あさま山荘銃撃戦の深層(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771566

作品紹介・あらすじ

一九七二年、日本中を震撼させた連合赤軍。その幹部に吉野雅邦という男がいた。小・中学校の同級生で事件直前まで吉野と家族ぐるみで親交を深めていた著者が、事件後の往復書簡を含めてその心の遍歴を辿りながら、裁判記録や関係者からの聞き取りを重ねて、かつてないアプローチで「あの事件」に迫る。

感想・レビュー・書評

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  •  衝撃が尾を引く1972年の「あさま山荘事件」をめぐる書籍をあらためると、驚くほどの数が出版されていました。
     突入の実況中継を担当したアナウンサー、元警視庁関係者、元県警幹部、かつては指名手配犯だったメンバー本人が名乗って公開した手記まである! 事件に関わった人々は、それぞれの観点から「あさま山荘事件」の振り返りを行わずにはいられない……
     ただ組織が瓦解したから終わりではなく、検証する意味や必要性を痛切に感じたからではないかと感じます★

     そのなかでも、今回手にとった『あさま山荘銃撃戦の深層』は、もしかしたら異質な存在かもしれません。
     ペンをとった大泉康雄氏は、『プチセブン』や『週刊女性セブン』など、ライトな女性向けエンタメ雑誌を手掛けた元編集長。(『女性セブン』はともかく『プチセブン』にお世話になった10代の記憶がよぎり、思わぬ場所でその名を聞いて切なくなります☆)

     本書で大泉氏は、連合赤軍中枢にいた吉野雅邦が幼なじみであり、獄中の友と文通もしていたと告白しているのです★
     著者の知る吉野雅邦は、その場を明るくするような、人好きのするタイプだったと言います☆
     吉野の事実婚の妻も含め、家族ぐるみの付き合いをしていた大泉氏。学生時代にはもう一人の友人・津田氏と集まり、大いに語らい、旅行や食事を楽しむような仲だった……

     特に「少年の日」の章では、他愛のない思い出話があまりにも普通に披露され、どこにでもいるような青少年像と、彼が手を染めた凄惨な凶行とのギャップにとまどいます。
     けれども、普通の好青年にひとたびスイッチが入れば、壮絶なリンチも辞さず、恋人の命を奪う行為も止めなかった事実を、本書は明らかにするのです★

     権力に屈しない革命戦士であろうと思想に燃えた若者たちは、たえず厳しい闘争を求めた末に破滅へひた走り、最後にひときわ大きな爪痕を残していきました。


    →下巻に続く
    https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4062772116

  • 腹が減っていると ろくなことがない。

  • 吉野雅邦の幼友達である大泉氏が書いた、活動中、逮捕後、裁判の全過程を忠実に追った稀有な追想記。裁判に花園紀夫も参考人として登場し、赤軍派から連合赤軍への経緯やその状況説明は圧巻。連合赤軍の内実を知るには、植垣康博氏の書いた「兵士達の連合赤軍」と共に必読書である。

  • 40年経ったからこそ見えてくる衝撃の真実総括の実態、私刑の経過。エリートの若者たちをあれほど残虐な革命に駆り立てたものとは? 刑期中の幹部の親友である著者が迫る彼らの息詰まる心理と人間模様!   

  • 辛いなあ。彼らの内側か。らの肉声は、僕らと同じだ。彼らの中にいてもおかしくなかったんだなつくづく思う。

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