- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062753913
作品紹介・あらすじ
1つ、クールに生きていく。2つ、友だちはつくらない。そう心に決めていた中学生の私の前に、不思議な一人の女性があらわれた。彼女こそ、理想の大人だと思う私の毎日は少しずつ変わっていくが…。少女と大人-傷つきやすい2つのハートが出会った、ある夏の物語。第36回講談社児童文学新人賞受賞。
感想・レビュー・書評
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13歳息子の面白かったよという感想に釣られて読書しました。
周りの人はみんな幸せそうに見えて、一見何の問題もなく過ごしているように見えるけど。
誰しも心がゆらゆらと不安定な時もあり、内には色んな思いを秘めて生きているのかもしれない。
不安な思いを感じるのも自分。変えるのも自分。
一歩踏み出す、その場から動く大切さ。小さな勇気をもらいました。 -
小学校のときの仲間はずれ以来、中学では人と関わらないよう過ごしてきた主人公が、都市伝説となっていた「ミドリノオバサン」との出会いで、活路を見出す。
大きく傷ついた経験は、たとえ環境が変わっても、自分の中で解決しないと「終わらない」というのはリアルだった。この物語において、その終わらせ方は秀逸。単なるいじめ問題の話ではなく、人が生きる上で「自分の汚い部分」の受け入れ方や乗り越え方について丁寧に描いていると思う。短くてあっという間に読めるが読んだ、という充足感はある。 -
#非バランス #読了 #魚住直子
#講談社文庫 #YA
友だちをつくらない、クールに生きるをモットーに生きる中ニの私。いじめ、万引き、ナンパ…危なっかしい思春期の毎日にヒヤヒヤ。普通の文庫本の中にYAが紛れているのですね。書店にYAコーナーを!という声、やっと少し理解できたような気がします。 -
魚住直子さんの作品は3冊目。やはり魚住さんの文章は読みやすい。物語の設定や展開も好きだ。
中学二年生の「私」が、いじめられないよう「クールに生きる」「友達は作らない」というモットーで過ごしていたことにも自然に共感できた。また、主人公が偶然出会った「サラさん」も悩みを抱えており、主人公の思うような完璧な大人ではなかった。
最後、主人公がいじめた相手の自宅に言って怒鳴りつけてやっと気持ちの整理ができたこと、サラさんが、自分のした過ちを主人公に打ち明けたこと、ミドリノオバサンなど様々なことが上手く絡み合い、気持ちの良い読後感だった。 -
ふとした切っ掛けで小学生の頃いじめられていた私は、中学に入った時に「クールに生きていく」、「友だちはつくらない」と決めた。ある夜出会った不思議な女性に、何故か私は「タスケテ」と口にしていた。
小学校卒業のタイミングで引っ越しで隣の学区に移り、知る人のいない中学校で新たな自分になり仕切り直しをしようとする私。作り上げたキャラクターこそを自分と思い込むことで、小学生時代の嫌なことを振り切ろうとする。
そうやって心をしっかりと武装するも、ひずみができて心が揺らいでくる。
タイトルの「非・バランス」が持つ力が、作品全体に響いています。
いじめられていた記憶に縛られて悪夢を見て、無意識に加害者に無言電話を繰り返してしまう私。
理想の大人だと思い自分をさらけ出せる相手だと思っていたサラさんにも、違う顔があることを知る。
クラスで目立つグループにいる子にも、教室で見せない顔がある。
そんな様々な自分をバランス良くコントロールすることが「いいこと」なのか? バランスを崩し穴に落ちてしまったら、もうどうしようもないのか。(登場人物のひとりが3階の窓から落ちるのは象徴的だ)
バランスを崩して落ちたと思った地に、もしかすると自分の居場所があるかもしれない。
それぞれの人物が一歩踏み出すためにバランスを崩す。踏み出す先はどこに向いているのかはわからない。それでも一歩踏み出したこと。そこに希望を見出している。 -
途中で登場人物がごっちゃになってしまった。
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小学生の時読んだ。その時の私は号泣。大人の私でまた読みたい。
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小5の頃から卒業までいじめを受けてきたユカリは、中学では「クール」でいこうと決める。
「1つ、クールに生きていく。2つ、友だちはつくらない。そう心に決めていた中学生の私の前に、不思議な一人の女性があらわれた。彼女こそ、理想の大人だと思う私の毎日は少しずつ変わっていくが…。少女と大人-傷つきやすい2つのハートが出会った、ある夏の物語。第36回講談社児童文学新人賞受賞。」 -
誰でも心を塞がないといられない時がある。どうやってやり過ごすのか。後から思えばとても人に言えない方法で心をエスケープさせたことの一つや二つ誰にでもあるだろう。
忘れていたが忘れてはいけない。自分もそうだったと時々思い出せれば人に優しくなれる。
子どもの頃のことをおとなは忘れすぎだ。 -
新幹線用に、本屋で目に入った薄い小説を。
中学生の主人公の悩みを解決するようにみせて、さらさんも姿を重ねてて助けられてたんだろうなあ。
いじめの描写は心がギュッてなる。めちゃくちゃわかる。何度も夢に出てきて、なんでこうしなかったんだろうって何度も後悔するんよね。けど自分が納得する方法を見つけてやり遂げた主人公は格好いい。
そして、さらさんの悩みもわかる。情けなと葛藤と。憧れられていたのに幻滅された後の傷口も。
たぶん人生大小あれど皆人間関係や夢で挫けてると思うから、短い話の中にも心臓をつかまれた気分になると思うな。書評にある、いつかは避難所を脱し自分の場所へ帰らなくてはいけない、はなるほどなと。避難所は遠かれ近かれあるけど、結局は自分だからね。
20年以上前に、この本原作の映画を観たことがありました。タイトルが印象的だったので思い出しました…
原作も読んでみたくなりました!