。
    心温まる作品でもあり、痛快な作品でもあり、楽しい作品でもあり!でした。
    ケストナーのこどもに対する対等な目線も素敵だなと思いました。

  • ケストナーさん、初読みです
    クリスマスの時期にインスタグラムで紹介されていて気になって読んでみました

    解説にもあるように登場人物が本名とあだ名で呼ばれたりしているので慣れないと少し混乱しますが、クリスマスの、温かい物語です
    いつものように、うっかり泣きましたが

    クリスマスには奇跡が起きる、そんなことがよく言われるけれど人が人を思う気持ちが一番重なるのがクリスマスだからかも知れないですね
    流れ星に願いをかけるのは、どこの世界も一緒

    そして、こういったちょっと昔の作品を読むときは書かれた時代背景を知っておくとまた違った思いで読むことができますよね

    友情と、家族の話

  • 寄宿舎学校の少年5人が体験した、クリスマス前のちょっとした成長物語だけど、添えられた前書き二つが何より素晴らしい。不幸や痛み、悲しみの大きさは大人も子どもも変わらないという事実にそっと寄り添おうとしている。良かれ悪かれ、人はふと故郷を思い出してしまうものであり、だからこそ人はそこで引き裂かれてしまう。故郷というのは喪われてしまうからこそ美しいのであり、だからこそ故郷を喪失した人が新たに帰る場所を見つけることができた時、それに感動せずにはいられないのだと思う。家に帰ろう。今日はみんな、家に帰れるといいね。

  • 映画を観てみたくなりました^ ^

  • 長年の積読本、ようやく読了。
    この時季に読めてよかったです。
    ケストナー作品は、読んでいる間はモヤっとすることが多いのですが、おそらくそれは時代的背景によるものであって、読了後はどの作品も根底に流れる真理に感動してしまいます。
    80年以上も前に書かれたこの本が、時代を超えて読み継がれていることにも納得です。
    ディケンズ『クリスマス・キャロル』と併せ、毎年再読したいです。

  • ドイツのギムナジウム(日本でいう小学上級~高校生にあたる生徒が在籍する九年制の学校)を舞台に、少年達の寮生活を描いた小説。

    10代の少年達が未熟ながらも真剣に自分や周囲と向き合い、成長をしていく過程がユーモアを交え描かれており、心地よかった。

    少年たちの成長物語を描く一方で、ギムナジウムの卒業生である「正義先生」や「禁煙さん」といった大人たちの交流や成長をも織り交ぜた構成も、テーマにより深みを与えていると思う。

  • いつ読んでも心がじんわりあたたかくなる名作。ぜひ、クリスマスに。

  • 5人の子供が作り出す、個性的な日々。
    楽しく、面白い日々を通して5人それぞれの性格や絆の強さを感じることができる
    ワクワクを感じたいときに読みたくなる本

  • 高橋源一郎のラジオ番組のタイトルとして知っていたので手に取ってみた。

    もう50年近くも生きてれば、自分がいかに汚らしいかはわかっているつもり。
    綺麗な心の人になりたいなんて思う資格すらないと思っている。

    何もそう言って贖罪しているわけではない、
    本当に諦めている。
    世の中には大人になっても綺麗な心を持っている人がいることを知っているから。

    だけど、そんな自分でもこの作品を読んで胸を熱くするんやと驚いた。

    少年文学なのに正義、勇気、友情をけしておおきな言葉として扱わず、むしろ身近に感じさせるのは奇跡かもしれないくらいすごいことだと思う。

    このゼバスチアンのセリフがいい
    「ウリーは勇気がないことを恥として感じていたという点で、単に勇気がないのとは訳が違う!」

  • 子どもだってずいぶん悲しく
    不幸なことだってあるのだ...
    子どものなみだはおとなのなみだより
    小さいというものではない
    おとなのなみだより
    重いことだっていくらもあるのだ...

    ドイツがナチス政権をとるようになるほんの少し前の頃のこと。
    寄宿学校で寮生活をおくる五人の少年たちの友情は、熱く勇猛果敢で
    五人の少年たちはそれぞれ個々に孤独や貧しさや弱さを抱えていながらも
    決して屈しない。その健気さがなんとも愛しくて涙ぐましくも
    とても微笑ましいお話でした。

    中ほどで正義先生が二十年前の昔話を少年たちに語る場面が好きです。
    正義先生と禁煙さん。素敵なおとなたちです。

    著者・エーリッヒ・ケストナーさんがこのお話を描くことになった経緯から
    この物語が始まる冒頭のまえがきと、無事に書き終えた後のあとがきでとで
    もうひとつの別の物語も楽しめました。
    こちらもとても好きです。

    そしてさらに訳者さんによる解説もたいへん興味深く読みました。

    これから読んでみようと思われる方がいらっしゃいましたら
    ぜひともクリスマスシーズンにお楽しみください♪

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