西太后秘録 下 近代中国の創始者 (講談社+α文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062816625

作品紹介・あらすじ

時は19世紀末。日清戦争後、衰退の一途をたどる大国・清では、帝国主義時代の西欧列強による非情な領土争奪戦が始まっていた。
無気力な皇帝をはじめ、優柔不断な男たちに業を煮やした慈禧(西太后)は、国内で起こった政治改革運動「戊戌の変法」を契機に再び指導者に復帰するが、もはや国力の衰えは如何ともしがたく、清はいよいよ最後の時を迎えようとしていた……。
誰もなしえなかった長期的な統治の秘密を、膨大な記録をもとに明らかにする!

『ワイルド・スワン』『真説 毛沢東』著者が描き切る清の興亡!

感想・レビュー・書評

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  • アヘン戦争や内乱でいつ滅んでもおかしくない清朝を皇帝に変わり47年も支え続けた西太后の政治手腕に驚愕。

  • 西太后(慈禧太后)の評伝。下巻では日清戦争後から戊戌の変法、義和団事件を経て彼女の晩年及び清王朝の終焉までを描く。
    従来の「西太后は外国嫌いの超保守派」・「光緒帝は先を急ぎ過ぎた悲劇の君主」というイメージを覆される読書体験だった。彼女が絶対君主制から立憲君主制への移行(あくまでも清王朝は存続させる)を考え、国会開設や選挙制度導入の政策を打ち出していたことを本書で始めて知った。清廉潔白な人物とは言えないが、桁違いの人口と領土と歴史を抱える国の近代化への改革を進めた姿勢と事実はもっと評価されるべきだと思う。
    西太后が近代的で開放的な国家を目指していたことに対し、現在の中国は前近代的・閉鎖的な姿勢だ。まるで彼女の功績や存在そのものを否定し、抹消するためだけに正反対な方向へと舵を切っているようにしか思えてならない。

  • 実質上清朝最後の君主といえる西太后の再評価をテーマとした伝記。彼女の権力下で実施された西洋化改革などは、従来のイメージを払拭させるエピソードだが、(強引に例えれば)似た立場にあった徳川慶喜による改革が幕府の強化存続の為だったのと同じで、西太后の清朝と満州族の為の一手段だった点、踏まえる必要がある(近世国家の為政者として当然の事だが、過度に持ち上げるべきではないという意味)。また所々著者の好悪が反映された筆致なので、そこも割り引かなければならない。「これまで言われてきたほど悪くない」「女性であるがゆえに不当に貶められてきた」位の主旨が伝われば良い本で、名著『ワイルドスワン』の著者の作品にしては、内容が濃くなかった印象。ただ硬い文面にも関わらず次々ページを捲らせる手腕は健在と感じた。

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著者プロフィール

1952年、中華人民共和国四川省生まれ。文化大革命が吹き荒れた1960年代、14歳で紅衛兵を経験後、農村に下放されて農民として働く。以後は「はだしの医者」、鋳造工、電気工を経て四川大学英文科の学生となり、苦学ののちに講師となる。1978年にイギリスへ留学、ヨーク大学から奨学金を経て勉強を続け、1982年に言語学の博士号を取得。一族の人生を克明に描くことで激動期の中国を活写した『ワイルド・スワン』『真説 毛沢東』(ともに講談社)など、彼女の著書は世界40ヵ国に翻訳され、累計1500万部の大ベストセラーになっている。なお、上記の2作はいずれも中国国内では出版が禁止されている。

「2018年 『西太后秘録 下 近代中国の創始者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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