LAST (ラスト) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 345
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062751773

作品紹介・あらすじ

外国人窃盗団に雇われ、通帳から現金をおろす出し子の男が最後に打った手は(「ラストドロー」)。住宅ローンに押し潰されそうな主婦が選んだ最後の仕事とは(「ラストジョブ」)。リアルで凶暴な世界に、ぎりぎりまで追い詰められた者たちが、最後に反撃する一瞬の閃光を描く。明日への予感に震える新境地の連作集。

感想・レビュー・書評

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  • 7つの短編。怖くなった。

    どの主人公も今更どうする事も出来ないでしょ。というところまで堕ちていて、死ぬか生きるかの究極の選択のみしかない状況にある。
    絶体絶命でも一縷の望みにかけるのだけど、その道は蜘蛛の糸より細く頼りない。
    こんなストーリー読んでたら明日は我が身になるんじゃないか?という変な恐怖感、焦燥感に包まれた。
    もうこの本は忘れよう。怖すぎる。

  • 人生崖っぷち。ギリギリまで追い詰められた人達の短編集。
    多額の借金を抱えた人達が、どうにもならなくなり一線を超える話が多い。
    それぞれが悲惨で、救いがあったりなかったり。コール、シュートが後味が悪かった。

  •  どの作品もラストは続きが気になる終わり方。「この後の主人公の行動や人生はどうなるんだ!?」と想像を掻き立てられた。
     主人公たちに共通してるのは、多額の借金を抱えていること。人間どん底まで追い込まれたら、なんでも出来るのだと勇気を与えてくれる。
     売春、テレクラ、障害者の性、ホームレスなど、ふつうに生活してたらなかなか接触することのない人間の生活を見れたのも新鮮だった。
     印象に残った作品は、『ラストジョブ』『ラストシュート』『ラストバトル』の3つだ。

    【ラストジョブ】
     官能小説みたいでドキドキした。歳上女性好きの私からしたらたまりませんなぁ。歳下男歳上女性の人妻ってシチュエーションだけで燃える。
     援交をラストジョブって言うだけでカッコよく聞こえる不思議。よくよく考えたら、援交=仕事って認識も間違ってないもんね。身体売ってキモい男とヤるわけだから、ある意味ふつうの仕事よりもキツいかも。

    【ラストシュート】
     とにかく不快で気持ち悪い。不快さで言えば今まで読んできた小説の中でも上位に入るレベル。
     おっさんと幼女が交わるだけでもキツいのに、5歳の男の子の穴に指出し入れするシーンでトドメを刺してくる。
    最後グッドボーイ君が反撃してくれずに終わってたらトラウマになってたかも。

    【ラストバトル】
     看板持ちを主人公にした着眼点がすごい。底辺のおっさん同士の交流にほっこりする。トントロと酎ハイで1杯やりたくなった。
     ナカさんの息子が最後助けに来たのが熱かった。口ではボロクソ言うけど、やっぱクズ親父でも血の繋がった親子なんだね。全編の中で唯一決着がつくスッキリした終わり方。この話をラストに持って来たのは良かった。

  • さすが石田衣良さん。7つの短編、どれも面白かった。ギリギリまで追い詰められた人間の最後のひとあがきを描いている。

    それほどダークではないので、初めての人にもとっつきやすいかも。

  • さすが石田衣良さんというべきか。短編小説とは思えないほど一つ一つの小説が面白く見応えがあった。ラストライド、タイトルもカッコいい。

  • タイトルのLASTの意味は限界まで追い詰められた人が最後に取る行動は?ということだろうか。
    まさにそんな内容の短編集で、文章は読み易くて短い頁に上手くまとまっているものの、好みではなかった。

  • おもしろかった!我が家の本棚にあったので
    暇つぶしに読んでみたら、おもろい!
    石田衣良さん、読みまくろうかな(笑)

  • LAST RIDE 小切手金融
    LAST JOB 住宅ローン、セックスボランティア
    LAST CALL テレフォンクラブ、ホラー
    LAST HOME 上野ホームレス かき屋のミチヨ
    LAST DRAW 出し子
    LAST SHOOT 経済システムとして完成されている現地の幼児売春
    LAST BATTLE 消費者金融の看板を持つ男@新橋SL広場
    AFTERWORD

