災厄 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 154
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767880

感想・レビュー・書評

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  • 永嶋恵美『災厄』講談社文庫。

    妊婦連続殺人犯の少年を巡る物語かと思ったら、少年を担当する弁護士の妻を巡るイヤな物語であった。結果的には消化不良という感じで、真梨幸子や湊かなえ、沼田まほかるのようなイヤな面白さは無い。

    担当弁護士の相次ぐ事故でやむなく妊婦連続殺人犯の少年を担当することになった弁護士の妻、美沙緒は妊娠5ヶ月の身重であった。夫が少年を担当することになり、数々の嫌がらせを受ける美沙緒は恐怖を募らせ……

    本体価格676円
    ★★★

  • 最初から最後までイヤな話。
    著者の作品が初めての人じゃない限り、ちょっと嫌な話を読みたくて読んでいるのだろうけど、それでもやっぱり嫌な話。
    人の嫌な部分を集めたような作品。

  • 高校生が妊婦を計画的に殺害し、その弁護を引き受けた男性の妻は妊婦。
    何故弁護を引き受けたのか、義理のために引き受けたと誰もが思っていたがその男性は幼少期に少年犯罪の被害者で被害者の立場からの思いで引き受けていた。
    弁護士の妻は旦那が弁護を引き受けた事でマタニティスイミングをやめざるおえなくなり、そこからいやがらが始まる。
    自宅や電話番号がネットで流出され、誹謗中傷の原因を作ったのが旦那の事務所の女性。
    悪意を際立たせている小説だけど、みんながもっている妬みで自分もなる可能性があるし、される可能性もある。そんな怖さをもった小説。

  • 妊婦連続殺人事件の犯人は高校生…
    その事件についての話かと思ったら、
    その殺人犯の少年の担当の弁護士の妻のまわりで起こる悪意の嫌がらせについての話

    途中で絵里の弟の話が出てきて
    そこから何かが…
    と思ったけどとくに何もなく…
    とにかく、女は怖い、陰湿ってコト

  • とってもイヤな気持ちで読み続けた。人間の悪意をしつこく書いている。誰の中にももちろん悪意はあるだろう。しかし、理性で抑えられるものだが、立場が変われば悪意は全面に出てくるのかもしれない。

  • それぞれの登場人物からの悪意に溢れた本。悪意だらけで全体として暗くなる分、善意の行動が明るく際立つ。
    "人は善意と悪意とを同じだけ持っている。どちらが表に出るのかの違いでしかないのだ。"に全てが集約されている。

  • おおおおおお。


    この人の作品はたしか、「転落」だけ読んだことある気がする。うーん、あんま覚えていないんだけど、奇妙なくらいによどみなく人が落ちてゆき、どろどろしたいやな感じで終わり、少し最後にGがくる、そんな感じだったかな〜(あいまい)

    で、この、「災厄」。裏表紙で読むと、妊娠している弁護士の妻。その夫はこともあろうに妊婦連続殺人の高校生の弁護を引き受ける。とたんに周りから押し寄せる悪意。女同士の暗闇を描く、的な、あらあらかなり心がタフじゃないとまた、読めませんな。という、すでに裏表紙からかなりの悪意と女性のいやらしさがフンプンと匂ってきております。


    雨が、苦手なんですあたし。雨のふる前のニオイと、雨の音。もう早く帰ってぬくぬくしてたーい、って思うし、お家にいてもなんとなく心がわさわさするんです、雨。ついでに傘をさすのがすきじゃなくて、たいがいの雨は濡れて帰ってくる。雨に濡れた髪の毛のニオイも独特で、キライ。うー。そんな中でこんな陰惨な本大丈夫かな?と思った割には開き直ってさくさく読めた。いや、読まされたのかもしれない。

    裏表紙に実は、たっぷりのヒントが隠されていたと、読み終わって気づく。悪意の発祥の地が例えばマタニティスクールの、こないだまで仲良くしていたグループだったり、しばらくぶりにあった同級生だったり。あるいはまた別の、顔の見えないデジタルな悪意。弁護士という職業へのねたみだったりあるいは妊婦を殺害した犯人への憤りだったり、この本には様々な悪意が交錯してる。もし悪意選手権を開催したらこの本、かなりの上位入賞だと思う。


    読み終わって、でもうまいな、と思った。

    要所要所にこれでもかとばらまかれる品のない、およそ知的でない悪意の裏に、実はそれを操る、非常に鋭利で計算高い、数十倍精度の高い悪意が潜まれている恐怖。女の感情的な悪意の端々に、絡まるようにして男の、矜持にくるまれた悲惨な恨みとそねみが覗いてる。


    うーん、すごいね。


    結果としてあたしとしては、人間って生きるためにはがらんどうになるか、悪意で満たされることが必要なのかもねとさえ思った。おー、なんといやな読後感。塩撒いて塩。おかーさーん!


    そんないやな読書でした。もうぞっとするほど女に失望し、男を疑いたいすべての人に(何人いるかは知らないが)、お勧めします。とはいえその実、幸せの絶頂の時にこれを紐解き、身の引き締まる思いをする、そんな利用法もあるかもしれません。

  • 購入済み。

  • 妊婦ばかりを狙った殺人事件の犯人は高校生だった。少年犯罪がテーマかと思ったら、弁護士の妻に対する嫉妬からくる女同士のいがみ合いが主な話だった。善意のふりして嫌がらせなんて…恐ろしいものです。妊婦殺害少年の動機がいまいちハッキリしないのがスッキリしないせいか、読後感がモヤモヤする。

  • 人の悪意について考えさせられます。自分にも同じような感情絶対ある。

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著者プロフィール

永嶋恵美一九六四年、福岡県生まれ。二〇〇〇年『せん-さく』でデビュー。一六年「ババ抜き」で第六十九回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。主な著書に『転落』『明日の話はしない』『ベストフレンズ』『視線』『一週間のしごと』、「泥棒猫ヒナコの事件簿」シリーズなど。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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