京都のおねだん (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 159
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884198

作品紹介・あらすじ

なぜこれがこんな高いのか、あんな安いのか、なんで無料なのか、そもそもあんなものになんでおねだんがつくのか――
大学進学以来、京都住まい二十余年。往々にしてそんな局面に出くわした著者が、そんな「京都のおねだん」の秘密に迫る。
そもそも「おねだん」の表示がされていない料理屋さん、おねだん「上限なし」という貸しビデオ屋、お地蔵さんに生ずる「借用料」。
そして究極の謎、花街遊びにはいくらかかる?

京都人が何にどれだけ支払うのかという価値基準は、もしかしたら京都を京都たらしめているゆえんかもしれない。
京都の「おねだん」を知ることは、京都人の思考や人生観を知ることにつながるはず。
2015年サントリー学芸賞芸術・文学部門を受賞、気鋭のチャップリン研究者にして「京都人見習い」を自称する著者による、初エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 京都を題材とする紹介本は、多種多様、さまざまな階層や切り口があるが、この大野氏の本は、今まであまり出会わなかったユニークな視点で、価値が高い。京都の現代文化のエッセンスを形成する層と著者との、ダイレクトなコネクションを通じて、地元民の目からみてもとんでもなく深い領域に達しているように思える。観光目線や歴史憧れや町並み佇まい陶酔型でもない、クラシカルだがバイタルな京都の息のようなものを、わかりやすくチラ見させてくれる面白い本。

  • 最後の花街のおねだんは大変興味深かった

  • 京都にまつわるさまざまなモノやコトを値段から見た本。
    著者の趣味が結構出ているので面白いと感じるものとあまり感じないものとありましたが京都在住の著者の人脈や体験が外から見ただけでは分からない京都を垣間見せてくれました。
    お地蔵さんのお貸出しには驚きました。

  • 京都のお値段というだけではなくて、最後は本当に価値が何であるかを考えさせられる一冊です。

    個人的には京大のところの話がとても面白くて、著者の経験を通した貴重な話が伺えます。
    さすが京大(笑)

  • [第1刷]2017年3月20日

  • 89冊目 9-3

  • 人によってはものすごくノスタルジーをくすぐる本。ただ、おねだんを探るというコンセプトが途中から崩れているのと、紹介されているのはあまり一般的に縁のある「京都」ではない気がしないでもない……もっとも、そういう細かいことはあまり気にせず読む方が面白いと思います。

  • 京都人ではない京都大学出身の映画演劇プロデューサーが様々な京都の風習、「おねだん」を明らかに。京都が大好きで何回も訪れている私にとって、非常に面白い読み物であった。なんと言っても、イケズな京都人が書いているわけでないから、面白いのかなぁ。
    お地蔵さんの貸し出し、旦那さんや舞妓さんの名前話し、僕の大好きな長竹さんの話しとか、興味深い話しが多かった。

  • チャップリン研究者による京都本。柊屋の茶室にチャップリンが宿泊した話から始まる。
    葵祭の学生バイトが1日1万円だとか、京大の折田先生像の制作費が3万円だとか、舞妓遊びが24万円の請求書が来たとか、小話が続く。

    映画人が集った祗園の板前割烹「浜作」や、檸檬に出てくる鍵屋の分家が河原町荒神口で、レモンケーキを作っているとか、出町柳の名曲喫茶「柳月堂」、名作レンタルビデオの「ふや町映画タウン」紅葉の季節の相国寺北の鞍馬口「閑居庵」のバーなんかは興味引かれた。

    初めて知ったのは寿司の項。鮓(大阪、なれずし、魚を酢でしめる保存食)、鮨(江戸前、鮮度が命)、寿司(京都、御所への献上物)と各地の業界が使い分けているのは面白かった。

  • 摩訶不思議な京都のねだんについて,精力的な調査に基づく事実を披露している好著だ.第3章の「絶滅危惧種のおねだん」が面白かった.確かに旦那,公家,仕出しなどの価値は何物にも代えがたい重要なものだと感じた.第4章の舞妓や芸妓のおねだんはなかなか公開されないようだが,ここでは事例紹介がある.面白い.

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著者プロフィール

1974年大阪生まれ。脚本家・演出家・日本チャップリン協会会長。大阪府立茨木高校卒。京都大学総合人間学部卒、同大学院人間・環境学研究科博士課程所定単位取得。国内外のチャップリン関連企画やブルーレイ等を監修するなど、遺族の信頼もあつく日本でのチャップリンの権利の代理店も務める。著書に『チャップリン 作品とその生涯』(中公文庫)、『チャップリンとヒトラー メディアとイメージの世界大戦』(岩波書店、第37回サントリー学芸賞)他多数。映画『太秦ライムライト』(第18回ファンタジア国際映画祭最優秀作品賞)、『葬式の名人』『ミュジコフィリア』他のプロデューサー・脚本を担当。2006年ポルデノーネ無声映画祭特別メダル、14年京都市文化芸術産業観光表彰「きらめき賞」受賞。

「2022年 『ビジネスと人生に効く 教養としてのチャップリン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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