中華の崩壊と拡大(魏晋南北朝)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062740555

作品紹介・あらすじ

乱世の三国時代を治めた晋の再統一(西暦二八〇年)の後、中国は再び大分裂。五八九年の隋の天下統一まで、華北(北朝)では、五胡十六国時代を挟み、一時は北魏が統一するが、東魏、西魏、北斉、北周と興亡を繰り返す。江南(南朝)でも、宋、斉、梁、陳と次々に王朝が交替。乱世の一方、陶淵明、顧〓(がい)之の活躍した六朝文化が華開く。

感想・レビュー・書評

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  • 一見政治史的な記述だが、魏晋南北朝時代を「漢民族と非漢民族との抗争・融合の歴史」であり人口の大移動の時代として捉え、その具体的な例を各所に引く。北朝における胡族の中華化、南朝における非漢民族の討伐と漢民族の蛮化、戦乱に伴う人の移動、中国の近隣(朝鮮半島・日本)への中華概念の拡大など。主要人物略伝、歴史キーワード解説、参考文献紹介、年表、索引あり。

  • この巻では、漢王朝(後期)後漢末期の騒乱のち、後世に有名になった三国志の時代に入り、魏・晋を経て北部の乱立から統一、南部では漢民族による王朝など解説されています。

  • 司馬氏の台頭から主に五胡十六国という複雑な時代を詳しく書いてくださっています
    また倭国等の周辺国への言及も面白い

  • 鮮卑を初めとする異民族が王朝を立てた際に、中華と夷狄のジレンマに陥いる事を指摘し、魏晋南北朝時代を再構成している所が面白かったです。南朝では貴族文化が全盛を迎え、北朝では北方民族と中華が大胆な融合を行い、違いを見せる一方、この時期流入した仏教や道教をバックに統一を目指す動きは両者に見られるので興味深いです。

  • 漢帝国の崩壊は、ただの王朝の時代って言うだけではなく、胡族の台頭、仏教の需要などの要素により、価値観や文化も変容しました。
    支配者は下克上に注意しながら、胡族と漢族の融和を図り、自らを胡とはしない鮮卑の皇帝や、胡族の王朝に忠義を尽くす漢人まで現れました。
    さらには日本と南朝の関係まで踏み込んでくれます。

  • まだ買ってませんが、興味のある時代なので楽しみ。

  • 政治・軍事史が中心で、学術や思想、科学技術などは書いてありませんので、少し残念です。とはいえ、当時の民族問題や、本来異民族であった国々に芽生えた中華意識や漢人の意識の変容など、とてもよく分かります。晋の武帝、北魏の孝文帝(とくに太后との母子説)、梁の武帝や、侯景などについては比較的詳しく書いてあります。象が暴れていた中国南部や、虫を呪詛につかう習俗が山越のものであったとか、こうしたディテールの描写は、中国史のイメージを修正するものです。また、日本が自国を中心に天下概念を形成したことの淵源に、中国北部の異民族王朝に芽生えた中華意識を指摘しており、興味深い観点です。五胡の国々については、符堅以外はあまり、詳しく書いていないので、何かほかの参考書をよむ必要があるかも。それにしても、ジェノサイドや奴隷は、ローマやアメリカにだけあったのではなく、中国にも厳然とあって、それに対する叛乱があったことは、きちんとふまえておく必要があります。はじめから「漢民族」がいたわけではないのですね。民族問題についても深く考えさせられる一冊です。なお、江南の貨幣経済の発展、官僚の給与まで銅銭や鉄銭で支払われていたことについても、興味がつきません。

  • 展示期間終了後の配架場所は、開架図書(3階) 請求記号 222.01//C62//5

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著者プロフィール

1950年生まれ。九州大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学後、佐賀大学教養部教授、九州大学文学部教授をへて、九州大学大学院人文科学研究院教授。著者に『中国の崩壊と拡大』(講談社)、『中国史のなかの諸民族』(山川出版)、『魏晋南北朝時代の民族問題』(汲古書院)など。

「2006年 『東アジア古代国家論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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