眠りの牢獄 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1016
感想 : 95
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774581

感想・レビュー・書評

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  • 1時間ちょっとで読み終える小説なのですが、怒涛のトリック祭りでした。
    事前情報全くなしで読んでいたので、素直に驚きました。

    家の階段から落ちて昏睡状態の女の子の兄が、その日家にいた三人の男を閉じ込めて犯人を名乗り出させるという話だと思っていましたが、冴子というストーカー女の話と交互に物語が進んでいきます。

    えっ!?、、、ええっ!!?、、、ええええっ!!
    と、この薄い本に王道のトリックがいくつも仕掛けられています。このオチの叙述トリックはいくつも読んでいるので新鮮味はありませんが、物語を読み進める中でいくつか違和感はあったので、まぁフェアな方だと思います。

    サクッと読める王道ミステリー。エンタメ性が高いので普段本を読まない人にも勧めやすいです。

  • 単純に、本の薄さ、ページ数からは想像できない結末です。暗くて重苦しい雰囲気が漂いつつ、ラストにはアッと驚かされます。
    ミステリー小説のサイトなどでも上位に入っている作品ですし、他の作品と比較してもチャレンジしやすい厚みだと思いました!ミステリー初心者の方、他にはない刺激的な結末がほしい方には大変オススメです!

  • 薄い小説なのに物語がよい!面白い!最後の最後に「なるほど!やられた!」ってなって気持ち良い読了感!

  • 初読みの作家さんです!
    ネットなどではよく見かけるが、なかなか読む機会がなく、つい最近読破しました。
    結果から言いますと、強くお勧めする作品です。
    まず利点1として、ページ数が少ないところ。読書する時間がない方にはもってこいです。
    利点2、登場人物が少なく、スラスラ読めるところ。
    利点3、この薄さにして皆さん好みのどんでん返しありのところ。
    しかし、ミステリー読み慣れてる方からすれば予測できてしまうかも知れません。そこが唯一の難点です!
    実際私も中盤からオチを想像し、順調に自分の読みが合っているかのように読み続けたら、最後の最後に裏切られました(笑)
    そこまでは想像しなかったな〜ってのが本音です。
    他の作品も読んでみたくなりました。
    まだ未読の方は是非ご覧になって下さい!

  • 恋人亜矢子と自分が突き落とした犯人を、閉ざされたシェルター内で追求する作者浦賀和宏のパートと、男性に恨みを持つ女が、ネット上の女性と交換殺人を企てるパートの2場面展開。
    濡れ場の描写に違和感があったから、もしかしたらとは思っていたけど、裏切られました。どちらのパートも、どんでん返しの連発でミステリを読み慣れていない人は新鮮かも。偶然が誘発する展開が許せない人にはご都合主義と見えるかもしれませんが。ラストは相変わらず迷宮のようなロマンチシズム溢れる展開でとても好き。

  • 「どんな夢を見ているの。」
    地下シェルターに閉じ込められた3人。 外に出るためには5年前の転落事故の真相を告げよ。
    外部で進行する交換殺人の本当の狙いは、そしてこの作中作「かつていたところ」という物語の正体とは。


    体験せよ浦賀トリックの帯に釣られ牢獄に迷い込みました。 物語は浦賀とその恋人である亜矢子が階段から突き落とされる所から始まります。 5年間眠りの牢獄から抜け出せない亜矢子、そして1日で目覚めた浦賀、やがて事件の真相を求める亜矢子の兄の手によって事件関係者の3人が地下シェルターに閉じ込められてしまう。 3人は途方に暮れながらも事件を振り返るのだが・・・。
    一方、別視点では冴子という女がネットを通じた交換殺人のやり取りを持ちかけられる。 自身の元恋人・博の殺害の代わりにある人物の殺人を依頼されるのだが・・・。
    この全く視点の異なる二つの物語が「かついていたところ」という亜矢子のために書かれた小説なのだという。 250頁の中に詰め込められたいくつもの技巧。 欲張りセットなパズル小説だった。

    本作の美しい点はやはりラストの亜矢子が手渡された小説の件である。 
    眠っている亜矢子の下に行くためのに屋上から身を投げた浦賀。 「かつていたところ」は自身に起きた事を亜矢子の為に託す生涯最後のミステリ。 足の筋肉がかなり退化してることを考えるとやはり亜矢子は長期間眠っていて起きた時には事が全部終わっていたという解釈。
    あるいは眠りの牢獄にいたのは浦賀の方で看護師から渡されたのは「電脳戯話」だったのではないかという解釈。 つまり「かつていたところ」が浦賀の見ている夢ということだ。 ミステリ的な夢を見ると本人が述べているし、ラストの「どんな夢を見ているの?」にも繋がる解釈である。
    作者自身、看護師が述べたタイトルをわざとぼかしているので各々好きな解釈を取ればいいと思います。

  • 浦賀作品を初めて読んだが、あまりにも綺麗なパズラー小説であり、一気に読み終えてしまった。他の作品も読みたくなった。

  • 地下シェルターへ続く階段から落とされた浦賀と亜矢子。
    数年後、犯人探しを目的に集められた、あの時の仲間、、

    散らばったトリックに、気づいている気になっていたけど…
    すんなりと騙されていました。

    はじめて読んだ浦賀さんの作品。
    他の小説も読みたい。

  • 2つの視点で物語が進み、最終的に繋がっていく物語。
    複数の謎が一つの線になっていく様は非常に美しい流れでした。
    私自身はそうだったが、ミステリーをある程度呼んでいる人なら大体のトリックはピンとくる可能性もある。
    最後の結末はリドル・ストーリーとしても取れる表現で最後に大きな謎と想像を与える展開にしっかり心を掴まれ、
    殺人トリック、叙述トリック、リドル・ストーリーと余すところなくミステリーが初めから最後までぎっしりと詰まった一冊。
    もしかすると様々なトリックに頭を持っていかれ、最後のオチに気付かない人もいるかも。
    多少のエログロ要素あり。

  • 初っ端から性行為のシーンでおおうっとなったけど何となく違和感が。それが最後のどんでん返しの伏線だとは気付かなかった。
    まったく繋がりそうにない2つの物語、どうやって繋がるの?いつ繋がるの?と思いながら読んでいたから兄の名前出てきた瞬間わー!とうとう!!でもどういうことー!?って興奮した。そこからは北澤の下の名前にえー!?ってなり…主人公女性にまたえー!?ってなり…笑
    主人公の名字が作者と同じっていうのもまた読者に男性だと思い込ませる材料なのね。一人称が「僕」なのはちょっとズルくない?と思うけど読み返してみると伏線はいくつか張ってあってなるほどーと納得。気持ちよく騙され、叙述トリックとしてかなり楽しめました。

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著者プロフィール

1978年、神奈川県生まれ。1998年、『記憶の果て』で第5回メフィスト賞を受賞しデビュー。『時の鳥籠』『頭蓋骨の中の楽園』など、著書多数。2020年、急逝。

「2020年 『こわれもの 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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