- Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062760287
作品紹介・あらすじ
一絃のみの琴の音色が描く明治の女たちの矜恃と情念
土佐藩の上士の娘・苗は、祖母・袖の嗜みであった一絃琴を5歳の時に初めて聴き、その深い音色に魅せられた。運命の師有伯と死別した後、結婚生活で一度は封印したものの、夫の理解を得て市橋塾を始め、隆盛を極めた。その弟子となった蘭子は苗との確執の果て、一絃琴の伝統を昭和に伝える……。直木賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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1979年第80回直木賞受賞作。
一弦琴の噺。ほぼ歴史小説な時代小説。読めて良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
作者の作品は
女性の一代記が多い気がするが
これは二人の女性が描かれている
恵まれてばかりではない主人公の成長物語のような
ワンパターンなものなのだけれど
いつも夢中になって読みふけってしまう
強くありたい -
う~ん、今回はいまいちのれなかったなぁ。苗と蘭子という二人の女性の人生を一絃琴を通して描かれています。対照的でもあるが類似性も併せ持つ二人の女性、私は苗の物語の方が好きでした。こんなにも何かに打ち込めるものがあるというのは幸せでもあるなぁ~とも感じました。
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友人の「2011年に読んだ本リスト」からのおすすめで。
苗と蘭子、一弦琴に魅せられたふたりの女の生き様。 -
浦野所有。
私の好きな「女の一生モノ」の長編で、直木賞を受賞しています。NHKの連ドラにもなったので、特定の年齢層での知名度は抜群。琴の講師をつとめ、幕末・明治・大正を生きた女性の物語です。
宮尾登美子といえば大河ドラマの原作でもおなじみの歴史小説家ですが、それにしても書き方が独特すぎる! 一瞬、とまどいますよ。
まず、マル(句点)がなかなか出てこない。すなわち、1文が長い。
それと、先に種明かしをしてから物語を進めるんですね。たとえば、「○○が壮絶な一生を閉じたのは、それからひと月ほど過ぎたころだった」とかいう文面が突然現れるんですよ。それまで主役級に扱われていた人間の死が唐突に宣言されて、そのあと数ページにわたって、死に至るストーリーを説明するという書き方です。
そんなこんなで、驚きに満ち満ちた作品でもありました。 -
さすが宮尾登美子さんらしい素晴らしい本。宮尾さんの本を読むと、自分自身も人生にしっかり向き合って生きたいと思えます。
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宮尾登美子!高知を舞台に、武家出身の女性たちの生き様を鮮やかに描いた作品。慎み深くも、芯があり強い登場人物たち、古典芸能である一絃琴や明治の娘たちの生活と、五感に豊かに訴えてきて、明治を主な舞台にしていながらも昔話ではなく心に迫る。
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圧倒された。少し古さを感じる文体も、これはこれで流麗で、噛みごたえのある文章だった。
後半に入ると、蘭子にあまり共感できず、雅美と苗の味方ばかりしたくなってしまった。苗の娘稲子のモデルになった、島田寿子さん演奏の漁火がオンラインにあったため聞いてみた。先入観あって聴いたせいもあるかもしれないけれど、冒頭の弾き出しから鳥肌がたった。
Kindleで読んだことを後悔する。これは紙媒体で手元においておくべきだと思った。 -
一弦琴というものを初めて知りました。
登場する女性、いずれも意志が強い。明治大正昭和と時代は巡り、今の平成にこういう女性って少ないのかも。