ワイルド・スワン 下 (講談社+α文庫)

  • 講談社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062816656

作品紹介・あらすじ

15歳で著者の祖母は軍閥将軍の妾になる。中国全土で軍閥が勢力をぶつけあう1924年のことであった。続く満州国の成立。直前に生まれた母は、新しい支配者日本の過酷な占領政策を体験する。戦後、夫とともに共産党で昇進する母。そして中華人民共和国の成立後、反革命鎮圧運動の只中で著者は誕生する。

感想・レビュー・書評

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  • 上巻の最後では、内戦に共産党が勝利し、著者の家族は党幹部として、恵まれた生活を享受していたが、下巻でいよいよ混乱の時代が訪れる。
    もう波瀾万丈というしかない。
    文化大革命により、著者の家族の生活は暗転。お父さんのエピソードでは、こんなに党に尽くしたのに…と家族の悔しさを思うと涙が出そうだった。
    大きな河に流されるように、読めます。読み応えのある作品でした。

  • 図書館で借りた。
    かつて話題となったベストセラー本のひとつで、現代中国における自伝的ノンフィクション。著者の祖母→母→本人と3代に渡るドラマは重厚だ。
    私は中国現代史を知る本として知った。確かに「これが中国の世界観か…」と、理解を深めることができた。
    小説としても面白い(が、基本的に「つらい・悲しい・引き裂かれるような逃れられない運命」の繰り返しだ)
    ポイントポイントで、「中国人の感覚ではこれが~だ」と説明があるのが外国人にとっても非常に分かりやすい。

    下巻は文化大革命から毛沢東の死までの中国現代史キーワードが含まれる。

  • もはや現代中国の歴史書と化した下巻。これだけ長く引っ張ってきたのだから毛沢東死去とそれに伴う文革終了にはもう少しカタルシスが欲しかった。

  • 他の人のレビューでパールバックの大地が好きなの人ならおすすめとあったので購入
    あのような時代に凄い意志を持った人がいるんだ
    今でも不条理な国で生活している人のなかにも
    必ず作者家族のような人々がいるんだと思いたい
    同じ作者の毛沢東を先に読むと毛沢東の党員への
    考えと党員の毛沢東の信仰心のギャップがわかり
    より楽しめる

  • もの凄い本を読んでしまった。

    上巻は祖母や母からの伝聞がベースだったのに比べて、
    下巻は本人が実際に経験し感じた事が描かれているため、
    とてもリアルで、時に胸糞悪く、
    読み進める事さえ出来なくなる描写もあった。

    文化大革命って一体なんだったんだ?
    何人を殺し、何人を拷問し、何人を廃人にしたのか。
    現代の中国の人々はこの現実を知る事なく、
    未だ天安門広場に毛沢東の巨大肖像画を掲げ、
    この時代に実在などしていない『平等』の理想を信じ、
    懐古的憧れに浸り毛沢東を礼賛している。
    自分が信じている為政者から虐待を受けるなんて、
    本心はどんなだったのだろう?想像に絶する。

    分厚い上下巻(各800p越えの文庫本)毛沢東の本、
    いつ手をつけるか…。
    すぐに読みたい気持ちと怖い気持ちが入り混じってる。

  • 24.1.13~1.28「上」の後半は一気に読めた。中国がこんな状態だったことは驚き。ユン・チアンさんが書いた毛沢東の本も読みたい。

  • 高校時代に夢中で読んだ本。

  • すごいものを読んでしまった…という感覚。
    中国のことを全然知らなかったので、今までの古典的な”中国”的イメージとは全く異なる印象を持った。
    とんでもないスピードで中国は変化してるんだなぁと思った。
    文化大革命から、発展途上(私が小学生の時の中国のイメージは低クオリティの、パクリ)を得て、今やビジネスで最も注目されてる(バイトダンスやSHEIN)。本当にすごい。

    土地が大きいと統率者を求め、その統率者の能力がそのまま国に反映される。日本では想像出来ないフローだ。。
    あと、途中から宗教だった

    人間の醜い所と高貴な所、こんなにもリアルに描くことができるのかと驚く。

    毛沢東側の視点も気になる。最初は本当に中国を救いたいと思ってたのかもしれない。どこでどう曲がっちゃったのか

  • 戦後中国の混乱を描いた作品。
    人間の持つ権力への欲望を操ることで、人が人を疑い、お互いに監視しあう状況を作り出す異常な状況下、その中で生きた人々の記録である。
    自分の信念を貫き通した人、生きるために信念まで隷属されることを許容した人、信念を犯されていることにさえ気づかず、他人を殺める人。
    当時の世情のなかで生きた人を一律に批判することはできないが、ただ一つ言えることは、人間の弱みにつけ込んでコントロールしようとする人間を許してはならない。

  • 日本では当たり前の権利、主張が通らない苦悩。今の中国でも民主化された方なんだな。まだまだだけど。

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著者プロフィール

1952年、中華人民共和国四川省生まれ。文化大革命が吹き荒れた1960年代、14歳で紅衛兵を経験後、農村に下放されて農民として働く。以後は「はだしの医者」、鋳造工、電気工を経て四川大学英文科の学生となり、苦学ののちに講師となる。1978年にイギリスへ留学、ヨーク大学から奨学金を経て勉強を続け、1982年に言語学の博士号を取得。一族の人生を克明に描くことで激動期の中国を活写した『ワイルド・スワン』『真説 毛沢東』(ともに講談社)など、彼女の著書は世界40ヵ国に翻訳され、累計1500万部の大ベストセラーになっている。なお、上記の2作はいずれも中国国内では出版が禁止されている。

「2018年 『西太后秘録 下 近代中国の創始者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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