  • 都築さん

  • お金は人を狂わせる。

  • なんとも悲しい話ばかりだなあ。
    著者はこう言った話の取材をどう行うのだろう。
    危険な匂いがぷんぷん。
    「LAST」
    行き着く最後なのかもしれないが、そこをもし突き抜ける事ができたなら
    「LAST」はまだ続くという事なのだろうか。

    • hs19501112さん
      石田衣良さんを知ったばかりで、かつどはまりしていた頃(入り口はIWGPシリーズ)、手当たり次第に石田作品を手に取っていた時期に読んだ記憶が。...
      石田衣良さんを知ったばかりで、かつどはまりしていた頃(入り口はIWGPシリーズ)、手当たり次第に石田作品を手に取っていた時期に読んだ記憶が。。。

      池袋だの上野だの月島だのの、明るく青春な「街モノ」(←自分の造語です)とうって変わった、暗めな作品だなぁという印象が。


      (最近は石田さんを読むこともめっきり少なくなりましたが)・・



      石田衣良作品のなかの、とっておきのおすすめ作品を一つ、書かせていただきますね。


      「スローグッドバイ」

      恋愛モノの短編集なのですが、すっごく素敵な作品でした。

      機会があれば、読んでみていただけると嬉しいです。
      2020/08/20
    • moboyokohamaさん
      私もIWGPシリーズにはハマりました〜
      石田さんの作品は守備範囲が広いですよね。
      石田さんの作品が好き、というのではなく石田さんのこの作品が...
      私もIWGPシリーズにはハマりました〜
      石田さんの作品は守備範囲が広いですよね。
      石田さんの作品が好き、というのではなく石田さんのこの作品が好きという感覚になります。
      「スローグッドバイ」読んだことあるのに思い出せません。ブクログにもその時の気持ちを残していません。haさんにお勧めされて再読したくなりました。
      2020/08/20
  • ダークな感じ、ハードボイルドな感じ、そしてミステリアスな感じ。
    とても読みやすい短編集でした。

  • 人生を追い詰められた人々の様々なLASTが描かれてある
    大抵は借金をした人

    雰囲気的にはIWGPっぽいんだけど、マコトみたいに解決してくれる人はいない

    前に読んだときには、真っ当に生きてる人には関わりのない話だなぁと思ったものだけど
    今や住宅ローンとは言え高額な借金をして月々の返済をしてる立場としてはちょっと身につまされる思いも少々

    やはり僕としては借金のために家族は売れないなぁ
    それをするぐらいなら死ぬとは思うけど、実際にそんな状況になったら揺らぐのだろうか?

    まぁ、流されて危ない橋を渡る事はあるかもしれないけど
    借金を返しても結局は悪い人たちからつけこまれる未来が見える

    とまぁ暗くて悲しい結末だけでもなく、ちょっとした救いも描かれてあるけどね


    僕はどんな人生の最後を迎えるのか、前よりは時々考えるようになった
    石田衣良がよく描いている底辺の生活ではないものの、似たような感情は前よりは理解できるようになってしまったよ

  • どの話も続きを読みたくなるほど面白かったです。

  • いやー、さすが!って感じw
    こういう衣良さん、好きだなぁ~~♪

    リアルで凶暴な世界に、ぎりぎりまで追い詰められた者たちが、最後に反撃する一瞬の閃光を描く短編集♪

  • お金がらみのとってもダークな短編集。
    それぞれの主人公の今後を読者に想像させる終わり方。

    実際にこんな世界も有るんだろうけど、自分の事として考えると…てか、考えたくもないですね。

  • どうにも世の中から見放された人の追い込まれた最後の時間を描く。どうにかなったりならなかったり、人生は楽ではない。

  • アホやなぁ、なんでこんなになるまで借金をするんだろう。もっとはやく事業を畳むなり、破産すればいいのに。(破産しても普通に暮らせる)。

    でも、この作品はお金がなくなってからどうなるかがテーマなので人物たちがデフォで借金まみれになってるのは仕方ない。

    ダークな話とちょっと救いのある話が交互に収録されてたのが良かった。

    文は読みやすい。書き手の癖や作風なのだろうけど、小説の文章は「出来事」と「その出来事を受けて人物が抱く感情」の2ブロックに分かれるのだけど、出来事をダーッと書きがちで後者が少ないなぁとは思った。

  • 暗っ!
    重っ!

