作品紹介・あらすじ
13歳という多感な年ごろには、いろいろな出来事が降りかかってきます。
希望と不安が入り交じる新学期。そこには、思わぬ落とし穴が待ち受けているかもしれません--。
新たな出会いが引きおこす、5つの恐怖の物語。怖いお話が苦手な子は、ぜったいにページを開かないでね。
【収録作】
池田美代子「百目公演の魚」
にかいどう青「とどく、手紙、の、Sから」
みうらかれん「赤い絵の具」
伊藤クミコ「やさしい先生」
池田美代子「カリカリカリ。」
<小学上級から すべての漢字にふりがなつき>
感想・レビュー・書評
絞り込み
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希望の春、新学期の出会いに待ちうけているのは恐怖の落とし穴
あこがれの優しい先生に連れられて封鎖された池に行ってみると──「百目公園の魚」
いじめられて不登校になったSから何通もとどく手紙が気になって──「とどく、手紙、の、Sから」
しずかでおだやかな先生の授業を妨害し「先生いじめ」をしていると──「やさしい先生」
など、4人の人気作家によるホラー短編が5編
好評だった『13歳は怖い』の続編
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13歳は多感な時期。小学校から中学校に上がり、様々な希望や不安を胸に新学期を迎える。そんな彼女達を待ち受けるのは、優しい者や、言葉だけではないのだ……。
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「13歳は怖い」シリーズ第二段。既刊はこの間までなのでこのシリーズは二巻のみの様だ。
今度も13歳になった、あるいはなるであろう登場人物たちに様々な不運、恐怖が襲い掛かる。
今回も割と自業自得な話もあったりしたが、それ以上に怪異に見舞われた側が友人を襲ったりする話も合って、結末以後を考えると悲しい気持ちになった。
怖いと感じた話は「とどく、手紙、の、Sから」。
「とどく、手紙、の、Sから」は友人?から届き続ける奇妙な手紙から。新学期早々不登校となってしまったS。その内容は他愛のないものであるが、日を追うごとに不気味さを増していく。何度も同じ文章が繰り返しつづられていたり、血の染みのようなものがついていたり。挙句に自宅の机の引き出しの中や、鍵のかかった学校ロッカーの中から手紙が出てくる始末だ。
手紙は文章の稚拙さが目立つようになり、気味の悪さが限界値に達した主人公は文句を言うために単身Sの家に向かっていった。そこでは、想像を超える展開が待ち受けていた。
怖いのだが、事の発端のすべてが主人公の所為であると思われるので、あまり主人公に同情できないかな。一応主人公はSの事を友人といっていたが、実質他のクラスメイトと一緒に、彼をいじめてたかってただけだし。
主人公がSの名前を正確に覚えていないためなのか、それとも作者が伏せる意味でイニシャルにしたのかわからないが、前者だったとしたら主人公は相当最悪だとおもう。
そりゃ日々変な手紙が届けば戦々恐々とするだろうが、その展開を作ったのは自分でなぜ被害者面できるのか。主人公がSをそういう風に扱ってなければ、この展開にならなかったのでは?
手紙のせいで精神的に追い詰められてきたとき、そんなに自分たちとつるむのが嫌だったら友人関係をやめればよかった、嫌といえばよかったんだと憤っているが、この話に書かれているSは口下手で、内向的で、おどおどしている。
そんな人物が果たして嫌といえるのかどうか考えたら分かるやろ。と思わず突っ込み。
嫌ならやめればいいとか、断ればいいとか、やめさせればよかったのに何故それをしなかったのかとか書かれていて正直うんざり。
これがいじめの心理か?
冒頭に怖いと書いたが、確かに送られてくる手紙の内容も、展開もSの常軌を逸した感じも怖かったが、主人公の方が怖かった。
悲惨な結末を迎えていたが、身から出た錆だし、冷たいと思われるかもしれないが、本当に自業自得だなとしか思わなかった。
著者プロフィール
大阪府生まれ。おとめ座のA型。おもな作品に「新 妖界ナビ・ルナ」シリーズ、「摩訶不思議ネコ・ムスビ」シリーズ、「海色のANGEL」シリーズ、「劇部ですから!」シリーズ(いずれも講談社青い鳥文庫)、『炎たる沼』(講談社)、『自鳴琴』(光文社)などがある。ナツという名の愛猫と、ぐうという名のトイプードルと同居している。
「2020年 『エンマ先生の怪談帳 だれもいない卒業式』 で使われていた紹介文から引用しています。」
池田美代子の作品