知ってはいけない 隠された日本支配の構造 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884396

作品紹介・あらすじ

私たちの未来を脅かす「9つの掟」の正体、
最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」とは?

なぜ日本は米国の意向を「拒否」することができないのか?

3分で日本の深層がわかる四コマまんがつき!

みなさんは、世田谷区や中野区、杉並区の上空が
米軍に支配されていることをご存じですか?

あるいは、米軍に与えられた治外法権が
日本の国土全体に及んでいることを知っていますか?

「なにをバカなことを…」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、これらは公文書によって裏付けられた疑いようのない事実なのです。

じつは、私たちが暮らす「戦後日本」という国には、
国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない
「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めています。

そうした「ウラの掟」のほとんどは、
アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、
米軍と日本の官僚とのあいだで直接結ばれた、
占領期以来の軍事上の密約を起源としているのです。

3つの「裏マニュアル」ともいうべき
最高裁の「部外秘資料」、検察の「実務資料」、
外務省の「日米地位協定の考え方」を参照しながら、
日米合同委員会の実態と対米従属の根幹に迫り、
日本における「真の権力構造」を徹底解明します。

累計17万部を突破した
『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』
『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』の
著者が「戦後史の闇」に光をあてた、渾身の集大成!


◆本書のおもな内容◆
第1章 日本の空は、すべて米軍に支配されている
第2章 日本の国土は、すべて米軍の治外法権下にある
第3章 日本に国境はない
第4章 国のトップは「米軍+官僚」である
第5章 国家は密約と裏マニュアルで運営する
第6章 政府は憲法にしばられない
第7章 重要な文書は、最初すべて英語で作成する
第8章 自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う
第9章 アメリカは「国」ではなく、「国連」である
追記  なぜ「9条3項・加憲案」はダメなのか

感想・レビュー・書評

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  • h10-図書館2018.9.12 期限9/26 読了9/15 返却9/17

  •  本書において、日本は日米合同会議を通して米軍に支配されており、実質主権を侵されたアメリカの属国であるという主張がなされている。よく聞く話であるが、本書を読み進めると内容に飛躍があり、著者の政治観を感じされられる点などから陰謀説かと思わさせられる箇所も散見された。
    現実を見た時に、本書の主張は一面の真実を捉えているのであろうが、主張を裏付ける具体的エビデンスが弱いように感じた。

  • 陰謀論の本ではありません。家族は書名を見て陰謀論の本かと思ったと笑っていました。著者がどんな思いで書名を決めたかはわかりませんが、書名で損をしていると思います。

  • 対米従属を構築するために様々な法律が絡み合い、空域までも差し出している、日米合同委員会も絡んで三重構造、というような内容。もちろん陰謀論っぽくはあるが、「そこまで法律で完膚なきまでに叩きのめしといて、じゃあ、どうすりゃいいんだよ」とも言いたくなる内容で、シン・ゴジラのようなアメリカと対峙して乗り越えようとするような夢物語を抱かせてくれる話でもなく、ただひたすら法案を、現実を突き付けてくる。逆にこういう世界観だからこそ、こういうアメリカのせこさも知ってるから、文化で対抗する、という現代になっているような気もするし、その戦略にも必然性があったのかもしれないと思わせる。どうすりゃいいんだろうね。いみじくも小説を書く身としては、言葉の力で対抗することは、果たしてできるのだろうか、と考えてしまった。

  • この本の主張
    日本はアメリカの言いなり
    アメリカは日米合同委員会でどんな法律でも通せるし、裁判所をコントロール出来るため違憲でも関係ない。そして、それらの法律の日本への影響となぜこういう日米関係になったかを細かく細かく書いてる一冊

  • 日本の驚くほどの対米従属は、かなり気になっていることだが、本書では、主に軍事面でどんな不合理性を持っているのかに焦点を当てて解説してくれている。
    太平洋戦争に敗れ、アメリカの占領を経て独立した日本からすれば、一定程度のアメリカによる影響はあってしかりだろうが、ここまで言いなりになっていて言い訳がない。
    何だか真の独立国とは言えない気持ちになってしまう。
    そう言う気付きを与えてくれた書だと感じた。

    一部抜粋
    日米合同委員会の本質とは、占領時代から続く基地の使用権や治外法権など、米軍が持つ巨大な特権を、どうすれば日本の国内法のもとでトラブルなく維持していくかの調整機関。もともと占領中に旧安保条約の交渉をしている段階で、「日本国民の目にふれさせたくない取り決め」を、すべて密室で処理するためにつくられた「ブラックボックス」。
    法務省から合同委員会のメンバーとなる大臣官房長は、その後、かなりの確率で検事総長に就任している。

    日本が集団的自衛権を行使できるようになれば、アメリカと「どんな攻撃に対しても、たがいに血を流して守りあう」対等な関係になれるというのは幻想でしかない。
    アジアの国との二国間条約である日米安保条約が、集団的自衛権にもとづく対等な相互防衛条約となることは、今後も絶対にありえない。
    事実、指揮権密約からしても、現在の日米の軍事的な関係では、日本側が軍事力を増強したり、憲法解釈を変えて海外へ派兵できるようになればなるほど、米軍司令官のもとで従属的に使われてしまうことは確実。
    つまり集団的自衛権というのは、現在の日米安保条約とは基本的に関係のない概念だ。
    にもかかわらず、なぜか米軍部からの強い働きかけによって、2015年9月、その行使のための国内法が強行採決された。

