日本政治「失敗」の研究 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062919876

作品紹介・あらすじ

二〇〇九年九月に実現した「政権交代」。だが、目指すべき「二大政党制」とは何か。日本では社会民主主義政党は育たないのか。「英国流の議院内閣制」を唱えた福沢諭吉や徳富蘇峰、「民本主義」の吉野作造、日中戦争勃発直前に躍進した社民勢力など、民主化に尽力した「敗者」を軸に近代史を再検討し、現在の政治改革に多大な影響を与えた画期的著作。

感想・レビュー・書評

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  • かなり冗長で読みにくいけど好きな人には刺さると思う。全然、毎回新しいものとして取り上げられる自由主義政党の伝統化を図る本。確かになあ、というのとなぜ他国では上手く根付いたところがあるのだろうか… どの自由主義政党も詰めが甘く残念なのだなあ なんなんだ、と思わされる…

  • 日本において、実は明治以降の自由主義、リベラルの流れが脈々と流れており、それが伝統として認識されていないが故の、自由主義の弱さを指摘しています。福沢諭吉、徳富蘇峰、吉野作造、そして民政党、社会大衆党・・・。15年戦争さなかの1936,7年頃においても民政党、社会大衆党が躍進をしていることが何を意味しているのか?民政党が政友会と異なり非常にリベラルな政党であったとは今まで考えてもみませんでしたが、軍縮に力を入れた濱口雄幸、叛軍演説で有名な斎藤隆夫などが出てきた背景を考えると確かにそうですね。そしてファシズムの一翼を担ったかのように考えられてきた社会大衆党が実は社会民主主義の党として経済の民主改革に熱心であった!共産党の野坂参三でさえもが民政党に期待をし、人民戦線を考えていた?この2つの勢力がうまく結びついていくことによって、実は戦前も民主化の余地があった!?昨年の民主党への政権交代、そして今、英国でも2大政党の斜陽が言われる時に、自由主義政党の大切さを感じます。民政党の精神を継ぐリベラルな党が確立してほしいものです。

  • 戦前の日本の民主主義の話。よく知らない時代だが、もっと学ぶべきかも。ロンドン軍縮協定の攻防、天皇側近の敗北と国際連盟脱退、社会大衆党の躍進あたりはわかりやすい。吉野作造の民本主義、広義国防、人民戦線論はまだわからない。 
    なぜ軍を抑えきれなかったについて、議会(政党)は反軍だったが親資本家過ぎたために国民の信頼が得られず軍に負けた、との説明はなるほど。

  • 【書評】
     筆者は、「平和」「民主主義」「社会民主主義」は戦後60年の日本の浅い「伝統」ではなく、明治維新以来140年日本の「伝統」であることを主張する。本書は、1930年代日本が戦争へ向かう暗黒の時代と描かれる時代を、言わば「敗け組」史観にたって新たに説明する。
     30年代の選挙と社会民主主義勢力の躍進を通して分かるのは、日本の民主主義が発展し、政党政治を通して軍部に抵抗していた事実である。従来の近代日本史では注目されなかった、2.26事件から日中戦争に至る1年半に見られた「不幸な忘却」を解き明かし、日本の「民主主義の伝統化」を目指した書。

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著者プロフィール

一九三七年神奈川県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文科学研究科博士課程中退。東京大学社会科学研究所教授、千葉大学法経学部教授を経て、現在は東京大学名誉教授。専攻は日本近代政治史。主な著書に、『明治憲法体制の確立』『日本憲政史』(以上、東京大学出版会)、『帝国と立憲』(筑摩書房)、『昭和史の決定的瞬間』『未完の明治維新』『日本近代史』(以上、ちくま新書)、『近代日本の国家構想』(岩波現代文庫)、『〈階級〉の日本近代史』(講談社選書メチエ)、講談社現代新書に『明治維新1858-1881』(共著)、『西郷隆盛と明治維新』などがある。

「2018年 『近代日本の構造 同盟と格差』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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