- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062757157
感想・レビュー・書評
-
プラハからストーンサークルの村からジャージー諸島まで。亡妻の死亡の謎を追って。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一応、事件は終結を見ましたが、すっきりしたとは言えないですねぇ。しかも、解決はしていないですよねぇ。結局、アンバーは、アンバーではなくなってしまうわけですから。結末の内容の違いは、アメリカの作家とはイギリスの作家の違いでもあるんでしょうかね。アメリカの作家の場合は、もっとすっきりしそうな気がするんですが。
-
一番面白いのは解説という謎。
-
久しぶりのゴダード。
やはり、過去にあった出来事の真相を追う
ゴダードならではの展開は非常におもしろい。
あっという間に引き込まれる。
「ジュニアス」のくだりは、自分がまったく知らないために若干退屈に感じたが、
イギリス人が読んだら、とっても楽しいのかな? -
幼い姉妹が誘拐され、ひとりが事故死するという23年前の事件と、18世紀の謎の投書家ジュニアスを騙る手紙が、失意のうちに元妻を亡くした主人公を事件の中に引きずり込んでいく。
ゴダードお得意の事件に振り回される主人公です。
主人公が五里霧中になっているとき、こちらも主人公のもっているカードしかわからないから、本当に霧の中にいるみたい。このなんともいえない感じが、多分ゴダードの面白いところなんだろう。
が、とりあえず、今回は謎の投書家、ジュニアスについて知ってないとちょっと辛いかも。って、くぐってみましたが、全然ヒットしませんでした。本書によると、18世紀に政治批判の手紙を送っていた謎の投書家だそうです。どうやら、その正体をめぐって研究が盛んにされているみたい。
このマイナーな人を選んでくるあたりが、しぶい、ゴダード。
そして、23年前の事件と、18世紀の投書家と全然繋がりそうにないのに、繋がっていくんだよね。このあたりは、職人技。
そして、元妻の死も、なんかポイントなんだよと、思わされつつ、全然ポイントになってこなくて、単にそういう状況のための?って思ってたら…。上手い。
この複雑な模様を思わせる伏線の張り方は、ゴダードの醍醐味だ。
…最後のほうの、長い独白で泣きそうになった。
なんつーか、人は切ないな。
で、最後でまたひとひねりあるのかと、はらはらしたが…。ゴダードにしては地味な結末といえるかもしれない。でも、ほんのりとした温かさがある。
ゴダードもそれなりに年をとってきたのかなww -
ゴダードの小説の特徴は、今起きている事件と並行して、歴史上の謎が解き明かされていくこと。で、巧いのは、せっかく解明した事実を主人公が公開できない境遇にしてしまっちゃうこと。その過程を物語にするんだから、なんとも意地が悪い。
ただ、今作の場合、あまりに馴染みのない謎なので、日本人のおいらにはピンとこないのが残念。
もう一つの特徴は、主人公が事件に巻き込まれちゃうことと、巻き込まれる主人公が人生を諦めかけている中年の男性だってこと。いつもは巻き込まれて投げ出されて草臥れ果てて終わる感じだけど、今作は巻き込まれて投げ出されて草臥れ果てても、それでも頑張っちゃうよみたいな明るさがあって、おいらはとっても気に入ってます。
一つ残念なのは、途中で登場する魅力的な女性が、あっけなく物語から降りちゃうこと。巻末の解説にもあったけど、どうやらゴダードは悪女にしか興味がないようだ。