    米軍は
    ①「日本の国土を自由に軍事利用できる権利(基地権)」
    ②「戦時には自衛隊を自由に指揮できる権利(指揮権)」
    という、信じられないほど大きな権利を密約によって持ってる。
    そしてその歪んだ法的関係を構造的に支えているのが、
    ③「日米合同委員会」
    ④「最高裁(砂川判決)」
    というふたつの聖域化された、アンタッチャブルな機関。
    この①から④までの四つの問題を解決しないまま、憲法で自衛隊を容認してしまうと、その先に待っているのは「米軍による日本の軍事利用体制」の完成だ。

  • 2018/9/28

    2023/8/19
    再読…読んだ記憶はあったものの、内容の記録・記憶が抜け落ちていたので改めて。
    *****
    日本が戦後対米従属のままで推移したのではなく、対「米軍」従属の形で縛られていたという事実は今までの視点を変えてくれた。
    米軍主導の意図があったのではあろうが、それを受け入れた当時の日本の首脳側にも思惑と開示できない理由が存在したのだろう。
    ただ米軍側はさておき、70年経った現在でも日本側が受け入れた状況とその理由が何も変わっていないのかどうかは疑問だが。
    年月が経過する中でそのいびつな関係に対して疑問を持たず、それを前提として素直??に受け入れてきた(面倒を回避した)官僚や政治家たちが増えてきたのも事実だろう。

    朝鮮戦争が起こらず、日本国憲法の下で米軍の占領下から解放されていたら…それが果たしてより良い結果をもたらしたかどうかは判らないが、国民から見えないところで国の根本が米軍に握られているのは正常な状態とは言えないだろう。
    もちろんその状態を保持したい者も少なくなかったであろうが、単に放置されていた訳でも、議論されなかった訳でもなかったであろう。
    ただ、今まで改善できなかった理由を公にしない限り、おそらく現状維持のまま。

    憲法やその成立経緯をどう捉えるかの議論はさておき、人間が作ったルールに完璧なものはないのであるから必要な見直しは行われるべきかと思う。
    でもその改正の是非だけが先行しているのは不毛だと思う。
    もし憲法に起因する問題点があるのなら、その争点を具体的に明らかにしてその改善の是非を確認し、それが改憲を伴うものであるならば、そのために事前に国としてどんな体制を準備すべきか、国民はどう意識を変えるべきか、その準備にはどれくらいの期間が必要なのか、そしてそれが達成出来たことを国民が確認・納得してはじめて改憲が成り立つというステップが必要だと思う。
    それを抜きにして政治家や特定の集団の中で密室会議が行われるのであれば70年前と同じことを繰り返すだけになってしまう。
    そしてルールを変えてから体制を整えるというのも数多くの失敗があることも自覚しないと…取り返しがつかなくならないように。

    本書に関する形でいえば、米軍従属から抜け出すためには現憲法のままで大丈夫なのか、改憲を目指す者は対米軍従属を断ち切る覚悟はあるのかという選択を迫られるかと思う。
    (本書の内容を理解した後では、米軍従属のままでの改憲という選択肢はあり得ないはずなので)
    果たして…本書が出版されてからもう6年…先送りが続くのかもしれないが。

  • 矢部宏治著『知ってはいけない〜隠された日本支配の構造〜』を読んだ。本書の発刊は2017年。私が購入したのは2018年だが読まずにいた。
    孫崎享著『戦後史の正体』に衝撃を受けた。この本を企画したのが矢部宏治(1960-)である。本書を読み終えて、日本が対米追従で来た理由がよくわかった。モヤモヤしていた視界が開けた思いがした。
    日本の対米追従は「対米軍追従」とも言えるもので、憲法よりも上位にあるのが日米安保条約である。この条約のもと開かれる日米合同委員会。ここに出席するアメリカ人7人のうち6人が軍人であることからも米軍が日本を支配していることが分かる。日本はGHQ占領期と何ら変わっていないのだ。
    日本は表向きは独立した国である。国際世論をかわすためにGHQの占領は打ち切らねばならない。しかし、1950年に勃発した朝鮮戦争によって、「日本を独立させながら米軍の支配下に置く」ためのトリックが必要になる。そのための策が、安保条約と密約であった。1951年9月8日午前、アメリカ・サンフランシスコのオペラハウスで行われたサンフランシスコ講和会議においてサンフランシスコ平和条約が締結された。吉田茂は同日午後5時にサンフランシスコ内の第6軍司令部において日米安全保障条約に署名する。アメリカ側は国務長官アチソンが署名をした。そして、このとき「吉田・アチソン交換公文」と呼ばれる密約が結ばれた。

  • 空が占領されてるとは知らなかった。

  • 米軍基地の謎や憲法9条や、いろいろ感じていた矛盾のナゾがとけた感じ。まだ一応高齢者ではないけど、もっと早くに知っておくべき内容だった。

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著者プロフィール

(やべ こうじ)1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(以上、集英社インターナショナル)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)、共著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)。企画編集に「〈知の再発見〉双書」シリーズ、J・M・ロバーツ著「図説 世界の歴史」(全10巻)、「〈戦後再発見〉双書」シリーズ(以上、創元社)がある。

「2019年 『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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