バラ色の怪物 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062757850

感想・レビュー・書評

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  • ★2.5 自分に読解力がないのか、主人公と色々な登場人物が、それぞれが関わりなく描かれているように感じた。まとまりがなく思えて、すっきりしなかった。

  • 20130529読了

  • 地味にあのバイト
    やってみたいです 笑

    続きが気になるのは
    私だけなんでしょうか?←

  • 解説:肩川優子

  • 内容は、中学2年生の遠藤が、こわしてしまった眼鏡を買い換えるために、三上という人の元でトレカのネットオークションのアルバイトをはじめる。
    学校のボランティアで、ピンク頭の問題児吉川とも親しくなって、その人たちと関わることで精神的にも肉体的にも変化していく…て感じの話。

    親子の会話のところで、すごい共感してしまった。
    親に、言われてなんか気恥ずかしさとかから、無償に腹が立つことて、あるよなあ…

    すごい中学生らしい…ていうか…うん…笹生さんすごいね…

  • 笹生陽子の『サンネンイチゴ』を読んだら、何年か前に読んだ『バラ色の怪物』をまた読みたくなって借りてくる。こっちも主人公は中学2年、14歳の遠藤トモユキ。

    遠藤の父は、知人の借金の連帯保証人になっていて、その知人の会社の倒産で多額の債務がふりかかったときに姿を消した。父と母の離婚が成立したあと、遠藤は小学校に入った頃から母と二人家族だ。

    中学2年生の母親が40代というのは、そう不思議なことではないのだろうが、「うつむいた母のうなじには白髪がまばらにはえている。三十代の終わりまで、なんの予兆も見られなかったのに、四十代に入ったとたんに、なぜだかめっきりふけこんだのだ」(p.25)というような、息子の目から見た母の姿が描かれるのを読むと、その母と同世代になっている自分自身もカラダの曲がり角を感じていて、あーそういう歳かなと思う。

    遠藤が両親の離婚のいきさつを知ったのは小6の秋。ふと興味がわいて、母にたずねると、案外あっさり教えてくれた。
    ▼真相を知る前とあとでは、たぶん、なにかが変わったはずだ。人は、そうして変化しながら成長していく生きものらしい。変化していく自分自身を、遠藤はたまに怖いと思う。きのうまでいた父が突然姿を消した日のように、いつ、なにが、どう変化するのか、予測するのは不可能だから。(p.26)

    朝礼でぶったおれたときに壊れてしまったメガネを母に内緒で買い換えるため、同級生の宇崎から紹介されて、《行動する中学生の会》の代表を名乗る三上ハルヒコのもとで、遠藤は"アルバイト"を始める。

    「中学生って、つまんないよね。なにもかも中途半端でさ」(p.46)という三上はやたら弁が立つ。「子どもあつかいされるというのは、ある意味、気楽でいいけどね。でも、保護されるというのは、すなわち制約されるということで、制約されるというのは、つまり自由がないってことだから。中学生って、そうした矛盾にはじめて気づく年ごろで、気づいたら最後、その不自由さがやたらと鼻につくんだな。─ちがう?」(p.47)などと。

    立て板に水のようにしゃべられて、遠藤は、自分がどうしたいのかよくわからなくなる。決定権を委ねられるのは苦手なたちだ。三上の"面接"のあとに、宇崎を通じて採用を告げられても、うれしいのかどうかよくわからない。

    三上が率いる"アルバイト"は、インターネットでのトレカ販売。遠藤はその体格と性格を見込まれて、三上の秘書兼ボディガードもつとめることになった。三上に百パーセントの信頼をおいたわけではないけれど、三上がいうようにギャランティが入るのなら、3ヶ月後には壊したのと同じメガネが手に入る。

    母が眠剤をのんで寝入ったあとに、家をぬけだし、"アルバイト"で夜の雑踏に出る。初めは緊張した夜の街にちょっと慣れてきた頃、遠藤はある事件に巻きこまれる。

    この三上がからむ夜の話と、中学校での昼の話とがねじれたように綴られるなかに、遠藤自身の変化がみえる。

    卒業後の進路が決められない遠藤は、就職すれば家計が楽になるのはわかるものの、高校くらいは出ておいたほうがいいかと迷っている。どちらを選ぶにしても内申書は重要だからその点数稼ぎにと、担任に勧められるまま校内の奉仕活動をするという話に乗った。裏庭にある温室の管理をまかされた遠藤は、そこに入りびたる吉川ミチルとしょっちゅう顔をあわせることになる。

    蛍光ピンクのベリーショート頭をした吉川は、校内屈指のトラブルメーカー、奇行マニアだといわれていた。だが、そんな見かけや噂によらず、吉川は遠藤の温室管理ボランティアを手伝って、ていねいに水やりをしたりする。園芸に詳しく、温室のシクラメンが踏み散らされたときには、遠藤と一緒にホームセンターへ行って、球根を買い込んだ。

    吉川と一緒に歩くと、やたらじろじろと人に見られる。吉川は慣れっこなのかまるで動じないが、人に見られたりするのに慣れていない遠藤はかちこちだ。そんな吉川も、生まれつき変なやつだったわけじゃない。

    「あたしにも過去というものがありまして。こんな髪型にするまでは友達だってふつーにいたし、ふつーに話して、ふつーに笑って、ふつーに生活してたって。中学校に上がってからも半年くらいはふつーだったよ。校則やぶりだしたのは夏休みが明けてから」(pp.85-86)そう聞いて、遠藤は意外な気持ちになる。

