人生ベストテン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062759946

作品紹介・あらすじ

四十歳を目前にして、人生のイベントベストテンを自虐的に並べてみれば、我が身には二十五年間、なにも起きてはいないのだ。年相応の達成感も充実感もない日々に愕然としながら、私は岸田有作に会に行く。十三歳の夏に恋をした相手に-どこにでもある出会いが生み出す、おかしくいとしいドラマ、全六篇。

感想・レビュー・書評

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  • 後書きでイッセイ尾形さんが書いている通り"行くあてのなさ"という表現がピッタリの、パッとしない日々を過ごす人たちを描いた短編集。

    表題と同じタイトルの"人生ベストテン"は、自分の人生を振り返り、10大イベントを考えてみる女性の話。ベストテンというより、本人にとってのインパクトの大きさ順ではあるが、自分はそんな視点で過去の経験を振り返ったことがなかったので、ある意味斬新だと感じた。
    ただ、全編通して、前向きな気持ちになれる話はなかったのが残念。

  • なーんか良い短編集。
    リアルなんだけど、どこか非現実的でなーんか良い。

    ここで出会った人たちはまた会うかもしれないし、もう会わないかもしれない。
    きっと会わないんだろうな。
    いやでもなんらかのタイミングで会うのかも。
    なんて思わされた。
    それぞれ人生が、日常が続いてく感じがして良いなぁと思った。

    なんか角田光代さんの書く小説の登場人物って妙に都会的でリアルなんだよね。
    いるいるでクスッと笑わされてしまう。
    こんな事する?みたいな行動する人がいても、それに至るまでの心理描写も行動描写もしっかりしてるから不思議と納得いってリアル。
    本当にすごい作家さんだなと思う。

    評価はそんなに高くないけど私は好きな作品でした。

  • だいぶイラッとする女性達の物語。
    それぞれが勝手すぎる… と、感情移入させられているは、作者の力量なのか?

    エッセイかと思って、勝手に楽しみにして読み始めたのも悪かった…

    短編6話。登場人物達がダメすぎる笑
    腹立たしい人ばかりで読んでいて不愉快さもある。

    床下の日常、なんか闇がある感じは角田さんぽいな、と勝手に思う。

    観光旅行、苦手…こういう母娘は好きではない。
    そして最後、それでも一緒に過ごしてしまう主人公も共感できない…

    飛行機と水族館、ここら辺で一度読み止めようかと思う…
    こんな勝手な女が隣席なら、座席変更したいかも…笑

    人生ベストテン、が1番よかった。
    高級鍋は誰から買ったのか?料理の腕が上がり、騙されたけど幸福感がある主人公… 共感はゼロだが、話は面白かった。

    そして最後の、貸し出しデート、もなんかな…
    冴えない登場人物達のオンパレード…


    フィクションなら、魅力的な登場人物がいる話が好きなのか?と自分の傾向に気づけた作品になった。

  • 小泉今日子の書評を読んで、読んだ。
    角田光代は前から読みたい読みたいとは思っていたが、何となく読めずにいたので、キョンキョンに背中を押してもらい読んだ。
    さらっとよめた。
    特段変わった話でもないんだけど、読み進めたくなる。
    誰かに話を聞いてもらうって、意外に大事な一歩かもしれないなー。
    キョンキョンの書評の中で、“この解放は一瞬だけで、明日も悩むかもしれない。それでも、一瞬の解放は確実な一歩”というような言葉があったけど、的確にこの本をいい得ているなぁと思った。

  • それでも人生は続いていくんだよなってしみじみしてしまう。登場人物たちが自分の延長線上にいるような人たちばかりで、今私は何かしらこの生活を変えたいって思ってるけど、このまま何もしない人生ってあり得るよなって思った。大層な事件も起きず、起こさず、成功も努力もその為の苦しみも味わわず…。そうなっても(というか今まさにその状況なんだけど)人との関わりでポジティブになることだってあるよってことなのかな。

    作者のWikipediaに、『厭世的でよくないとしばしば担当編集者に内容を指摘されていたが、「空中庭園」発表後に評論家に色々言われるまでしっくりこなかった』(意訳)と書いてあった。この本は希望があるように感じたので、きっと「空中庭園」後だろうなと思ったら本当にそうだった。いつか空中庭園も読んでみたい。

  • 読んだのは2回目だけど、レビューを書いてなかった。

    短編小説集で、たくさんのストーリーが書いてある本。

    内容も知っているので、すぐに読んでしまった。

    私は読んだことのある本を何度も読んでしまう癖がある。

    小説も、漫画も。。。

    この本の中でどの話にも共通しているのが、

    「未来は分からないけどどうにかなるさ」みたいな要素が話の中に入っているということ。

    先が見えない状況に対して、誰しも不安を覚えたことはあるのではないだろうか。

    でも、この本を読むと、なんとなく「先が見えなくても不安に思うことはないんだな」

    なんて思えてくる。

    それが良いことなのか悪いことなのか自分には分からないけれど。

    とりあえずこの本は、今の私にはぴったりかもしれない。笑

    起こりそうのない設定ばかりの話だけれど、

    現実的ではない話だからこそ面白く感じるのかしら???

  • さらっと読み終えた。
    どの人物も、自分と表裏一体な気がして、親近感を持ちつつ、でも自分だったらこういう行動には出ないだろうなぁ、とか考えつつ読み進みました。
    田吾作くんを主人公にしたお話が読んでみたい気がしました。

  • 「四十歳を目前にして、人生のイベントベストテンを自虐的に並べてみれば、我が身には二十五年間、なにも起きてはいないのだ。年相応の達成感も充実感もない日々に愕然としながら、私は岸田有作に会に行く。十三歳の夏に恋をした相手に-どこにでもある出会いが生み出す、おかしくいとしいドラマ、全六篇。」

    「30代。恋愛の悩みを近し人に軽々しく相談出来るほど若くないが、その問題自体から解放されるほど都市を取ってもいない。これは現在39歳の私の実感であり、この先は未知の世界だ。何歳になっても悩んでしまうのかもしれないし、死ぬまで解放されないのかもしれない。ースカっとする解決がもしろかった。ーこの解放感はほんの一瞬だけで、明日もやぱり悩むのかもしれない。それでも、一瞬の解放は確実な一歩。そんな明るい気分になれる小説。」
    (『小泉今日子書評集』の紹介より)

  • 流れた人生を振り返ってみると
    結構何もない?
    に気がつく大人たち
    結構みんなそんなものじゃない?と思うけれど
    他人はなんだかすっごくでっかく見える

  • 俺の人生、捨てたもんじゃない、なんてセリフが思い浮かぶような読直後感でした。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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