粋な日本語はカネに勝る! (講談社+α文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062813242

作品紹介・あらすじ

江戸時代から昭和にかけて、日本人は「粋か野暮か」で人を判断し、カネ持ちでも垢抜けない行動をすれば容赦なく批判した。現代では格差が広がり、「粋」という言葉が死語になりつつある。しかしそんな今だからこそ、落語の世界や江戸しぐさの粋な言葉や行動基準を身につけ、カネの有無や「勝ち組」「負け組」という言葉に左右されない自己を確立すべきである。人気落語家が書く、カネがなくても人生を楽しく、かっこよく生きる知恵。「イナセ」「裏を返す」「あごあしまくら」…古き良き習慣が心を豊かにする。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代から昭和にかけて、日本人は「粋か野暮か」で人を判断し、カネ持ちでも垢抜けない行動をすれば容赦なく批判した。現代では格差が広がり、「粋」という言葉が死語になりつつある。しかしそんな今だからこそ、落語の世界や江戸しぐさの粋な言葉や行動基準を身につけ、カネの有無や「勝ち組」「負け組」という言葉に左右されない自己を確立すべきである。人気落語家が書く、カネがなくても人生を楽しく、かっこよく生きる知恵。「イナセ」「裏を返す」「あごあしまくら」・・・古き良き習慣が心を豊かにする。
    (「BOOK」データベースより)

    「粋」とはなんだろう。それはうまく説明はできないが、とにかく憧れる。「格好いい」とも少し違う。「格好いいね」といわれるより、「粋だねえ」と言われた方が嬉しく感じる気がする。

    本書は、落語家:立川談四楼師匠が「粋」な言葉や仕草について、書いたコラム集とでも言えばいいだろうか。中には「野暮」な人も出てくる。その反対が「粋」なわけだから、反面教師にすればいいわけだ。
    現代では通じなくなってしまった「粋」な言い回しなどを知ると、本当に感動する。心を揺さぶられるのだ。「粋」な生き方というのは、側にいる人に爽やかさと憧れを抱かせるものなのかもしれない。

    江戸で生まれた「粋」と「野暮」。それを語ること自体が野暮なんだよという言葉もあった(苦笑)。そうかもしれない。意識しないで自然体でいて、なおかつそれを「粋」だと思わせる。それが本物だ。「粋」なことを言おう、「粋」なことをしようと思った時点で、それは既に「野暮」なんだ。

    心に余裕がないと、文化は生まれないんだろうな。「粋」や「野暮」なんて感覚や「わび」「さび」なんてものも、そうだと思う。金銭的な余裕もそうだけれど、それは何も必要以上にカネ!カネ!っていうことじゃなくて、生きるために必要な分だけあればいいんだ。江戸っ子は宵越しの金は持たねえ!っていうじゃないか。それに、露骨に物質的なことを言うこと自体が「野暮」につながるような気がする。何事も直接的にではなく、婉曲的に表現し、そして相手の心を察する、それが必要なのではないかな。

    談四楼師匠の本を読んでいると、落語が聞きたくなる。いや、落語を観たくなる。その仕草、言葉、表情、すべてを目に、耳に、したくなる。実際に観に行けるといいんだけどな。年に数回、地元でも落語家さんがいらっしゃるようだ。いつか行ってみたい。

    「粋」な世界に入れなくても、「粋」な世界を覗きたい。そんな方にオススメの一冊。

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著者プロフィール

1951年、群馬県生まれ。1970年、立川談志に入門。1990年「シャレのち曇り」(文藝春秋 現PHP文庫)で作家としてもデビュー。以来、本業の落語会で全国を飛び回りつつ、多くの小説、エッセイ、書評等を執筆。主な著書に『談志が死んだ』(新潮社)『声に出して笑える日本語』(光文社文庫)『いつも心に立川談志』(講談社)『落語家のもの覚え』(ちくま文庫)等がある。

「2022年 『文字助のはなし 立川談志を困らせた男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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