- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062884198
作品紹介・あらすじ
なぜこれがこんな高いのか、あんな安いのか、なんで無料なのか、そもそもあんなものになんでおねだんがつくのか――
大学進学以来、京都住まい二十余年。往々にしてそんな局面に出くわした著者が、そんな「京都のおねだん」の秘密に迫る。
そもそも「おねだん」の表示がされていない料理屋さん、おねだん「上限なし」という貸しビデオ屋、お地蔵さんに生ずる「借用料」。
そして究極の謎、花街遊びにはいくらかかる?
京都人が何にどれだけ支払うのかという価値基準は、もしかしたら京都を京都たらしめているゆえんかもしれない。
京都の「おねだん」を知ることは、京都人の思考や人生観を知ることにつながるはず。
2015年サントリー学芸賞芸術・文学部門を受賞、気鋭のチャップリン研究者にして「京都人見習い」を自称する著者による、初エッセイ。
感想・レビュー・書評
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京都を題材とする紹介本は、多種多様、さまざまな階層や切り口があるが、この大野氏の本は、今まであまり出会わなかったユニークな視点で、価値が高い。京都の現代文化のエッセンスを形成する層と著者との、ダイレクトなコネクションを通じて、地元民の目からみてもとんでもなく深い領域に達しているように思える。観光目線や歴史憧れや町並み佇まい陶酔型でもない、クラシカルだがバイタルな京都の息のようなものを、わかりやすくチラ見させてくれる面白い本。
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最後の花街のおねだんは大変興味深かった
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京都のお値段というだけではなくて、最後は本当に価値が何であるかを考えさせられる一冊です。
個人的には京大のところの話がとても面白くて、著者の経験を通した貴重な話が伺えます。
さすが京大(笑) -
[第1刷]2017年3月20日
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89冊目 9-3
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人によってはものすごくノスタルジーをくすぐる本。ただ、おねだんを探るというコンセプトが途中から崩れているのと、紹介されているのはあまり一般的に縁のある「京都」ではない気がしないでもない……もっとも、そういう細かいことはあまり気にせず読む方が面白いと思います。
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京都人ではない京都大学出身の映画演劇プロデューサーが様々な京都の風習、「おねだん」を明らかに。京都が大好きで何回も訪れている私にとって、非常に面白い読み物であった。なんと言っても、イケズな京都人が書いているわけでないから、面白いのかなぁ。
お地蔵さんの貸し出し、旦那さんや舞妓さんの名前話し、僕の大好きな長竹さんの話しとか、興味深い話しが多かった。 -
チャップリン研究者による京都本。柊屋の茶室にチャップリンが宿泊した話から始まる。
葵祭の学生バイトが1日1万円だとか、京大の折田先生像の制作費が3万円だとか、舞妓遊びが24万円の請求書が来たとか、小話が続く。
映画人が集った祗園の板前割烹「浜作」や、檸檬に出てくる鍵屋の分家が河原町荒神口で、レモンケーキを作っているとか、出町柳の名曲喫茶「柳月堂」、名作レンタルビデオの「ふや町映画タウン」紅葉の季節の相国寺北の鞍馬口「閑居庵」のバーなんかは興味引かれた。
初めて知ったのは寿司の項。鮓(大阪、なれずし、魚を酢でしめる保存食)、鮨(江戸前、鮮度が命)、寿司(京都、御所への献上物)と各地の業界が使い分けているのは面白かった。 -
摩訶不思議な京都のねだんについて,精力的な調査に基づく事実を披露している好著だ.第3章の「絶滅危惧種のおねだん」が面白かった.確かに旦那,公家,仕出しなどの価値は何物にも代えがたい重要なものだと感じた.第4章の舞妓や芸妓のおねだんはなかなか公開されないようだが,ここでは事例紹介がある.面白い.