元華族たちの戦後史 没落、流転、激動の半世紀 (講談社+α文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062816779

作品紹介・あらすじ

明治以来、日本には華族と呼ばれた、文字どおりの上流階級が存在した。しかし、1945年8月の敗戦で、彼らは大きな変転に直面する。敗戦・財産没収・身分剥奪……。元華族たちの「阿修羅のような」生活とは、いかなるものだったのか? 知られざる終戦工作秘話、皇室の素顔、美智子皇后の成婚まで。前田侯爵家の姫君として生まれ、酒井伯爵家に嫁いだ著者は、激動の昭和史をいかに生き、何を目撃したか。驚きの歴史的証言!

感想・レビュー・書評

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  • 敗戦で身分も財産も失ったところで「戦争に負けたくらいなんだ!」と戦国時代に負けて命からがら逃げ延びた先祖の話を持ち出してくるところがさすがだなぁと思った(笑)なんだかんだ今の社会で要職についてる人は由緒正しき家系の方も多くて、もう結局そこで決まってるような気もしたけれど、戦後散々騙されて、食い物にされた人たちもいた中で、なんだかんだ切り抜けた人たちが残っているんだなと思った。現代皇室についての云々は個人の見解なのだろうから程ほどに受け止める。逆境に卑屈にならず生き抜くことが大事だなぁ。

  • 非常に面白い。
    華族の歴史や戦後の華族がどのような憂き目にあったかの詳細がわかる。

    作者自身華族であり、噂やイメージでなく、本当の華族を知ってもらいたいという思いがあった。

    華族も様々で、華族だからお金持ちというわけではない。というくだりにはハッとさせられる。

    特権から高慢な人達もいた。旧華族内で喧嘩していたが、新華族が現れるとお互い手を取り合って対抗した。など、面白い裏事情も。

    一方で質素を旨として、大名家、武家としてのエリート教育や社会を背負うという精神性の養成、長年培った家風、家訓を守るといった良い一面ともあった。

    一人ひとりの戦後華族の人生、成功、失敗、当時の時代背景などが描かれており、時空を超えて雰囲気を肌で感じながら学べる良本。

  • 著者は旧侯爵家の令嬢。父母ともに藩主の家系(加賀藩・姫路藩)という筋金入り。

    皇族との縁も深く、縁があるから知りうるようなエピソードも多く語られている。

  • 2018.01.04 華族廃止の本を探して

  •  酒井美意子。お父様は旧加賀藩主で侯爵の前田利為、お母様は姫路藩主で伯爵酒井忠興の娘、前田菊子。夫は従妹で酒井家宗家当主の酒井忠元。昭和天皇の第一皇女、照宮成子様のご学友で昭和天皇には何度かお会いになっていたようだ。筋金入りの華族様です。
     美智子さまご成婚、昭和天皇崩御、雅子様ご成婚の際にはマスコミ露出も頻繁にあったそうだが、あまり覚えていない。
     華族とは…大名、公卿(くげ・くぎょう)出身者(旧華族)及び明治維新に活躍した人々(新華族)のこと。
    旧華族は新華族を「成り上がり者」としてばかにしていた。公・侯・伯・子・男の順で位が高い。そして、華族は兵士になることを義務付けられていた。
     敗戦後、十万円以上の財産を持つ者には最高90%もの財産税が課せられ、華族たちは大打撃を受け、昭和21年5月には秩父、高松、三笠の三直宮家(昭和天皇のご兄弟)を除く皇族は、平民になってしまった。
     …というような説明から始まり、美智子妃殿下婚約の騒動や、昭和天皇の戦争責任について、そして雅子様を通してこれからの皇室のあり方等々、今までぼんやりとしか見えていなかった華族というものが、すこーし輪郭を持ってきたかな。

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著者プロフィール

1926(大正15)年2月18日に侯爵・前田利為の長女として生まれる。雅楽頭系酒井家22代当主・酒井忠元の妻。ハクビ総合学院学長、百合姿きもの学院学長などを務めるかたわら、マナー・エチケットなどの評論家、エッセイストとしても活躍。『ある華族の昭和史』(講談社文庫)など著書多数。1999年逝去。

「2016年 『元華族たちの戦後史 没落、流転、激動の半世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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