- Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062758819
作品紹介・あらすじ
血塗られた浦登家の系譜を受け継ぐ者は誰?漆黒の館を包み込むのは断罪の炎か。逆転に次ぐ逆転の果て、とうとう事件の真相は明らかになったかに見えたが…。空前の本格&幻想ミステリ巨編二六〇〇枚、ここに堂々の完結!恩田陸、京極夏彦、宝野アリカ、奈須きのこ各氏の「特別寄稿」を収録の最終巻。
感想・レビュー・書評
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暗黒より出ずる
京極さんの特別寄稿のタイトルが素敵なので、
いただく。
なかなかの質量の作品でした。
探偵小説と読み始めてもすぐに 幻想的な暗黒館の佇まいと異質な登場人物達に混迷する。
綾辻さんがご自分の愛しいものを集めて作り上げたという暗黒館。
私は、綾辻さんと京極さんはリアリストだと思っていた。
館シリーズもラストが近くなり 建築家中村青司の原点に帰着して、これまでの作品に出てきた人物や作品も登場させて、物語を完成させている。
だから 本筋はリアリティがある。
でも作品の中心は、殺人に関わるダリアの祭典と中也と呼ばれていたN氏の記憶喪失的な行動と 気を失っていた江南の時空を超える視点。
幻想的で夢幻的な部分なのです。
幻想探偵小説として 受け止められるかどーか。
幻想的な部分を持つとわかって読む方が、小説として質の高さを感じる事ができるような気がする。 -
最終巻も一気読みでした。
最後まで怒涛の展開と、明らかになる真相に衝撃が大きかったです!
読み終えたあとは、達成感と清々しい気持ちになりました。
覚悟を決めて挑んだ、暗黒館の殺人。
読むことができて本当に良かったです。
少し休憩したら、次の館に進みます。 -
『暗黒館の殺人』最終巻。
やっと『暗黒館の殺人』終了。
長かったが、不思議な達成感が。
不老不死を求めた浦登家。
その秘密が明らかに、そしてすべてがつながる。
現代ではなく33年前の出来事だったのか…
江南の乗ってきた車が、市郎が見てなかったこと、少額紙幣に、⁇と思っていたのだが…
違和感のある視点と声は誰⁇ と思っていたが、江南孝明の視点と声だったとは…
祖父の形見の『懐中時計』が引き寄せていたとは…
そして犯人よりも『私』こと『中也』が、『館』シリーズのあの人だったとは…
『ダリアの肉』を食べた『中也』はまだ生きているのでは…
この後、現れるのだろうか、玄遥のように⁇
ただなぜ『中也』が『ダリアの肉』を食べさせられたのかは謎のまま⁇
『中也』が柳士郎の隠し子では⁇と思ったが…
『館』シリーズの全ては、ここが始まりだったとは…
征順が新たな当主となり、現代に続く浦登家。
医者は誰だったのだろう⁇
ピアノを弾いていたのは誰だったんだろうか⁇
黒いフードの影は…
美鳥はどうなったんだろうか…
謎が残るが…
長かった…
第1巻で挫折しそうになりながら、なんとか最後まで。
何度、もったいぶらずに早く、と思ったことか。
なんだろう、この不思議な達成感と納得感は。
鹿谷門実、最後にしか登場せず…
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暗黒館の物語も最終局面へ。一冊丸ごと解決編!時計館が表の傑作ならば、暗黒館は館の持つ色気をすべて塗り込んで黒く燃やした集大成と言える。館という匣の辿り着く頂点という名の底。立ち位置的にシリーズ最終巻でもよかった。鹿谷や江南のように館への衝動を抑えきれない読者にはぜひともここまで読み進めてほしい作品。読み終わった後にはこれまでの館へともう一度訪ねてみたくなるだろう。その魅力へと取り込まれてしまう魔性の作品となっている。
謎については推測が割と当たっていてうれしかった。ノートに16ページもメモをして読んできた甲斐があった(笑) それでも解答を見ていて、自分が気づかない伏線が多くあって唸るしかなかった。示されてしまえば、これは大胆過ぎやしないか…という感じなんだけどね。
ずっと気になっていた犯人の動機も腑に落ちた。他の謎でもそうだけど、世の理外にある暗黒館。そのルールから見えてくるものも、その場だからこそ映らないものもある。動機はまさに暗黒館という場に慣れていたからこそ、盲点になってしまっていた気がする。
また、今回はトリックがどうというよりは、館や登場人物が魅力的だった。あれだけ世から外れたものを縋っていた一族が、その闇の果てで見せる人間臭さ。光ではなく闇の中で生きる者たちの愛。狂おしいまでの悲しみに満ちていた。その涙を拭うことができたのか、その答えもまた闇の中にあるのだろう。
全体としてやっぱり長いので(核心に迫ろうとするとすぐ横槍が入るのはもうギャグに近い)、3冊くらいにまとまる物語だったら文句なしだったなあ。 -
只々達成感がすごい
足掛け8年の書き上げと思うと感慨深い
読んだ人間では強い一体感が湧きそう
後半から明かされる真実
やはりこの本も館シリーズでした
この雰囲気を作るための1,2巻 挫折しないで良かった
毎年9月24日ダリアの日を私も祝いたい
参加は勘弁…
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暗黒館の殺人、解決編。
いや、長かった。
誰が誰であるかほぼ混乱しながら必死に食らいついた感があるが、これまで読んできた本物の館シリーズの中でもとりわけ異色の物語で、主人公は中也であり、冒頭の登場人物に江南はいいとして鹿谷は載っているが・・・。
振り出しに戻された感覚で、まさに始まりの館。十角館から読み直したらまた違う感覚になりそう。
228冊目読了。
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長かったけど、その分読み終わる頃には浦登家の人々への愛着が湧いてしまい、読み終わってしまって少し寂しい。
ミステリのようなオカルトのような…なんとも言えない作品でした。
でも館シリーズの集大成である事は間違いなく、できれば今までの作品を読んでから読むことをおすすめします!