    吉川との昼と、三上との夜と、大きくなっていく身体、うずまく感情。
    ▼遠藤はいまさらのように理解した。吉川がなぜ「ふつーとはちがう世界」にわざわざ行ったのか。「ふつーの世界」の住人たちに小突き回され、嫌われながら、なぜ平然と変人ごっとをつづけることができるのか。…(略)… 闇を嫌って光を求める人の心はもろくて弱い。醜いものや不愉快なものに恐れおののく人々は、自分自身の醜さや愚かさを知ることもない。吉川はそれを知ったのだ。あの遊歩道で、はっきりと。目をそむけたくなるものたちから目をそらしてはいけない、と。(p.172)

    中学2年の夏休み明けから3ヶ月、自分の内なる怪物に目を向けるようになった遠藤には、大きな変化の秋だっただろうと思う。もう30年近く前の、自分の中2の頃もかすかに思い出す。

    (2/9了)


    (2013年2月9日了:二読)
    -----

    こないだ『ぼくらのサイテーの夏』と一緒に借りてきた本。こっちは中学生の話。ココロもカラダもめきめきと大きくなり、なにかとバランスがわるく、ぐちゃぐちゃとしている頃。同級生とあわなくなるところも出てくるし、親を気遣い、しかし親のちょっとした一言に荒れたりする。そんな中学生を書いた物語。

    作者の笹生陽子は、中学校をこんな風に書く。
    ▼…中学校というのは、じつに摩訶不思議な空間だ。いや、どんな個性も生きざまも義務教育の名のもとに受け入れざるをえない、といったほうが正しいかもしれない。(p.132)

    読み終わってみると、表紙のふたりは、主人公の遠藤(眼帯)と、隣のクラスの吉川ミチル(蛍光ピンクのベリーショート頭)だった。

    遠藤は朝礼でクラっとぶったおれてメガネを壊してしまい、しかし母と二人のけっして豊かとは言えない生活のなかでメガネを新調することを母に言い出せずにいる。同級生の宇崎に誘われて、メガネのために秘密のアルバイトを始めた。それは、他校の上級生・三上が率いる「行動する中学生の会」と称するグループでの、ネットオークションなどを使ったトレカ販売だった。

    学校では、あまり勉強もできない遠藤に、内申点稼ぎのために奉仕活動はどうかと担任にすすめられ、校内の温室管理を引き受ける。その温室を居場所にしていた変人女の吉川ミチルと、遠藤は少しずつ話すようになり、あたしにも過去というものがあって、こんな蛍光ピンクの頭にするまでは友達だってふつーにいたのだと聞く。

    物語は、遠藤が三上の秘書兼ボディガードを務める夜と、吉川と学校の温室で会う昼を語りながらすすむ。

    吉川が、それまでつるんでいた仲間と離れて気づいたことを遠藤に語る。
    ▼「…あっちを離れてこっちに来たら、それまで自分のいた場所がどんな場所だったのか、よく見えるようになったんだ。ほら、あたしくらいの年ごろになると、反抗期だの思春期だので、世の大人たちがみーんなずるくて汚く思えてくるじゃない? 若い人たちは純粋で、だから汚い大人たちと戦わなくちゃいけない、なんてまじめに考えたりしてさ。でも、あれって半分うそだよね。もう半分は本当だけど。…知ってる? 遠藤。子どもの真の敵って、じつは子どもなんだよ」(p.133)

    そう、吉川の言うように、「みんなといっしょでないと不安でしかたがないくせに、群れようとしない者をやたらと敵視したがる小心者」や「他人の不幸をむさぼり食ってぶくぶく太る怠け者」など、そこにもここにも小さな怪物たちがいるのだ。

    (2010年9月26日)

  • 奇抜な(?)女の子も出てきますが、主人公はどこにでもいそうな少年。行動力、というのはまさにこのことだな!と納得させられる。自分もこのように出来たのなら…などと思ったりもしますが(苦笑)今更遅いよなぁ…と…。元気になれる本でした。


  •  この本の主人公の男の子はすごくフツウなんだけれど。
     どこにでもいそうで、特別じゃないんだけれど。
     何故かとてつもなく好きでした。


     フツウで、よくいるタイプだからこそ。
     周りに染まりやすくて。
     まだ『自分』になっていく途中段階で。
     可愛いタイプじゃないし。
     悪いところもあるのに。

     すごくすごく好きになってました。 

  • 購入者:Shin
    笹生陽子第3弾。彼女にはまりました。
    今回の主人公は中学2年生。大人でもなく、子供でもない微妙な年代の人間たちの物語です。行動する力…見習わないといけないと実感しました。吉川に会ってみたいな。
    貸出:鈴木(2007.12.18)行動力という部分では僕も少しはあると思っていましたが…奥が深い!今後の自分にプラスになる本でした。

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著者プロフィール

東京都生まれ。慶應義塾大学文学部人間科学専攻卒業。1995年『ジャンボジェットの飛ぶ街で』が講談社児童文学新人賞佳作となる。1996年『ぼくらのサイテーの夏』でデビュー。同作品で第30回日本児童文学者協会新人賞、第26回児童文芸新人賞を受賞。2003年『楽園のつくりかた』で第50回産経児童出版文化賞を受賞。その他の著作に『世界がぼくを笑っても』『バラ色の怪物』などがある。

「2015年 『楽園のつくりかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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