列島融解 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774888

作品紹介・あらすじ

東日本電力社員を経て衆議院議員となった小川正人は、未曾有の大震災後、日本が直面するエネルギー問題に真っ向から取り組んでいた。原発の行方と、代替エネルギーの可能性は。停滞した経済は復調し、安全は守られるのか。日本自由党政権となり激動する政財界を見つめながら、この国のかたちを描き直す意欲作。

感想・レビュー・書評

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  • 2020/04/18 26読了

  • 東日本電力社員を経て衆議院議員となった小川正人は、未曾有の大震災後、日本が直面するエネルギー問題に真っ向から取り組んでいた。原発の行方と、代替エネルギーの可能性は。停滞した経済は復調し、安全は守られるのか。

  • 日本に住んでいながら政治に関してはほとんど知らないに等しい。
    たまにニュースをさらりと眺め、選挙のときには消去法で投票する人を決めていく。
    こんな私のような人間にも選挙権はある。
    硬い!!
    とにかく硬い作品だ。
    読みやすい作品でもないし、小難しい出来事が聞き慣れない単語といっしょに押し寄せ、途中で溺れそうになった。
    でも、その硬さが魅力だ。知らない世界を垣間見れる、ちょっとした好奇心も満たしてくれる。
    何よりも、「考える」きっかけをくれる。
    政治は遠い世界の話かもしれない。
    けれど、政治家が舵をきるその先には、まぎれもなく私たちの日常がある。
    そんなあたり前のことを思い出させてくれた。
    国会議員が公設秘書を3人持つことができるのは知っていた。
    第一秘書、第二秘書、政策担当秘書、この3人には国が給与を支払ってくれる。
    しかし、政策担当秘書に資格がいるとは思わなかった。
    資格取得にはふた通りの方法がある。
    ・長年第一秘書・第二秘書を経験した者が研修を受けて取得
    ・国家試験に合格し取得
    国家試験を経て政策担当秘書になった者は、全体の3割程度だという。
    自分たちの税金が給料として使われているのに、こういう基本的なことさえ知らなかった。
    というよりも、関心がなかった。
    震災後、日本のエネルギー問題は揺れ続けている。
    原発が停止したからといって、安全なわけではないということも最近知った。
    技術の流出ということに対しても、メディアが騒がないかぎり一般の関心は低いような気がする。
    「知る」「考える」「選択する」
    この作品がきっかけになればいいと思う。
    関心のない人ほど手に取ってほしい。
    字面も響きもめちゃくちゃ硬いタイトルだが、そこを乗り越えて読んでみてほしい。
    きっと何かを「考える」糸口になってくれるだろう。

  • 政治的にエネルギー問題、原発問題が非常に難しいテーマで、本当は皆受け売りの意見しか持たず自分の頭で考えているか分からないと不安になった。それと、大事を成す、信頼を得るためには、専門馬鹿にならず、教養が大切ということを考えさせられた。これは小説ではあるが、そういうものかもしれない。

  • 日本のエネルギー政策、ひいては産業政策立案についてのお話。
    日本のあり方を考えるお話は好きです。
    政治家の役割について、勉強になりました。
    小川先生みたいな人は、現実にはいないんですかねー。
    そして、実は高校の先輩でした。

  • ほぼノンフィクションといえる小説。

    それだけに、内容の濃い、色々な分野の知識が散りばめられていて、極めて興味深い。

    小説としてのストーリー展開はほぼ無いに等しいが、それ以上に、知的好奇心が刺激される。

    著者の経歴からしても、リアリティーを感じないわけにはいかない。

  • 意欲作である。
    日本の産業の根幹である電力を どうしたらいいのか。
    主人公 小川は 電力会社の職員から
    国会議員の政策秘書、そして 代議士となり、
    一貫して エネルギー問題に取り組み
    スタッフを集め,信頼できる国会議員と勉強会をして、
    電力に関する法案を策定して、日本を蘇生させようとする。

    原発の可能性、代替えエネルギーの可能性を解明しようとする。
    しかし,核燃料廃棄物に関する知見が殆どないことが
    積み残しされた問題のように感じる。
    シェールガス、メタンハイドレイド、太陽光、風力。
    シェールガスの登場で エネルギーに関しては大きな変化が
    生まれたようにも思える。

    官僚上がりの藤原も代議士であるが、
    そこには,明確なポリシーを持てないところに弱さがあった。

    福島震災後に 中国の露骨な 技術のある中小企業狩り。
    そして,その誘いに乗った 太田正治の 想いと技術。
    微調整技術と言うもので、自爆し,復讐する。
    中国という国のもつ 不純な 動機は
    どこから、くるのだろうか。
    日本人は あまりにも警戒心がない。

    民主党が総理をしていたことの描写が
    実に,痛快でもある。
    彼等は 小学生の生徒会のレベルでしかなかった。

    ソフトバンクの会長が あまり信用できないことが
    この物語の中では 暴かれている。

    中国が 社会主義国であるが故に、少数が多数を支配する。
    そこから生まれる腐敗。
    国民の知的レベルの向上と情報伝達の発達によって
    桁違いの格差が生まれていることが明らかになり、
    その反動が 起こることは 歴史が証明している。
    と言い切る 著者の見識。

    荒削りであるが、ホネがしっかりしている。
    淡々としながら 語りたいことを のべている。
    いままでの 公安情報官から 一歩踏み出した感がある。

  •  東日本電力社員を経て衆議院議員となった小川正人は、未曾有の大震災後、日本が直面するエネルギー問題に真っ向から取り組んでいた。原発の行方と、代替エネルギーの可能性は。停滞した経済は復調し、安全は守られるのか。日本自由党政権となり激動する政財界を見つめながら、この国のかたちを描き直す意欲作。

  • 250403

  • 登場人物が活かされきれていない感じがして、ちょっと残念・・・。
    もう少し、この著者の本を読んでみたいとも思った

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著者プロフィール

1957年、福岡県生まれ。中央大学法学部法律学科卒業後、警視庁入庁。警備部警備第一課、公安部公安総務課、警察庁警備局警備企画課、内閣官房内閣情報調査室、再び公安部公安総務課を経て、生活安全部少年事件課に勤務。警視総監賞、警察庁警備局長賞など受賞多数。2004年、警視庁警視で辞職。衆議院議員政策担当秘書を経て、2007年『警視庁情報官』で作家デビュー。主な著書に「警視庁情報官」「ヒトイチ 警視庁人事一課監察係」「院内刑事」シリーズ(以上、講談社文庫)、「警視庁公安部・青山望」「警視庁公安部・片野坂彰」シリーズ(文春文庫)など。現在は危機管理コンサルティングに従事するかたわら、TVや紙誌などでコメンテーターとしても活躍中。

「2022年 『プライド 警官の宿命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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