    読んだことないくせに、なんか明るく爽やかな若者の話を書く人だと思い込んでいたので、かなりびっくり。
    こんな話も書くのか。

    でも、割と好みです。
    最初以外、主人公がほんのり幸せになるのが良い。

  • 短編のせいもあり、終わりがパッとしないなぁ。と読み進めていて思ったけど、なんだかやたら暗い内容だったせいもあり、パッとしない感じで終わらせてくれるせいもあり、読後感がさほど重たくないのは、石田衣良の作戦か?笑!?

    パッとしないし、物足りない気もするけど、おかげでどんより暗い内容なのに後に引かない。

    数秒で内容忘れそうなくらい軽いです。笑

    重たい内容なんだけどね。

    精神衛生上にいたっては、暗さをどんどん掘り進んで思いっきり貶める作家もいるけど、なんかこうまでして暗い内容ライトに仕上げるのもこれはまたあり!な感じでした!笑!

  • 全体的にダークな世界。幸せと対極にある世界だった。

  • 10年近く前に出会って何度も読んでる作品。
    自分が落ちてる時に何故か読んでしまう。
    安心もしないし、むしろ更に落ちる気がするが
    読まされてしまう。
    なんだろうこの魅力は。
    石田衣良さんのクサさも◯

  • 何かに追い込まれた(多くはお金であるが)人々が人生のラストで見せる行動は時には自分をとことん追い詰めたり人生の一発逆転へと導くこともある。本書はそんな人々を描いた短編集。人が追い込まれる状況やそれまでの社会に起こる原因は実際に起こっているもので現実離れしていないシチュエーションなので一つ一つの話に引き込まれてしまった。

  • 人生で追い込まれた人達が撃つ、最後の反撃を描いた物語。
    『反撃』と言ってもそれが必ずしも正義では無いし、
    現状をひっくり返すものばかりじゃない。

    例えるなら『線香花火』。
    火玉がポトリと落ちる寸前に一度だけバチッと爆ぜる事がある。
    それは。とても美しかったり力強かったりする。
    しかし、ポトリと落ちる事は避けれない。
    この作品はそんな最後のバチッを描いている物語の短編集です。

    よく知らないですが、
    こういう小説もフィクションと言えどリアリティを持たすために取材をして、
    事実を参考に書いてる事が多々あると思います。
    そう考えると世の中には僕の知らない世界がまだまだあるンだと知らされました。

    あと、石田衣良の書く小説に出て来る『追い込まれた人』って、
    ほぼ借金で首が回らなくなった人なんですよね。
    この作品も例外なくそんな感じ。
    下手な精神的苦痛を題材にした作品より、
    よほどリアリティがある。

  • ラストな話いろいろ。
    ダークだ。
    それもまた人生!?

  • 本当に後がない人の話がいくつか詰まってる
    後がない気がしてる私が今これを読むのは、私にはまだ後があるって教えてくれてるのかな

  • 外国人窃盗団に雇われ、通帳から現金をおろす出しこの男が最後に打った手は…。
    住宅ローンに押しつぶされそうな主婦が選んだ最後の仕事とは…。
    リアルで凶暴な世界に、ギリギリまで追い詰められた者たちが、最後に反撃する一瞬の閃光を描く。
    明日への予感に震える新境地の連作集。

  • 追い詰められた人達が最後に擦るする反撃。追い詰められた環境で何をするかにその人の本質的な考えが表れる気がする。読んでて苦しくなる。

  • ひとり石田衣良フェア第二弾。あまりにも別世界過ぎて、あんまり共感出来なかった。一歩間違えれば自分も主人公達みたいになりうるのに呑気なものです。「間違えれば」っていうのはちょっと語弊がある言い方だな。人生に正解なんてない訳だし、中には望んでそういう生き方をしている人達もいる訳だし。所謂「推奨される生き方」からは逸脱した人生なので、平凡に生きていきたい自分としては、あまり共感出来なかったというのが感想。

  • 2014.10.13 読完

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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