それにしてもなんて複雑な構造…途中違和感を感じたり真相の近くに触れるような感触は多々出てくるんですが、巧みに真相にたどり着けない仕組みになっていて…最後の最後に「あーーーー!…えええええ??!?!」となります(語彙力)。とんでもない設定だ…。
浦登家の人々はどうなってるのかな。もしかして中也さまも…???
これからのシリーズで再登場もありうるんでしょうか。楽しみすぎる…! -
約二ヶ月間をかけて、ようやくこの『暗黒館の殺人』という長大な作品を読了した。
シリーズの7作目として捉えたとき、この作品はやはり特別だ。単体の作品としてはやはり読めないだろう。単体で読んでもそのあまりに深く醸成された世界観を楽しむことが出来ない。
故に、この作品はシリーズを読んできたからこそ味わえる驚きや雰囲気に満ちている。盟友有栖川有栖が学生アリスシリーズの『女王国の城』において、ファンサービスのようなシリーズの楽しみを演出しているように、この作品は館シリーズのファンが今まで楽しんできた幻想的でロジカルで怪奇的な綾辻作品の要素が凝縮されている作品だ。
本作品の評価は長大であるが故に、その全ての要素に納得できるかは怪しいところで、それ故に受け付けない人は多いだろう。それだけ多くの試みがなされていて、その中には単純に作者らしい要素、作者の趣味とも言えそうなものも含まれている。
ストーリーとしては雰囲気作りが徹底されていて、舞台、登場人物ともにシリーズ最高レベルといえる。今回の主役である中也はどこか懐かしみと親しみのある青年だが、その素性は隠匿されている。またその中也を暗黒館という舞台に誘い、謎に引き込み続けるのが玄児だ。彼に垣間見られる闇は暗黒館そのものの闇と同調している。他にも、魅力的なキャラクターが多く登場するが、全てを語るのは興が削がれるだけだろう。
そして、事件や謎の規模でいえば、およそこの文量に見合ったものではないが、逆に少ない謎を隠しながら読者を暗部へと引き込んで行くようであるといえる。謎が解決しかけると何か別の退っ引きならない事が起きて解決が延期される、そういう場面が多い。人によってはイライラするかもしれないが、そこはこの館の住人になったつもりで気長に楽しみたいところ。謎解きの難度は、このシリーズ特有の文脈、幻想性、闇をどこまで読者が認め受け入れているかで変わる。この点で僕は比較的波長が合っているので謎解きはまあいい線行ったのではないか。
最後に、この作品のクライマックスの一つである、ダリアの夜の宴について。長いことこの作品にどっぷりと使って、さながら暗黒館の住人のようにここ数十日を楽しんだ者としては、ぜひともいつか参加してみたいものだ。そんなことを思ってしまうのは、僕もダリアと暗黒館の魅力に取り憑かれてしまったからだろうか。
私のイメージは、鎧戸の閉まった黒い建物。
かなーり前に読んだ作品なので合ってるかどうか(^◇^;)
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私のイメージは、鎧戸の閉まった黒い建物。
かなーり前に読んだ作品なので合ってるかどうか(^◇^;)
話の内容なんてほとんど忘れてしまいましたが、ダリアって名前を聴いて、あー何か食べてたなーーーって思い出しました。
人間の脳って、どんな風に記憶をしまっておけるのでしょうね(笑)
正直なところ、長いわ。
覚えてないですよね。
私、知念さんの「ムゲンのI」もどうもダメだったんですけど、多少...
正直なところ、長いわ。
覚えてないですよね。
私、知念さんの「ムゲンのI」もどうもダメだったんですけど、多少同じ匂いがします。
ミステリーと幻想って相性悪い気がするのだけど、
暗黒館は、巻末にそうそうたる作家人の寄稿が幾つか掲載されていて、皆さん素晴らしいって言ってるから、小心物は抵抗できない。
話があっちこっちいってたような。
いままで広げた風呂敷を閉じるにはこのぐらいの...
話があっちこっちいってたような。
いままで広げた風呂敷を閉じるにはこのぐらいのページが必要だったのかもしれんが。